[Things Music]誰かの背中を押す、「カタソビ」の力強い音楽。
カルチャー
2025.05.14
新潟で活動するミュージシャンを紹介する[Things Music]。今回紹介するのは新潟を中心に活動するアコースティックユニット「カタソビ」。かっこいいロックからしっとりとしたバラードまで。アコースティック一本で独特の世界観をつくるおふたりに、結成した経緯や音楽のことなど、いろいろ聴いてきました。

カタソビ
アイラ Aira
燕市出身。幼少期から役者に憧れ、10代の頃は新潟のTV番組のMCやCMに出演する。20歳で上京し東京で活動し、帰郷。一般企業で正社員として働きながら再び音楽活動をはじめ、2019年にふみなさんと「カタソビ」を結成し、ボーカルを担当する。血液型はAB型で、あんみつとグミが好き。

カタソビ
ふみな Fumina
糸魚川市出身。小学校5年生からギターをはじめる。専門学校時代のバンド活動でアイラさんと出会い、ギタリストとして「カタソビ」を結成。辛いものが好きで、たまにアイラさんに心配されているんだとか。血液型はO型。
はじまりは、負けず嫌いなふたりの悔しい経験。
――おふたりが音楽をはじめたきっかけを教えてください。
アイラさん: 私はもともと役者になりたくて東京で活動をしていたんですけど、一度あきらめて新潟に帰ってきて、社会人として働きました。しばらくして、また趣味で舞台復帰したいなと思ったんですけど、時間的にも演劇をすることが難しくなったんです。どんなかたちでもいいから、ステージに立ちたいって思いが強くなって、社会人バンドに入ることにしました。でも私は楽器経験がなかったので、ボーカルを担当することにしました。
ふみなさん:私は父の影響で小学校の頃からギターをはじめました。最初は「F」が弾けなくて、すぐやめちゃったんです。でもあるとき、急に「F」が弾けて、できる曲が増えたんです。それでどんどんのめり込んでいって、学生時代はコピーバンドを組んで活動したりしていました。

――そんなおふたりが、出会ったきっかけはどんなものだったのでしょうか。
アイラさん:あるライブに出ていたとき、主催者の方に「アニメの曲のカバーバンドをやりたいんだけど、ボーカルをやってくれない?」っていうお声がけをいただいて。急遽集められた5人の中にいたのが、ふみなだったんですよ。
ふみなさん:そのバンドが結構人気になって、2回目のライブではサークルモッシュが起こるほどだったんです。普通はこんなことないので、ちょっと楽しくなっちゃいましたね。
――サークルモッシュって、ぐるぐる回るやつですよね。相当盛り上がったんですね。
アイラさん:でも、そのとき共演した方から「あれは音楽じゃない」って陰で言われたのを知って。なんか悔しくなっちゃって、そこでふみなに連絡したんですよ。
ふみなさん:深夜の3時に呼び出されてね(笑)。でも私も悔しいって思ったし、「本気でやったらすごいんだって見せてやりたい」って思ったから、ふたりでアコースティックユニットを組むことにしました。
アイラさん:あのときは、こんなに長く続くとも、オリジナル曲をつくるとも思わなかったよね。

――えっ、最初からオリジナル曲をつくっていたわけではないんですね。
アイラさん:最初コピーやカバーをしていたんです。でもすごく悔しい思いをしたことがあって。出られるイベントを探していた頃、三条市の「月一歌会」というライブイベントに出ることになったんです。軽い気持ちで出演してみたら、私たち以外みんな、オリジナル曲をやっていたんですよ。しかも、それぞれのアーティストのステージの世界観がすごくて。観ていたら、もう……。
ふみなさん:本当に悔しかったんだよね。それで打ち上げも出ずに帰って、朝まで路上で曲をつくって……。お互い、次の日は朝から予定があったんだけどね(笑)
――そこから生まれたのが、『貴方の骨を食べた日』だったんですね。
アイラさん:今まであった衝撃的なエピソードを話していたら、親族の納骨のとき、どっちも骨を食べたことがあるっていう共通項があったんです(笑)。箸で骨を触るのが嫌で、素手で納骨したんですけど、私は手についた骨がもったいなくて食べて、ふみなはずっと一緒にいれるようにと食べちゃったみたいで……(笑)
ふみなさん:思わぬ共通項から生まれた曲がライブハウスの方に気に入ってもらえて、ライブに呼んでもらえることが多くなりましたね。そこからアイラの声を活かしつつ、印象的なギターフレーズも盛り込んだ『wolf』っていう曲ができて、いろんな方に知ってもらえる機会が増えて、いろんなイベントに出れるようになりました。

新しい経験を曲に。ふたりに聞いた最新アルバム『OVER THE MOON』について。
――「カタソビ」では、楽曲の制作からMVやジャケットまで手掛けているんですね。
アイラさん:主に作詞やMV、ジャケットなどの制作、ふみなは作曲や編曲、ミックスを担当しています。でもたまに、私が作曲したりふみなが作詞をすることもあるんですよ。
ふみなさん:私が曲をつくると、ロックみたいなものができるし、アイラが曲をつくると共感を呼べるような、ハートフルなものができて。その幅広さも私たちらしいかなって思っています。
――幅広い曲から、おふたりのいろんな表情が見られますね。
アイラさん:実はそこが、私たちならではだと思っている部分なんです。ジャンルにとらわれず、自分たちのやりたいことをいつでもするようにしていて。フリージャンルでやっているっていうことが、ある意味「カタソビ」らしさなのかなって。

――そんなおふたりらしさが感じられるアルバム『OVER THE MOON』が昨年末に発売されました。
ふみなさん:このアルバムは、新曲とこれまでの人気曲を半分ずつ収録しています。今までつくってきた曲はリアレンジして再収録をしているんですよ。
アイラさん:昨年は「燈りあそび」というイベントを主催したんです。新発田の上三光の竹でつくったランタンを飾って、教会や道の駅など、普段ライブをしないような場所で、県内外のアーティストを招いてライブをしたんです。このアルバムは、イベントを通して感じたインスピレーションを落とし込んだものになりました。
――タイトルには、どんな意図が込められているのでしょうか。
アイラさん:「OVER THE MOON」は海外のことわざで、「月を超えるくらい嬉しい」って意味があるんです。私は役者を諦めて会社員として日々働くなかで特に目標もなくて。結婚して子どもを産んで、育てていくことが自分に残された道だと漠然と思っていました。子どもが好きだから、そんな将来もいいなと思えるし。だけど、ステージに立ちたいと思い続けていた気持ちは、もう叶わないと蓋をしていたので、いつか薄れていっちゃうんだろうなって思ってたんです。

――憧れは憧れとして、自分の心におさめてしまう経験は誰にでもありますよね。
アイラさん:でも今もステージに立っていて、全国に行って歌って、応援してくれるファンの人と出会って、友達もできて。あの頃想像してなかった未来が待ってた。この嬉しさを表したくて、このタイトルにしたんです 。
――このアルバムで、特に好きな曲を教えてください。
ふみなさん:どの曲も好きで選べない……(笑)。でも強いて言うなら「深海魚」ですね。私が中学生のときにつくったものをバンドアレンジしました。元々バンドのイメージで作った曲だったんですが、当時は思うように表現できなくて。「カタソビ」として経験を重ねた私たちがつくったことで、やっと思い描いていたかたちになった気がしたんです。出来上がったときの嬉しさは今でも覚えています。
アイラさん:私は「ODORO」という曲ですね。いちばん私らしい曲だなって思います。今までの人生で傷ついたり、辛かったこともあったけど、その傷が誰かの癒しや希望になるような、お守りのような曲になったかなって思います。

お互いが信頼できる友達であり、いちばんのライバル。
――おふたりが音楽を作るとき、大事にしていることはどんなことでしょうか。
アイラさん:それぞれがつくる音楽に対して、あまり口を出さないことですかね。それだけお互いが納得できるまでやっているっていう信頼があるからこそなんです。
ふみなさん:前は、つくりたいイメージがあってもどう表現すればいいか、わからなかったんです。でも今は技術も表現の引き出しも増えて、自分やアイラのつくりたい音楽が作れるようになってきたんです。だからこそ、アイラがびっくりするようなものをつくるようにしていますね。
――と、いいますと?
ふみなさん:アイラからもらったリクエストを超えたものをつくりたいっていうか。「うわっ、やられた」って思われるようにつくっているんですよ(笑)
アイラさん:お互いが友達であり、いちばんのライバルなんですよね。ふみなから送られてきた音源に「やられた!」って思っても、自分の歌で超えてやろうって思いながらつくっています(笑)

――お互いを高め合っているんですね。
ふみなさん:そうなんです。決して蹴落としあっているわけではないんです。いろんな困難を乗り越えてきて、「ふたりなら大丈夫」って思い合えているから、安心して自分の音楽に打ち込めるんです。
アイラさん:私たち、少年漫画の主人公みたいなんですよね。努力、友情、勝利みたいな(笑)
――まっすぐな姿勢、素敵です。おふたりは音楽を通して、どんなことを伝えていきたいと考えているのでしょうか。
ふみなさん:嫌なことがあったときも、楽しいときも「カタソビ」の曲を聴いてあったかい気持ちになったり、勇気づけられるような曲をつくっていきたいですね。聴いてくれたお客さんの背中を、少しでも押すことができたら嬉しいです。
アイラさん:お客さんをカモメや船に例えるなら、私は港のような、立ち寄りたくなったら立ち寄れて、帰りたくなったら帰れる存在になりたくて。「カタソビ」のライブが日々の気分転換のきっかけや、人生をふり返るお手伝いができるものであってほしい。来るもの拒まず去るもの追わずのスタイルで気ままに音楽やり続けると思うので、私たちの作る曲が皆さんの人生にこっそりと寄り添えていたらいいなと思います。

New Single「ニューシングル」6月中旬頃リリース予定。また、人気曲「ODORO」も初夏にMV公開の予定なんだとか。気になる方はぜひチェックしてみてください。
〈ライブ情報〉
5月14日(水)「tender song vol.114」代々木labo(東京/代々木)
5月24日(土) British Shorthair企画 『RISE IN REVOLT 2nd』in 音楽色瞠 (新潟/長岡)
5月31日(土)ハラヴィータLIVE 艶陽in ハラヴィータ(新潟/三条)
6月5日(木)「デリヤとまことのルーラツアー新潟編2days-day1- 」in.lagoon 20 (新潟市)
6月6日(金)「デリヤとまことのルーラツアー新潟編2days-day2-」in .lagoon 20 (新潟市)
6月22日(日)上三光で楽しもう! in 古民家スタジオ甚之丞(新潟/新発田市上三光)
6月23日(月)『越後からの風 Vol.1』in Barrack Block cafe (東京/下北沢)
6月24日(火)『ミチガツナガルフカクナルヨル#147~4マン』 in モルタルレコード(埼玉/熊谷)
6月29日(日)「SAKATA MUSIC CITY HARBOR」 in 港座(山形/酒田)
※詳細はHPや各SNSをご覧ください。
カタソビ
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