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大人の男性が足元のお洒落を楽しむ「BLOOM shoe lounge」。

新潟市のインテリアショップ「S.H.S」のなかに「BLOOM shoe lounge(ブルーム シューラウンジ)」という名の、靴磨きと修理をメインにした専門店があります。カウンターで靴を磨くオーナーの平原さんは、まるでシェイカーを振るバーテンダーのようにも見えます。居心地のいいカウンター席に腰を掛け、平原さんの靴磨きへのこだわりを聞いてきました。

 

 

BLOOM shoe lounge

平原 太門 Tamon Hirahara

1970年新潟市中央区生まれ。新潟大学理学部卒業後、新潟市内の百貨店に入社しバイヤーとして商品展開や仕入れを担当。2018年の1月に独立して「BLOOM shoe lounge」をオープン。趣味は25歳から続けているスノーボードだが、最近はキャンプにもハマっている。

 

靴磨きサービスの店をはじめたいきさつ。

——平原さんは昔からファッションに興味があったんですか?

平原さん:僕が大学生の頃はまだバブル景気の真っ只中だったので、ファッションブランドが全盛だったんですよ。僕もファッションに興味があったので、新潟市内の百貨店に入社してバイヤーとして働くことになったんです。

 

——当時は主にどんな仕事をされていたんでしょうか?

平原さん:商品展開や仕入れを担当して、メーカーとの交渉やフロア全体のリニューアルプランを考えたりしていました。好きなファッションの仕事をやりながら最新のアイテムに触れることもできるので、充実した毎日を過ごしていましたね。

 

 

——どうして独立して靴磨きサービスのお店をはじめられたんですか?

平原さん:百貨店で働いていた頃、東京にある有名な靴磨き店を訪れて、靴磨きサービスの素晴らしさを知ったんです。そのときに、世の中の男性たちを足元からかっこよくする仕事に魅力を感じました。会社員だとなかなか自分の好きなことはできないので、もっと自分を表現できる仕事をしたいと思って、独立して靴磨き専門店をオープンすることにしたんです。

 

——そうだったんですね。インテリアショップ「S.H.S」のなかに店舗を持ったのはどうしてなんですか?

平原さん:豊かな生活を心がけている人たちが集まる場所でお店をやりたかったので、同じコンセプトを持つ「S.H.S」でオープンしたかったんですよ。たまたま百貨店時代の同僚が「S.H.S」のなかでお店をやっていたので相談したら、会長を紹介してくれたんです。ちょうどその頃「S.H.S」でも「いいものを大切に」というコンセプトのもと、家具のリペアに力を入れていたので、私のお店もあたたかく迎え入れていただきました。

 

——店名の「BLOOM」にはどんな意味が込められているんですか?

平原さん:弊店の靴磨きサービスを受けることで、花が咲くような明るい気持ちになっていただけたらという思いを込めました。

 

 

——「新潟日報メディアシップ」のなかでも、靴磨きのお店をやっているんですね。

平原さん:そちらは「BLOOM AIRLINES shoeshine service(ブルームエアラインズ シューシャインサービス )」といって、忙しいビジネスマンのためのロープライスなクイックサービスになっているんです。メディアシップはいろいろな会社が入っている新潟市の情報発信基地ですので、世界に旅立つビジネスマンの足元をきれいにしたいという意味から、空港に見立てた「BLOOM AIRLINES」という店名にしたんです。

 

——そんな素敵な思いがお店の名前に込められていたんですね。

平原さん:2019年にメディシップで開催された靴磨きのイベントに、世界的な靴磨き職人長谷川裕也さん、服飾評論家の飯野高広さんと一緒にゲストとしてお招きいただきました。多くの参加者で盛り上がって「伝説のイベント」といわれたんですよ。そのご縁もあって、メディアシップで出店させていただけることになりました。

 

靴磨きで大切にしていること。

——平原さんは靴磨きの技術をどこで習得されたんですか?

平原さん:革や靴についての知識はバイヤー時代から身につけていたんですが、プロとしての靴磨き技術はなかったので、靴磨き用品メーカーの方にご指導いただきました。靴磨きは医師や美容師のように免許や資格がいるものではなくって、誰にでもはじめられるものですので、その分日々精進して技術を磨くことがことが大切だと思っています。

 

——なるほど。平原さんが靴磨きをするときに、こだわっていることがあったら教えてください。

平原さん:「神は細部に宿る」という言葉があるように、見えないところや、細かいところも手を抜かず仕上げるようにしていますね。あと、カウンセリングをしっかりやるように心がけています。

 

 

——カウンセリングでは、どんなことを聞くんですか?

平原さん:お客様のお好みや用途をお聞きして、靴の磨き方を決めるようにしているんです。お客様のお好みに関係なくプロのエゴだけでツヤツヤに磨き上げたり、似合うからというだけで勝手に磨き方を決めるようなことはしないように気をつけています。

 

——自分の考えを押し付けないようにされているわけですね。お客さんにはどんな人が多いんでしょうか?

平原さん:お洒落を楽しんでいる大人の男性が多いですね。見た目に限らず、生き方のカッコいいお客様が多いです。あと物を大切にするお客様が多いですね。

 

——どんなふうに物を大切にしているお客さんがいたんでしょうか。

平原さん:お父様から譲られた靴を磨きに来た方がいました。20〜30年くらい使った靴だったので使用感はありましたが、状態がよかったので、きっと大切に使ってきたんだろうなと感じましたね。それから、亡くなったご主人の形見である靴を磨きに来た奥様もいらっしゃいました。長年家族を養ってきてくれたご主人への感謝を込めて、綺麗なまま保存しておきたいということでした。人によって靴はただのファッションアイテムにとどまらず、大切な思い出の品でもあるんですよね。

 

——平原さんは思い出を綺麗に残すお手伝いもされているんですね。ところで、このカウンターに座って靴磨きが終わるのを待っていると、まるでバーにいるような気がしてきますね(笑)

平原さん:私は学生時代にバーテンダーのアルバイトをしていたことがあるので、お客様を退屈させないよう会話するときには、その経験が役に立っていますね。おかげさまで私に会いに来てくださるお客様も増えて、ちょっとした空き時間や仕事帰りに立ち寄って、息抜きついでに靴磨きを頼んでいくお客様も多いんです。

 

 

——本当にバーみたい(笑)

平原さん:大人の男性がひと息つける「癒しの場」でもありたいんです。カウンターに座ったお客様同士が仲良くなって、名刺交換したりすることもあるんですよ。

 

——大人の社交場にもなっているんですね。最後に、新潟の男性たちへメッセージをお願いします。

平原さん:新潟の男性には、もっと気楽にカッコつけていただきたいですね。自分の柄とか靴の価格とかは関係なく、磨かれた靴を履くことで自己肯定感が高まって、前向きなコミュニケーションがとれるようになると思うんです。弊店では足元からはじまる装いを提案しているので、靴磨きサービスの他に、靴や靴下などのファッションアイテムもお取り扱いしております

 

 

 

BLOOM shoe lounge
新潟市中央区女池南3-5-1 S.H.S鳥屋野店内

025-369-4935

10:30-19:00

火水曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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