中央区にある「トキまち整体」は、産前産後の身体のお悩みに特化した整体院。施術を行っている庭野さんは、ご自身の過去の経験から、「妊娠中の方や、子育てを頑張っている方をサポートしたい」とこの整体院をはじめました。庭野さんのこれまでのことや、整体院のことなど、いろいろお話を聞いてきました。
トキまち整体
庭野 遥佑 Yousuke Niwano
1994年十日町市出身。新潟市内の専門学校で柔道整復師の資格を取得後、東京の整体院で6年間働く。結婚をきっかけに、新潟で「トキまち整体」をはじめる。トレーニングが趣味の1児のパパ。
――庭野さんは東京で柔道整復師として働いていたんですよね。新潟にも整体院が多くある中、どうして東京に?
庭野さん:柔道整復師は技術職なので、「関東や関西で技術を学んだ方がいい」って言われていたんです。大きい都市のほうが整体院の数が多いですし、競争率が高いのもあってそう言われたんだと思います。6年間働いていたうち、最後の2年間は副院長という立場を任せていただきました。
――その後、東京で整体院を開業するということはしなかったんですね。
庭野さん:佐渡出身の奥さんと結婚したことが大きかったですね。柔道整復師の資格を取ったときから、開業したいとは思っていたんですが、当時はまだ場所までは決めていなかったんです。奥さんと結婚していなかったら、新潟では開業していなかったかもしれません(笑)
――もしかして、「トキまち整体」の「トキ」って……。
庭野さん:そうです、奥さんの出身地の佐渡で有名な「トキ」から取りました。「まち」は僕の出身地の十日町からとってはいるんですが、上、中、下越を含めた広い範囲をイメージしています。新潟と佐渡の2箇所をサポートできる整体院になりたいという思いを込めました。
――「トキまち整体」は産前産後ケア専門の整体院ですが、どんな経緯でこのかたちになったのでしょう。
庭野さん:母の言葉と、東京での経験が大きく影響しています。僕が大人になったときに母から「休みの日にもっといろんなところへ連れ行って上げたかった」とか、「いつも怒ってばかりでごめんね」って言われたことがあったんです。僕は不満に思ったことなんてなかったんですが、母自身は気持ちに余裕がなかったことで、「してあげられなかった」ということに後悔を感じていたみたいで。
――ふむふむ。
庭野さん:そのとき、「将来子育てを振り返って、母のように後悔するような育児をしてほしくない」、「お母さんという立場の人をサポートしていきたい」と思ったんです。実際、整体院で働いていても、僕の母のような方が多くいました。施術では痛みを改善させることはできますが、それだけではなく、心の面でもママさんを支えていこうと思いましたね。
――東京での経験も聞かせてください。
庭野さん:東京で働いていた整体院では、幅広い年代の方に施術をしていました。その中にはもちろん産後の女性の方もいらっしゃって。その方々に対しては、開いた骨盤を閉じるような施術をメインに行っていたんです。開いた骨盤を閉じるということは教わっていたんですが、なぜそうしなければいけないのか、理由がいまいちわからなかったんです。
――確かに、産後のケアとして骨盤矯正はよく聞きますが、どうして必要なのかは考えたことがなかったです。
庭野さん:他のスタッフも答えを知らないし、お客さんにその理由を伝えられなくて悶々としていましたね。お客さんに、「あと何回通えば、骨盤は閉じるんですか」って聞かれても曖昧な回答しかできなくて。ママさんを支えたいという思いと、自分がやっている施術のギャップが生まれてきたんです。骨盤矯正以外の提案ができる場所を自分でつくれば、よりよいサポートができると思って、開業を決めました。
──骨盤矯正以外の提案って、どのようなものがあるのでしょう。
庭野さん:痛みの原因が骨盤の歪みだけではなく、今までの姿勢や身体の使い方のクセが蓄積している可能性も含めて、カウンセリングしています。もちろん、骨盤が原因の場合もあるので、そのときは骨盤を矯正して痛みを解消しています。
――骨盤だけが原因ではないという前提が大事なんですね。
庭野さん:解剖学的には、骨盤のズレは産後半年くらいで戻っていくそうなんですが、実際に産後のママさんを診ていると個人差がかなりあるんですよ。「産後の体型が戻らない」、「産前に履いていたズボンが履けない」っていうのも、骨盤だけが原因なのではなくて日常生活での姿勢が影響していたりしますよ。
――産後はもちろん、産前の女性もここで施術を受けることができると聞きました。
庭野さん:産前の方は特に、体の痛みを相談できる場所って少ないと思うんです。「痛いのが当たり前」になってしまっているような気がして。どうしても痛い方が、病院の他に頼れる場所として「トキまち整体」を使ってもらえたら嬉しいです。「妊娠中だから」と諦めるのではなく、整体に相談することが選択に入るように。ただ、妊娠中の身体は体調面なども考慮する必要があるため、産婦人科の先生に相談してもらってから来ていただくようにしています。
――痛みに悩む方の駆け込み寺のような存在ですね。施術をする中で、どんなことを大事にしていますか?
庭野さん:病院以外の選択肢になりたいとはいえ、整体院に行くのってまだハードルが高いと思うんです。それでも来ていただいた方の痛みを、きちんと取ることは大切にしています。和らげるのではなく、一度で痛みが取れるように。あとは、コミュニケーションも大切にしています。お客さんに痛みの原因を伝えるときは、なるべく専門的な言葉を使わず、日常の生活とリンクさせるようにしているんですよ。
――どんなふうに伝えているのか、教えてください。
庭野さん:膝に痛みを抱えている方であれば、「お子さまを抱っこしているときにする、縦揺れの動きで筋肉に負担がかかっていますよ」みたいな感じですね。生活の中での動きに原因があるとわかれば、納得もしていただきやすいと思います。
――なるほど、自分の生活の中で原因がわかれば、より信頼できますね。
庭野さん:そう思ってもらえたら嬉しいです。その延長で、ご自身のことや子育てで悩んでいることを打ち明けられるような場所になればと思っています。産前・産後って身体はもちろん、環境も大きく変わります。その中で生まれた悩みをここで自然に話してもらえたら、僕の母が感じていたような、子育て中の後悔を少しでも減らせるんじゃないかと思っています。。
――「トキまち整体」には、キッズスペースがあるんですよね。
庭野さん:新潟も核家族化が進んできて、「子どもをどこかに預けないと通えない」っていう方が多くなってきたと思うんです。お子さまを預ける必要があると、整体院に通うハードルがより高くなると思っていて。だったらキッズスペースをつくって、お子さまを預けられるようにしようと思ったんです。
――痛みを解消できて、子どもも預かってくれるなんて。至れり尽くせりですね。ところで、庭野さんは佐渡でも施術を行っているそうですね。
庭野さん:月に1週間程度、佐渡にいます。新潟だけではなく、佐渡もサポートしたいと思っていたし、産前産後を専門にした整体院は佐渡には無いので、喜んでいただけていると思います。佐渡にいる奥さんの両親と子どもを会わせてあげられるいい機会にもなっています。
――最後に、庭野さんの今後の目標を教えてください。
庭野さん:今まで通り、産前産後の女性を身体と心の両面からサポートしていきたいです。その中で僕の考えに共感してくれる人といっしょに働けたらいいなと思っているんです。整体院って、女性スタッフの離職率が高さが問題になっていて。それを少しでも改善できるような、働きやすい環境をつくっていきたいですね。
トキまち整体
新潟市中央区紫竹山7丁目10-17 Casa Sole105号