北国街道を巻から岩室に向けて進むと、巻西中学校のあたりで「昭和レトロ 古本アルカディア」という手書き感たっぷりの看板を見かけます。通るたびに気になのですが、入りにくいムードに負けてなかなか立ち寄ることができませんでした。最近、その横にいつのまにか「Principal(プリンシパル)」というお店がオープンしていることを知ったので、このたび思いきって取材に伺うことになったのです。ふたつのお店を経営しているのは、ソーイングが得意な手芸系女子の上杉さんでした。
古本アルカディア/Principal
上杉 舞 Mai Uesugi
1996年新潟市西蒲区生まれ。国際トータルファッション専門学校を卒業し、五泉のニット会社に就職。退社後は父の経営する「古本アルカディア」を手伝い、2024年に「Principal」をオープンする。ソーイングが特技で布小物や服をつくることができる。
——以前から「古本アルカディア」の前を通るたびに気になっていたんですよ。やっとお邪魔することができました(笑)
上杉さん:弥彦や寺泊へ遊びに行く方がよく通る道なんですよね。県外ナンバーの車がわざわざUターンして戻ってくることもあるんですよ(笑)
——みんな気になるんでしょうね(笑)。「古本アルカディア」は、いつ頃から営業しているんでしょうか。
上杉さん:漫画好きの父が20年前にオープンした店なんです。最初は古本だけやっていたんですけど、お客様のリクエストに応えて中古レコードも取り扱うようになりました。
——じゃあ古本と中古レコードを買取販売しているお店なんですね。どんなお客さんが立ち寄るんですか?
上杉さん:古本を求めてくるのは50〜70代のお客様がほとんどです。中古レコードは20〜30代といった若い世代のお客様が多いんですよ。
——若い世代の間でレコード人気が高まっていると聞きます。
上杉さん:確かにそれは感じますね。それ以上の年代では40〜50代のDJをやっている方、60代以上のレコードマニアのお客様も来られます。
——なるほど。「古本アルカディア」は、どんなことにこだわって営業をしているんでしょうか?
上杉さん:古本では絶版漫画を中心に販売しています。なかでも「ガロ」で有名な青林堂(せいりんどう)の本が多いですね。中古レコードは昭和歌謡が多いんですよ。なるべくリサイクルストアでは手に入らないコアでマニアックな物を取り扱うようにしています。
——お父さんは以前から古物商をやっていたんですか?
上杉さん:以前は家業の大工を手伝っていたんです。「古本アルカディア」や「Principal」の建物も、もともと工務店の事務所や作業場でした。それを父がリノベーションして店舗にしたんですよ。なかが見えないから入りにくいと感じる方も多かったんじゃないでしょうか(笑)
——私もそのひとりです(笑)
上杉さん:そのおかげで古本や中古レコードが本当に好きな人だけが来てくれるので、店としては良かったかもしれませんね(笑)
——上杉さんは「Principal」をオープンする前って、どんなことをしてきたんですか?
上杉さん:五泉のニット会社に勤めていましたが、体調を崩しちゃって、父のやっていた「古本アルカディア」を手伝いはじめたんです。
——アパレル系の仕事をしていたんですね。
上杉さん:もともとファッションデザインに興味があったんですよ。
——いつ頃から興味を持っていたんですか?
上杉さん:中学生のときに開催されたデザインコンテストのファッション部門に、新潟総おどりをテーマにした衣装を応募して賞をいただいたことがきっかけなんです。それでフアッションデザインやソーイングの楽しさを知って、ファッション系の専門学校に入学しました。
——そうだったんですね。「Principal」をオープンすることになったのは、どうしてなんでしょう?
上杉さん:自分で製作したポーチや巾着などのファッション小物を、販売したかったからなんです。その他にソーイング関係の書籍をはじめ、お店のコンセプトに合わせた古書やレトログッズも販売しています。
——「お店のコンセプト」というのは?
上杉さん:店名になっている「Principal」というのは、バレエの主役を意味する言葉なんです。この店のポーチや小物を身につけることで、誰もが主役になれたらいいなという願いを込めました。
——だからディズニーのグッズだったり、中原淳一の画集が置いてあるんですね。ファッション小物をつくるときは、どんなことにこだわっているんでしょうか?
上杉さん:ヒロイン感のある小物にしたいので、レースやリボンを使って華やかさを演出するようにしています。
——上杉さんは衣装なんかも作れるんでしたっけ?
上杉さん:そうなんです。いつかは劇団やアイドルのステージ衣装をデザインしたり、つくったりしたいんですよ。そんなご相談も気軽にしていただけたらと思います。
——オープンして1年が経ちますけど、今後やってみたいことはありますか?
上杉さん:推し活が流行っていますので、ぬいぐるみが着られるような衣装とか、推し活に使えるようなポーチをつくってみたいですね。それからソーイングや編み物といった、ハンドメイド関係の本も増やしていきたいです。
古本アルカディア/Principal
新潟市西蒲区仁箇1543-4
0256-76-2722
14:00-19:00
不定休