映画館の消えた古町で、文化や娯楽を守る「映像カフェ 座タイム」。
カルチャー
2025.03.11
かつて新潟市には古町を中心に20館以上の映画館があったそうです。でも2019年に成人映画館の「映劇大要」が閉館したことにより、いよいよ古町から映画館が消えてしまいました。そんな古町に娯楽を呼び戻そうとオープンした、映画や映像を大スクリーンで楽しめる「映像カフェ 座タイム」。お店にお邪魔して、オーナーの長谷川さんからお話を聞いてきました。


にいがた映像ギャラリー
長谷川 潔 Kiyoshi Hasegawa
1952年新潟市中央区生まれ。映画館「新潟日活」で営業として働いた後、グラフィックデザイナーとして独立。デザイン専門学校の非常勤講師も務める。2015年頃に「特定非営利活動法人 にいがた映像ギャラリー」を立ち上げ、2024年に「映像カフェ 座タイム」をオープン。今まででいちばん印象に残っている映画は『人間の条件』。
古町に映像カフェが誕生するまで。
——「映像カフェ 座タイム」をオープンした理由から聞かせてください。
長谷川さん:以前は古町にもたくさんの映画館があって、ここは新潟市における娯楽の中心地だったんですよ。でも、今では一軒も映画館が残っていない状態になってしまったので、「古町から映画を楽しめる場所を失くしたくない」「娯楽や文化の灯を消したくない」という思いでオープンしました。
——長谷川さんは映画に関わるお仕事の経験があるんですか?
長谷川さん:最初に勤めていたのが、かつて古町通4番町にあった「新潟日活」だったんです。オールナイト上映の土曜日は昼から翌朝まで勤務しましたし、新しい作品に変わる前日は忙しかったけど、でも普段はのんびりしたもんでした(笑)

——ずっと映画館にお勤めだったんですか?
長谷川さん:10年くらい働いた後は、独立してグラフィックデザインの仕事をやりながら、専門学校でデザインの非常勤講師もやるようになりました。
——デザイナーとしてはどんなお仕事を?
長谷川さん:チラシが多かったですね。「チラシ」っていえば……映画好きな仲間達と一緒に新潟市内で上映される映画をまとめたチラシをつくって、映画館のロビーに置いてもらっていたんです。
——へぇ〜。なんだか楽しそうですね(笑)
長谷川さん:その連中もみんな60歳を超えてしまって、やることがなく暇になったわけ。そこで「にいがた映像ギャラリー」という特定非営利法人を立ち上げて、新潟に眠っている古い映像や写真を集めて、皆さんに紹介する活動をはじめたんです。

——何かきっかけがあったんですか?
長谷川さん:若い頃は将来のことしか考えなかったんだけど、50歳を過ぎたあたりから未来よりも過去のことに関心を持つようになったんです。自分の暮らしている新潟のことをもっと知りたい。そう思って新潟の歴史を調べることにして、文献ではなく、映像や写真で辿ってみることにしたんですよ。自分以外にも興味を持っている人がいるんじゃないかと思って、新潟市民活動支援センターで定期的に上映会を開いていたんですけど、「映像カフェ 座タイム」をオープンすることになったので、映画作品と共にこちらで上映することにしました。

新潟にゆかりのある映画や、古い新潟の姿を上映。
——「映像カフェ 座タイム」という名前については?
長谷川さん:「座」は「歌舞伎座」や「明治座」のように舞台や劇場を表す言葉です。「タイム」には「時間」という意味もあるんですけど、かつて新潟市にあった映画館に「名画座ライフ」があったので、うちは「座タイム」にしたんです(笑)
——えっ、どういうことですか?
長谷川さん:アメリカの有名な雑誌に「LIFE」ってあるじゃないですか。だから、うちはもうひとつの人気雑誌「TIME」から名前を拝借したんですよ(笑)

——なるほど。そういうことなんですね(笑)。こちらではどんな映画や映像を見ることができるんですか?
長谷川さん:新潟でロケをした作品だったり、原作者や監督が新潟出身だったり、新潟にゆかりのある映画を上映しています。映像も古い新潟の記録なんかを紹介していますね。話には聞いていても実際に映像で見たことがない人も多いので、新鮮な気持ちで昔の新潟の姿を楽しんでいただきたいです。
——どんなお客さんが多く訪れるんでしょうか?
長谷川さん:昔の映画や映像を懐かしむ、年配のお客様が多いですね。それはもちろん嬉しいんですけど、若い人たちにも昔の映画や映像を観てほしいんですよ。そのためにもイベントをいろいろと開催していきたいと思っているんです。

——具体的にはどんなイベントを考えているんでしょうか?
長谷川さん:大きなスクリーンを生かして、映像を通した新潟の発信ができるようなイベントを考えています。なかなか観る機会のないような映画の上映もしていきたいですね。
——今後上映する予定の映画があれば教えてください。
長谷川さん:3月20日から4日間にわたって『荒野に希望の灯をともす』というドキュメンタリー映画の上映を予定しています。アフガニスタンとパキスタンで人々に寄り添った、中村哲医師の活動を描いた作品です。鑑賞をご希望の方はお電話にてご予約いただきたいと思います。

映像カフェ 座タイム
新潟市中央区東前通6番町1038 コットンハウス39 2F
090-4660-2023
12:00-18:00
火木曜休
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