カルチャーとみんなが集まる庭。それがヘアサロン「Seymour」。
カルチャー
2019.07.22
音楽、ファッション…カルチャーから確立されたヘアサロン。
2018年にオープンしたヘアサロン「Seymour(シーモア)」。一歩踏み入れると店内には、ボタニカルな植物、パッと目を引く映画ポスター、そして空間を取りまとめてくれている音楽などが心地よく調和しているのが感じられます。どれもオーナースタイリストである渡辺さんによるセレクト。ヘアスタイルだけでなく、お店の空間や世界観は今まで経験してきたカルチャーに大きく影響されたとか。今回は渡辺さんに、今まで経験してきたこと、カルチャーというものの大切さ、それらをベースに考えるお店づくりについて、お話をうかがって来ました。

Seymour
渡辺将志 Masashi Watanabe
1987年生まれ。北越高等学校を卒業後、美容技術を学ぶために国際ビューティーモード専門学校へと進学。美容室「HURRAH(フラー)」にて経験を積み、2018年に自店「Seymour」をオープン。愛犬・ボビイを溺愛する愛犬家の一面も持つ、バスケットボールが好きな若きサロンオーナー。
サロンの根底を作った、学生時代に出会ったカルチャー。
――渡辺さんは、どんなキッカケで美容師になろうと思ったんですか?
渡辺さん:美容室に髪を切りに行って感動したとか、コレといったキッカケは特にありませんでした。ただ、母が元美容師なのでその姿を見ていたり、幼い頃から美容師という職業への認識がありました。子どもの頃に、母のマネをしてメイクをしていたこともあったみたいです。覚えていませんが。
――仕事=美容師みたいなイメージはなんとなく、子どもの頃からあったんですね。
渡辺さん:そうかもしれませんね。あとはTVドラマ「Beautiful Life(ビューティフルライフ)」がドンピシャの世代で、キムタク(木村拓哉)が演じる美容師としての姿を見て、ただただカッコイイなとは思っていましたね(笑)。

――同世代なので、めちゃくちゃ共感します。イケメン美容師と車椅子の司書。名作ラブストーリーですよね。
渡辺さん:あれは名作ですね。美容師になろうと思ったキッカケに近いんですが、音楽、ファッション、映画とかのカルチャーがずっと好きで、これらを含めて仕事にできることって何だろうかと考えたときに、美容師しかないかな、って高校生の小さなボキャブラリーから引っ張り出しましたね。
――音楽、ファッション、映画などなど、多くのカルチャーはどのようにして知ったのですか?
渡辺さん:今みたいにSNSが普及して、多くの情報が溢れていなかったから、とにかく街に繰り出しました。カッコいいと思うショップに行ったり、当時はお店やイベントのフライヤーがたくさんあったから手当たり次第にもらったり、出会った先輩や大人たちからとにかく吸収して。専門学校に通っていた時は毎週クラブ(万代にあったUNDER WATER BAR PRAHA)に行ったり、とにかく街場のヒトたちとの繋がりを作ることに全力投球していました。カルチャーは、街のヒトから知ったって感じですね。
――繋がりから得たカルチャーはたくさんありましたか?
渡辺さん:自分の知らない音楽や映画を教えてもらったり、ファッションを見習ったり、自分のベースとなっていますね。面白い男、カッコイイ男、イケている男とは。そんなこともたくさん教えてもらい、接客面ではとても役立っているなって、美容師になってから感じたこともあります。それもカルチャーを知りたい、という思いから繋がったんだなって。カルチャー様様です。

就職先で体感したこと。研磨された現在。
――専門学校卒業後は、人気サロン「HURRAH」で勤められていましたよね。選んだ理由はありますか?
渡辺さん:自分の中で、一番イケていると思ったからです(笑)。ビンテージがとにかく好きで、お店で働くスタッフがみんなビンテージに身を包んでいたんです。USA製のVANS、80年代のALL STAR、年代不明なLeeのペインターシャツとか。こんな美容室なんて、ほかにないと思って決めましたね。

――確かに「HURRAH」は独自の世界観と、スタッフさんもオリジナリティーに溢れていますよね。実際に入店されてみて、どうでしたか?
渡辺さん:自分みたいに音楽、ファッションなどのカルチャーが好きなヒトばかりで、さらに多くの新しいカルチャーを知れたり、深堀ができたりと、美容師としての技術以外にもたくさんのコトを学ぶことができました。アパレルショップ「After School(アフタースクール)」も姉妹店にあり、都内をはじめとしたコアなファッションカルチャーにもどっぷり浸かれましたし。
――大好きなカルチャーが溢れかえっているお店に身を置きながら、どうして独立しようと思われたのですか?
渡辺さん:美容師が独立するタイミングって、40代が多いんです。それと同じでいいのか?10年間やってきたし、他の店で学びたいのか…いろいろと考えて、自分が今までに得てきた技術を持って、体感してきたカルチャーを表現して伝えられる美容室をやろうと決めました。それに、年を重ねるごとに記憶の容量はパンパンになっていくじゃないですか? 何かを削除しないと上書きできないし。それなら自分の知っているカッコイイを、若い世代にスポンジのように吸収してもらえたらなって。

美容室は髪を切るだけじゃない。来ないといけない理由がある。
――「Seymour」としてのコンセプトはありますか?
渡辺さん:「一生、お客さんと付き合っていける美容室」がコンセプトです。これは年をとっても切りに来てもらえるといった意味だけでなく、ライフスタイルの面でもお店を確立したくて考えたんです。
――ライフスタイルの面というのは?
渡辺さん:美容室に行くと、髪を切る以外にシャンプーをしたり、カラーをしたりといろいろなパートがあると思います。多くの美容室ではメインの担当はいますが、シャンプーはアシスタントが担当したり、数人のスタッフで施術をしています。「Seymour」では1人1客体制を組んでいて。ちゃんと自分のお客さんのために、スタートからゴールまで、会話も含めて携われる店づくりをして、コミュニケーションを密に取りたいと考えています。キレイにする、カッコよくするだけでなく、ちょっとした相談とかからそのヒトの人生に寄り添える場所でありたいんです。自分がいろいろなカルチャーを知りたくて、お店に行ったときにしてもたったように。接客ではなく、ヒトとのコミュニケーションですよね。

――「今日は天気がいいですね。どこかに行ってきたんですか?」といった定型文でなく、コミュニケーションの場と考えているんですね。
渡辺さん:そうですね。ヘアスタイルだって、今まで自分が体感して、蓄積してきたカルチャーから形成されていると思っています。美容室だから美を提供するのは当たり前。でも、今まで蓄積されてきた自分のアンテナに引っかかったカルチャーも一緒に提供していきたい。それが「Seymour」のスタイルであり、自分を作り上げてくれたカルチャーからできてた「Seymour」のカルチャーです。

みんなが集まる庭。気軽に、ラフに使ってもらえる。そう在りたい。
カルチャーというワードを使ってしまうと、こだわりが強かったり、本当に好きなヒトたちしか行けない、そんな美容室に思われるかもしれません。でも、渡辺さんから感じられた「カルチャー」という言葉の意味は、「人生で経験してきたこと、知ったこと。そして好きなこと」。そんな気がしました。「敷居を低くして、ラフにお店に来てもらいたい。みんなが集まる庭みたいに」と渡辺さん。髪を切りながら、子どもが走り回っていたりする微笑ましい光景が「Seymour」の日常。進路相談だけでなく、音楽や映画のことを知りたくて。渡辺さんが身に着けるビンテージファッションのコトを知りたくて「こんにちはー」とお客さんが顔を出すシーンも「Seymour」だからこそ。10年以上も、僕の髪を切ってくれている渡辺さん(マサシ)。髪を切りに行くというよりか、話に行く。そんな普段。ずっと彼を知っているからこそ、お店の雰囲気が彼そのもの、と感じます。美容師・渡辺将志が歩んだカルチャー(人生)を、ちょこっとだけ覗いて、髪を切ってみませんか?きっと発見があるはず。

【閉店】Seymour
新潟県新潟市中央区米山1-5-9 1F
025-367-7065
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