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ダイニングバーがはじめたラーメン店、駅前の「ラーメンヤマダ」。

最近、新潟県内でも増えてきている営業スタイルに「間借り」があります。店舗を持たず、他店の営業時間外や定休日に店舗を借りて営業するスタイルです。今年オープンしたばかりの「ラーメンヤマダ」も、JR新潟駅前にあるダイニングバー「SyuShi(シュシ)」の店舗で間借り営業しているという情報を得て、店主の山田さんにお話を聞いたのですが……。

 

 

ラーメンヤマダ

山田 大輔 Daisuke Yamada

新潟市中央区生まれ。外語系専門学校を卒業後、塾で英語講師をしながらバーやスナックでのアルバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか飲食業がメインに。1999年に東堀で「酒菜舎さんぞく」、2007年に新潟駅前で「ぽんと」をオープン。2017年に「ぽんと」をリニューアルして「SyuShi」をはじめる。2023年「ラーメンヤマダ」をオープン。冬は毎年スキーを楽しむ。

 

塾の英語講師がアルバイトの飲食業にハマる。

——「ラーメンヤマダ」さんって、こちらのダイニングバーで間借り営業をしているんですよね。

山田さん:実は……どちらも私の店なんですよ。冗談でそういう話をしたら、いつの間にかそういうことになっちゃっていました(笑)

 

——じゃあ「SyuShi」というダイニングバーが、昼は「ラーメンヤマダ」を営業しているっていうことなんですね。

山田さん:新潟のラーメン店ってマニアックで厳しいお客様が多いように感じて、「ラーメンヤマダ」のクチコミにも悪い評価がつくかもしれないと思ったんです。それで「SyuShi」の評価まで下がってしまったら困ると思ったので、別店舗としてしっかり線を引きたいと思ったんですよね。

 

 

——それで「間借り」という表現が出たんですね。「SyuShi」はいつ頃から続いているお店なんですか?

山田さん:ここは私が経営する飲食店の2店舗目としてオープンした店で、その前は1999年から東堀5番町で「酒菜舎(しゅさいしゃ)さんぞく」という居酒屋をやっていました。

 

——どういういきさつで居酒屋をはじめたんですか?

山田さん:もともと塾で英語の講師をやりながら、車を買うために掛け持ちでバーやスナックのアルバイトもやっていたんですけど、いつの間にか飲食業がメインになっていたんです。でも店長を任されていたフードバーでが閉店することになっちゃって、オーナーから退職金代わりにその店舗を格安で譲り受けたんですよ。

 

——それで居酒屋をはじめたんですね。

山田さん:本当はバーをやりたかったんだけど、その場所で営業するならバーよりも居酒屋の方が合うと思ったんです。当時は東京あたりでお洒落な居酒屋が流行りはじめていた頃だったので、そんな居酒屋を新潟でやってみようと思ったんです。そしたら見事に当たって繁盛したんですよね。

 

 

——山田さんは、それまで料理経験はあったんですか?

山田さん:料理の仕事をしたことはなかったので、料理本を参考に独学で身につけました。今ならインターネットで簡単にレシピを調べられるんだけど、当時はそんな便利なものはなかったですから(笑)。あと母が料理好きだったので、いろいろとアドバイスをもらいましたね。

 

——それで「酒菜舎さんぞく」で成功して、2店舗目として始めたお店が「SyuShi」。

山田さん:最初は「ぽんと」という名前の居酒屋だったんです。店長を任せた女性が京都好きだったので、京都先斗町の古民家をイメージしたお店でおばんざいの提供をしていました。ところが1年半でめでたく寿退社してしまって……(笑)

 

——それはおめでたいような、残念なような……(笑)

山田さん:しばらくはそのまま営業していたんですけど、駅南に似た名前のお店ができて間違い電話が多くなったので、6年前に「SyuShi」としてリニューアルオープンしたんです。

 

——「SyuShi」って、どういう意味の言葉なんですか?

山田さん:「酒を売る店」「酒を飲ませる店」という意味の「酒肆(しゅし)」という言葉を、柔らかめにローマ字で表したものなんです。「ぽんと」では刺身を提供していたので「SyuShi」では肉盛りを看板メニューにしました。

 

ダイニングバーのオーナーが作るラーメンとは。

——「ラーメンヤマダ」をはじめたいきさつを教えてください。

山田さん:やっぱりコロナ禍の影響が大きいですね。団体のお客様が減って、看板メニューの肉盛りも出なくなってしまったんですよ。そのなかでも提供していたラーメンが人気だったので、昼にラーメン店をやってみようと思ったんです。

 

——ラーメン作りを覚えたのはやっぱり……?

山田さん:独学です(笑)。駅前ということもあって、JRをはじめとした会社の建ち並ぶエリアなので、昼食で利用してくれるサラリーマンが多いんです。ですから「飽きのこないラーメン」をコンセプトにしています。

 

——飽きのこない味にするため、どんなラーメン作りを心掛けているんでしょうか。

山田さん:豚骨を圧力鍋で炊き込み、魚介だしを合わせたダブルスープなんですけど、あまりこってりさせないように心掛けています。その代わり背脂でコクを出してバランスを取るようにしているんです。隠し味に使っている塩麹が後をひく美味しさになっているんじゃないかなと思います。

 

 

——塩麹を使うというのは、ラーメン屋さんにはない発想のような気がします。トッピングもボリュームがありますよね。

山田さん:身体の健康も考えて小松菜を多めに使っています。ほうれん草と比べると5倍の栄養素がありますからね。キクラゲは食感が好きなので、丸ごと使うようにしています。あと、チャーシューには豚バラ肉を使っているので、バーナーで炙って脂を落としてから食べやすいようにしています。隠し味にハチミツを使っているんですよ。

 

——オリジナリティを感じさせるラーメンですよね。「ヤマダ醤油ラーメン」「ヤマダ味噌ラーメン」「冷やし醤油ラーメン」の3種類があるんですね。

山田さん:醤油と味噌が定番で、もうひとつは期間限定ラーメンです。もう少しで「冷やし醤油ラーメン」が終わって「あんかけラーメン」をはじめる予定なんですよ。本当はもっとメニューを増やしたいんですけど、ひとりで営業しているので3種類が限界だし、1日20食の提供がやっとなんです。

 

 

——ひとりで「ラーメンヤマダ」を回しているだけじゃなくって、夜には「SyuShi」の営業もあるんですよね。

山田さん:そうなんですよ。だからスープ作りに時間のかかり過ぎるラーメンは提供が難しいんです。もちろんその時間のなかでこだわりを持って、しっかりと作っているんですけどね。

 

——その辺のジレンマもあるんでしょうね。ラーメン店をやってみて良かったと思いますか?

山田さん:もちろんです。ダイニングバーは味だけじゃなくってサービスやお店の雰囲気で評価していただくことも多いんですけど、ラーメン店って味のみで勝負しているように思えるので、料理人としては面白いしやり甲斐を感じますね。新潟の有名ラーメン店と肩を並べることができるよう、精進していきたいと思っています。

 

 

 

ラーメンヤマダ

新潟市中央区南万代町14-5 Casual Dining SyuShi内

025-244-1051

11:30-13:30

土日曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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