地域を支える活動の拠点
阿賀町七名の「七福温泉 七福荘」
その他
2026.08.15
阿賀町の上川地域には、「丸渕(まるぶち)観光わらび園」や「たきがしら湿原」「大尾(おおお)不動滝」といった観光スポットやレジャー施設があります。そのエリアの拠点となっているのが「七福温泉 七福荘(しちふくおんせん しちふくそう)」。入浴施設や食堂、休憩所を備えた施設です。今回はその「七福荘」にお邪魔して、マネージャーの長谷川さんに施設や取り組みについてお話を聞いてきました。
長谷川 めぐみ
Megumi Hasegawa(NPO法人 七福の恵)
1969年阿賀町(旧東蒲原郡上川村)生まれ。理事、七福荘マネージャー。地元の温泉施設で経験を重ね、オープン翌年より「七福温泉 七福荘」に携わる。2020年に設立された「NPO法人 七福の恵(さと)」には、立ち上げより参加している。孫とチワワのこまりちゃんを溺愛中。
コロナ禍の影響で閉鎖されるも、
地元有志達の思いを受けて復活。
――このあたりの地名は「七名」と書いて「ななめ」と読むんですね。
長谷川さん:その名の通り七つの集落があるんです。それぞれの集落に一体ずつ七福神の石像がまつられていることから「七福の里」とも呼ばれていて、それらを巡るスタンプラリーの拠点になっているのが「七福荘」なんです。
――こちらの「七福荘」は、いつオープンしたんでしょうか?
長谷川さん:平成13年にオープンしました。「丸渕観光わらび園」にたくさんの人が集まるようになったことから、平成5年に「七福の里活性化委員会」が立ち上げられ、わらび園のそばに「ふれあいの森」がオープンしたのをきっかけにキャンプ場やバンガローがつくられて、最後にひと息つける場所として「七福荘」ができたんです。
――町おこしの一環としてオープンしたわけですね。最初から「NPO法人 七福の恵」が運営していたんですか?
長谷川さん:指定管理をまとめて請け負っていた第三セクターによって「御神楽荘(みかぐらそう)」「あすなろ荘」「赤湯」「赤崎荘」「清川高原保養センター」などの温泉施設と一緒に運営されていたんですけど、新型コロナウイルス感染症がまん延した影響で手を引いてしまい、それと同時に「七福荘」も閉鎖することになったんです。
――まさか閉鎖されていたとは……。
長谷川さん:でも地域活性の拠点となっていた「七福荘」を守るために、誰かが代わりに運営を継続していかなければという思いから、令和2年に私も含めた5人の有志で「NPO法人 七福の恵」を立ち上げ、「七福荘」を再オープンしたんです。一年のブランクがあったので掃除や整備が大変でしたね(笑)
――それは大変でしたね。おまけにコロナ禍のなかでのオープンじゃないですか。
長谷川さん:私たちも「とりあえず、やれるだけやってみよう。ダメだったらやめればいい」という気持ちで再オープンしたんです。ところがオープン当日、祝花がたくさん贈られてきて、食堂も大盛況で1時間待ちの行列ができました。オペレーションがパンク寸前だったので、券売機を閉めてオーダーをストップしたほどだったんですよ。
――それだけ再オープンを待っていた人が多かったんでしょうね。
長谷川さん:多くの人達の拠りどころになっていることがわかって、運営をしていくためのモチベーションにもつながりました。

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温冷泉入浴や山の幸を楽しめる、
「七福温泉 七福荘」のおすすめ。
――「七福の湯」というのは、どういった温泉なんでしょう?
長谷川さん:「薬の水」と呼ばれてきた、源泉温度13.5℃の天然水なんです。この水を塗ると傷口がふさがると言われていますけど、深い傷に使うと皮膚の表面だけふさがってしまうので使ってはいけないとされてきました。その水を沸かした温泉と、そのまま使っている冷泉の2種類をお楽しみいただけて、サウナのように交互に使って整う感覚を楽しんでいる方もいらっしゃいます。
――今のような暑い季節には、冷泉がありがたいですね。食堂のメニューについても教えてください。
長谷川さん:おすすめは手打ちそばですね。そば打ち体験もやっていて、私もお隣の会津まで行って山都そばの修業をしてきたんですよ。七福神にちなんだ「そば打ち七人衆」というのがあって、「上川そば祭り」をはじめとしたイベントでそば打ちをしています。
――な、なるほど(笑)。メニューを見ると、山菜や川魚といった山の幸が多いですね。
長谷川さん:あんまり耳慣れない名前や、採ってきたばかりの山菜が食べられることもあるんです。「天ざるそば」は手打ちそばと山菜の天ぷらが両方お楽しみいただけるので、特におすすめです。
――「七福カレー」というメニューも気になります。
長谷川さん:そばつゆの出汁を使っている「おそば屋さんのカレー」です。すべて手づくりしています。お米は自家栽培している上川産の「源流米(げんりゅうまい)」を使っていて、こちらは当施設の売店や道の駅でも販売していますし。そばの乾麺やレトルトカレーも商品化しているんですよ。


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予約制バスや宅配弁当をはじめ
地域のための活動に取り組む。
――売店といえば、お土産品にまじって日用品が販売されているような……。
長谷川さん:あれは地元に住んでいる方々のために販売しているんです。ご高齢で車の運転ができないと、離れた場所まで買い物へ行くのはひと苦労ですから。
――このあたりもやはり高齢化が進んでいるんでしょうか?
長谷川さん:そうですね。私たちの「NPO法人 七福の恵」は「地域のべんり屋」として、地元のためになる活動に取り組んでいるんです。
――例えばどのような活動を?
長谷川さん:廃止されてしまった町の路線バスに変わり、町からの委託で「東川予約制バス」の運転をはじめました。事前に予約していただければ、ご自宅の玄関先までお迎えに上がって、お店や病院など目的地までお送りいたします。
――まるでタクシーじゃないですか。
長谷川さん:地元の方々にはとても喜んでいただいていますね。他には宅配弁当のサービスもおこなっているんです。スタッフの人数にも限りがありますので毎日というわけにはいかないんですけど、月に数回でも食生活のアクセントになってくれたらと思っています。電池交換をやってあげることもあって、高齢者を中心に地域のみなさまから頼られる存在になっていると思います。
――そんなことまで対応しているんですか。
長谷川さん:企業とは違って営利目的ではないからこそできることですし、純粋に地元が良くなることだけを考えて取り組めています。この活動を受け継いでくれる後継者が増えてくれたらいいですね。これからも「七福の里」が暮らしやすい地域であるよう、「七福荘」を拠点に取り組んでいきたいと思っています。

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