お茶を飲み、語らい、つながる。
宮内商店街の新拠点「chahho。」
カフェ
2025.12.28
宮内商店街にある日本茶カフェ「chahho。(ちゃっほ)」。かつてお茶屋さんだった建物を活用し、カフェを軸にシェアキッチンや雑貨販売、アートの発信などを行う「コモンズ型交流拠点」として2025年にオープンしました。運営元であるまちづくり会社「ミライ発酵本舗」にとって、はじめての自主事業でもあります。「chahho。」はまちづくりにどんな役割を果たしているのか、店長の坂詰さんと副店長の小池さんにお話を聞いてきました。
右/坂詰 夏鈴
Karin Sakatsume(chahho。)
1998年長岡市生まれ。大学で管理栄養士の資格を取得し、福島県の病院に就職。2022年「ミライ発酵本舗株式会社」に転職。「chahho。」の店長。
左/小池 柚
Yu Koike(chahho。)
2002年山形県生まれ。長岡造形大学を卒業後、新卒で「ミライ発酵本舗株式会社」に入社。「chahho。」の副店長。絵が得意で、Instagramや店内の装飾に自作のイラストが使われている。
築90年以上のお茶屋を改装。
食とアートで交流を。
――まずは「chahho。」さんがオープンに至るまでのことを教えてください。
坂詰さん:私たちが働いている「ミライ発酵本舗」は、摂田屋と宮内地区でまちづくりを手がける会社です。行政から委託を受けた施設の運営に加えて、自主事業にも取り組んでいて、その最初のお店が「chahho。」です。
小池さん:この建物は以前「竹樋茶舗」さんというお茶屋さんでした。でも、しばらく空き家になっていて。空き家の活用と商店街の活性化を目的に、地域の茶屋として「chahho。」がオープンしました。
――お店がある通りには、他にもいくつかお店がありますね。
坂詰さん:ここは宮内商店街の一店舗です。高度経済成長期には100店舗が軒を連ねていたそうです。この商店街をもう一度盛り上げたいという思いもあり、通りの真ん中のこの場所を選びました。
――「chahho。」さんは、以前のお店と同じようなお茶屋さんというわけではないみたいですが。
坂詰さん:「食とアートのコモンズ型交流拠点」と表現しています。食を通じてさまざまな人同士が接点を持てるようになっていて、アートの分野の方はこれからもっと可能性を広げていきたいと思っています。そういうものをツールに、人と人が茶飲み話をしながらゆるくつながれる場所にしたい、と思っています。
坂詰さん:ベースは日本茶カフェとして営業していて、週末はお茶漬けも提供しています。それを軸に、間借り営業ができるシェアキッチン、雑貨のセレクトショップ、棚をシェアする「ひと棚商店街」を展開しています。
――日本茶カフェということですが、どんなお茶があるんでしょう?
坂詰さん:村上の「冨士美園」さんから仕入れた茶葉を、私たちがリブランドした「一日の茶シリーズ」を販売しています。
小池さん:朝、昼、午後、夕方とそれぞれの時間にぴったりなお茶です。たとえば、朝はカフェインが強めの玉露を飲んでスッキリしてもらう、というような感じですね。
――メニューは店長が考えているんですか?
坂詰さん:食は私の担当です。近くの農業高校の生徒さんが野菜の移動販売に来てくれるので、その野菜を使って、地産地消を意識したメニューを心がけています。地域で育った新鮮な食材を取り入れて、栄養バランスのよい食事をリーズナブルな価格で提供したくって。特別なことを意識しなくても、気づいたら「健康になっていた」という姿が理想です。
――その思いには、坂詰さんの過去の経験も関係しているのでは。
坂詰さん:管理栄養士の資格を生かして、以前は病院で栄養指導をしていました。当時から「食を制限するのではなくて、地域で暮らしているうちから健康を意識してもらうにはどうしたらいいんだろう」と思っていて。それで「まちの管理栄養士」みたいな関わり方をしたいと思ったんです。楽しくおしゃべりして、美味しいものを食べて、心も身体も健康になるのがいちばんですから。

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シェアキッチン、貸し出し棚が
挑戦の場に。
――続いて「chahho。」のアート的な要素を担当している副店長の小池さんにお聞きします。セレクトショップとして運営をされているようですが、まずはどんな雑貨をセレクトしているのか教えてください。
小池さん:ここのセレクトショップには、「暮らしに一服の余白を」というテーマがあります。ちょっとした自分へのご褒美や、大切な人へのギフトとして使ってもらえるキッチン雑貨をメインに揃えています。たとえば、お茶漬けの器としても使っている「陶 岡﨑」さんの作品や、長岡造形大学の学生さんと「越後亀紺屋藤岡染工場」さんがコラボした手拭い、三条のホーロー製品などです。
――先ほど坂詰さんが紹介してくれた「ひと棚商店街」というのは?
小池さん:店内に設置しているひと棚分のスペースを3,000円/月で、レンタルしています。その棚を借りた人が、好きなものを展示、販売できるというシステムです。地元のアーティストさんや手仕事をされている方たちが、自分たちの活動を発信する場所になればいいなと思っています。
――シェアキッチンとして場を提供するのには、どんな狙いがあるんでしょう?
坂詰さん:シェアキッチンで腕試しをしてから、この地域の空き家で本格的に営業を開始する人が出てくるかもしれない、と期待しています。このまちで働く人、住む人が増えて、商店街がまた盛り上がりを見せてくれると嬉しいです。
――店舗の裏にある建物も、昔のお茶屋さんのものだそうですね。
坂詰さん:物置小屋として使われていて、1階も2階も生活用品がめいっぱい置かれていました。
小池さん:建物の佇まいそのものがかわいらしいですよね(笑)。アイコニックでキャラクター性があるっていうか。ここも活用しようと動き出していて、ちょうど長岡造形大学さんと打ち合わせをしている段階なんです。「chahho。」を通り抜けた先に、隠れ家的なアートの拠点がある、となったら素敵だろうな。

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このまちで暮らす人が
憩い、交流する。
――おふたりが勤めている「ミライ発酵本舗」は、この地域のまちづくりを担っている会社です。「chahho。」さんがオープンしてから、地域とのつながりを感じることってありますか?
小池さん:私は学生時代、「ミライ発酵本舗」が管理運営する「秋山孝ポスター美術館 長岡」でアルバイトをしていました。当時も地域の皆さんと接する機会は多かったんですけど、「chahho。」は、より会話が生まれる場所だと思っています。お客さんと私たち、お客さん同士のやりとりは、アルバイト時代とはまた違って。お茶を飲みながらゆっくり過ごすと、自然とおしゃべりが弾むんですね。地域のハブのような役割を担っているお店だと思います。
坂詰さん:「chahho。」を応援してくれる人がたくさんいるんですよ。お客さんが少ないとき、町内会長さんや駅前のお茶屋さんが「チラシを持っていくね。知り合いに配っておくから」と、宣伝してくれています(笑)
――まちづくり会社で働くひとりとして、意識していることはなんでしょう?
坂詰さん:きっと小池さんと一緒かも(笑)。「近者悦、遠者来(きんじゃえつ、えんじゃらい:近くの人が喜ぶことで、遠くから人が集まってくる)」という論語の言葉が、会社ではよく飛び交っているんです。この考え方が自分の中に根付いているので、まずは「chahho。」を、ここに住んでいる皆さんに大切にしてもらえる場所にしたいと思っています。
小池さん:「chahho。」は、当社にとってはじめての自主事業です。いかに地域の皆さんが楽しめる公益性の高い場所にできるかという面と利益を追求する面の両方が必要だと思っています。そのバランスを考えなくちゃいけないよな、ってオープンからの数ヶ月でしみじみ感じました。きっとこういうことって、新卒入社の社員が考える領域じゃないと思うんです。大きな会社じゃないから、私も改革に加われているというか、挑戦できる部分があります。
――さて最後に、これから「chahho。」さんをどんなお店にしたいか教えてください。
小池さん:ひとりでもフラッと立ち寄れるお店にしたいですね。仕事をする人、本を読む人、いろいろな人が同じ空間を共有して「chahho。」ができあがっている、というような(笑)
坂詰さん:私の場合、ニーズを把握して、課題を解決してっていう入り口でまちづくりを考えると、行き詰まることが多くって。でもこの場所は、もっとシンプル。おのおのが好きなように過ごせて、やりたいことに挑戦できる。そうして過ごしていると、不思議と少しずつ誰かとつながることができる。そんな心地良い場所にしたいな、と思っています。

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