溶接・研磨の工場がはじめた移動式コーヒースタンド「CROSS ROAD」。
その他
2025.08.12
昔から金属加工業が盛んで「ものづくりの町」としても有名な燕市に「Wing-D(ウィンディー)」という、溶接や研磨を手がける会社があります。その会社が「CROSS ROAD(クロスロード)」という名の移動式コーヒースタンドを営業しているということで、早速お邪魔して代表の羽賀さんからお話を聞いてきました。


株式会社 Wing-D
羽賀 龍二 Ryuji Haga
1982年燕市生まれ。父の工場を手伝いながらバフ研磨の腕を磨き、他工場で溶接の技術も身につけた後、2020年に独立して「Wing-D」を開業する。野球をやっている子どもの応援をするのが楽しみ。
取引先の言葉で目が覚め、製品のクオリティが上がる。
——「Wing-D」というのは、どんなことをしている会社なんですか?
羽賀さん:ステンレスや鉄製品の溶接、研磨を手がけています。食品関連のサニタリー、真空タンク、ダクト、医薬製薬関連の容器、機械商社関連の架台フレーム、部品なんかに関わっているんです。
——羽賀さんはいつからこの業界で?
羽賀さん:母方の祖父も父も研磨工場をやっていたんです。僕が高校を卒業する頃に父が起業したので、父の下で一緒にバフ研磨の仕事をしてきました。
——「バフ研磨」っていうのは、どういう作業なんでしょうか?
羽賀さん:綿やフェルトでつくられた「バフ」と呼ばれる円盤状の機具を、回転させながらステンレスに当てることで表面を磨くんです。

——へぇ〜。やっぱり技術が必要なんでしょうね。
羽賀さん:いちばん難しいのは力加減ですね。数値化できるものではないので言葉では伝えられないから、経験を重ねて身体で覚えるしかないんです。半年から1年くらい経つと、バフに当てたときの音を聞きながら加減ができるようになるんですよ。ただ、手がける製品が変わると感覚をつかむまで苦労するんですけどね。
——研磨だけではなく、溶接の仕事もしているんですよね。
羽賀さん:最初は溶接されている製品を研磨するだけだったんですけど、溶接もできれば仕事が増えると思ったので、よその会社で働いて溶接の勉強をしてきたんです。3年後に父の元に戻って溶接部門をつくったんですけど、最初の頃は納めた製品に対して「歪みがあるので、これでは買い取りできない」とダメ出しを受けたりして苦労しましたね。

——プロの見る目は厳しいんですね。
羽賀さん:当時は歪みが出るのは当たり前だと思っていたんですけど、その取引先からは「歪みが出ないようにつくるのがおたくの仕事」と言われて目が覚めました。それからは溶接を教わった師匠や取引先に教わりながら技術を磨いて、製品のクオリティを上げられるようになりました。本当に感謝しています。
——仕事の幅も広がったんじゃないですか?
羽賀さん:それもあって、できるだけ自分たちで一貫した仕事をしたかったんですが、そのためには設備を増やさなければならなかったので、父とは考え方の違いで衝突しました。それで独立することにして、2020年に「Wing-D」を開業したんです。
——「Wing-D」という社名には、どんな思いが込められているんですか?
羽賀さん:「D」という文字は半月の形を表しているんです。翼を広げて月まで飛んでいきたいというイメージを社名に込めました。

人と人が交わる、「交差点」を目指したい。
——移動式のコーヒースタンドをはじめたのは、どうしてなんですか?
羽賀さん:これまでずっとものづくりに励んできましたが、使う人に製品を喜んでもらえているという実感がなかったんです。そこで思いついたのが、お客様の反応をダイレクトに見ることができる飲食業だったんですよ。
——なるほど。
羽賀さん:ある社員とコーヒーの話で盛り上がったとき、みんなで豆から挽いて淹れたコーヒーを飲んでみたんです。そしたらめちゃめちゃ美味しかったので「これはいける」と思って、キッチンカーを使った移動販売をはじめることにしました。やるからには「にわか」と思われたくなかったので、研修と試験を受けて「コーヒーインストラクター2級」の資格を取ったんです。

——キッチンカーは新しくつくったんですか?
羽賀さん:何台かキッチンカーをつくった経験のある先輩にお願いしました。でもボックス内のフレームや台なんかは、自分たちで溶接してつくったんですよ(笑)。イメージカラーも社員みんなの意見をまとめて決めました。
——ミントグリーンですね。
羽賀さん:僕はコーヒー豆のようなこげ茶をイメージしていたんですが、社員から「ありきたりじゃないか」とか「もっとパッとした色がいい」とかいう意見が出まして……(笑)。それをもとにデザインをお願いした会社からベージュやミントグリーンなどの提案があって、そのなかから投票でミントグリーンに決まりました。

——和気あいあいとして、なんだか楽しそうですね。
羽賀さん:コーヒースタンドの業務は僕と社員のふたりでやっているんですけど、会社の事業として社員全員に参加してほしいんですよ。だから何か決めるときは、できるだけみんなの意見を聞きたいと思っています。新しいコーヒーをメニューに加えるときも、みんなに試飲してもらって感想を聞いているんです。
——こちらのコーヒーにはどんな特徴があるんですか?
羽賀さん:ハンドドリップしたスペシャルティコーヒーなんです。どんなお客様にも楽しんでいただけるよう、浅煎りと深煎り、その中間の豆をご用意していますが、ありきたりではない個性的なコーヒーを意識しています。元バリスタだった方に教わって、エスプレッソもはじめました。

——豆の選び方以外にこだわりはありますか?
羽賀さん:必ずオーダーをいただいてから豆を挽くようにしています。その間、待っているお客様とお話をさせていただいて、コミュニケーションが取れるのが楽しいですね。お客様だけではなく、イベントの主催者や出店者など異業種の方々とつながりができるのも嬉しいです。
——ちなみに「CROSS ROAD」っていう屋号は、日本語で「交差点」という意味ですよね?
羽賀さん:そうです。ふたつの道が交差するように、人と人が関わり合うことで新しい可能性や価値が生まれたら素敵だなと思って「CROSS ROAD」という名前にしました。
——このキッチンカーが、そんな場所になったらいいですね。

株式会社 Wing-D
燕市吉田法花堂1853-11
0256-78-8314
9:00-17:00
土日曜祝日休
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