生活に寄り添う服を選ぼう。
万代のセレクトショップ「Marchon」

買う

2026.08.01

text by Ayaka Honma

みなさんは洋服を選ぶとき、どんなふうに選びますか?ブランド、素材、つくり手など、選び方はいろいろあると思います。今年の3月に万代にオープンしたセレクトショップ「Marchon(マルション)」では、その人の過ごし方に合わせた洋服を提案してくれます。このお店のディレクター・バイヤーである松田さんに、お店のこと、松田さんご自身のことを聞いてきました。

Interview

松田 隼人

Hayato Matsuda(Marchon)

1999年上越市出身。高校卒業後、半導体関連の企業で働くも、中学生の頃から好きだった洋服を仕事にしようと会社を退職し、古町のセレクトショップで働きはじめる。接客や店舗運営の経験を積んだ後、今年の3月に「Marchon」をオープン。好きなことは美味しいものを食べることと、コーヒーを飲むこと。

「消費者」だった松田さんが、
自分のお店をはじめるまで。

――今日はよろしくお願いします。松田さんがこれまで、どんなお仕事をされてきたのか教えてください。

松田さん:高校を卒業してから上越の半導体関連企業に就職しました。地元では「入れば安泰」と言われるような会社だったので、当時は庭付きの家を買って、いい車に乗って……という、普通のサラリーマンになるつもりだったんです。でも、学生の頃からずっと洋服が好きで。古町まで買い物に来たり、古着屋さんを手伝ったりしていました。本当は服に関わる仕事をしたかったんですけど、「好きなものはお客さんとして楽しもう」と思っていました。

 

――その思いが変わったのには、どんな経緯があったのでしょうか。

松田さん:会社員として働いて、お給料もよくて安定した仕事ではあったのですが、結構特殊な仕事でしたし、「この仕事はもしかしたら将来AIで代替できるかもしれない」って感じたんです。他の仕事もやってみたいなと思ったときに、高校のときから通っていた古町の個人のセレクトショップから声をかけてもらったんです。このお店の店長さんの接客にとても憧れていましたし、やってみたかった服の仕事ということで、思いきって転職しました。

 

――そもそも松田さんが服に興味を持ったきっかけは?

松田さん:いちばん古い記憶は、小学校6年生のときの修学旅行ですね。当時好きだった子とたらい船に乗れることになって、「これは気合いを入れなきゃ」と(笑)。ふたりの姉と一緒に万代まで服を買いに行って、そしたらいざ当日、好きな子から「松田くん、おしゃれだね」って言ってもらえたんです。その瞬間、脳に稲妻が走りましたね(笑)。それ以来、ずっと服が好きで、服はもちろん、ファッション誌も毎月買っていました。

 

――実際、服に関わる仕事をはじめてみていかがでしたか?

松田さん:めちゃくちゃ楽しかったです。大きな企業に働いていたほうが福利厚生はよいかもしれないですが、個人店だからできる経験もたくさんありました。20代でお店の店長を任せてもらえたり、大きなお店では、なかなか行くチャンスのないブランドの展示会に行かせてくれたり。とてもいい経験をさせてもらえたなと思っています。

 

――そんな松田さんが、自分のお店をはじめることにした経緯を教えてください。

松田さん:服の仕事をはじめたときから、「いつかは自分のお店をもちたい」と思っていたんです。セレクトショップで働いて、6年くらいが経って「そろそろかな」と考えはじめたときに、古巣が同じで、お世話になっていた業界の先輩から「セレクトショップをやってみない?」って声をかけてもらって。そのタイミングで東京のお店からもお誘いをいただいていたんですけど、僕は新潟でお店がやりたいと思っていたんです。

 

――新潟でお店をしようと思ったのには、どんな思いがあったのでしょう。

松田さん:新潟って、都会すぎず田舎すぎない場所だと思うんです。ゴリゴリのアメカジで銀座にいたら浮いてしまうように、着る場面や場所によっておしゃれの見え方は変わりますよね。新潟でならジャケットを着ても浮かないし、カジュアルすぎても不便になりすぎない、そういう「ちょうどよさ」が僕は好きで、新潟でお店をはじめることにしたんです。

 

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新品と古着。
TPOにあわせた選び方を。

――「Marchon」にはどんな洋服が置いてあるのでしょう。

松田さん:昔から愛されてきた定番の、クラシックなラインナップを軸にしています。結局、服はいつか見た目に飽きて、最後に残るのは着心地とシルエットだと思っていて。このお店では、流行に左右されない、長く着てもらえるような洋服を新品と古着、それぞれ取り扱っています。

 

――古着もあるんですね。どちらも取り扱うことにしたのは?

松田さん:いちばん古着を買っている人って、デザイナーだと思っているんです。というのも、展示会でデザイナーの方たちと直接お話していると、実は古着を参考に、着心地やシルエットを改良して新品の服をデザインしていることがとても多くて。ここで、新品と古着を置くことで、その「元ネタ」を知る面白さを、お客さまにも味わってもらいたいと思ったのが理由のひとつです。

 

――日々新しく生まれている服にも、元ネタとなる服があると。面白いです。

松田さん:あとは、服だけにお金を使ってほしくないという思いもあります。僕は、美味しいものを食べたり、旅行したりすることまで含めてファッションだと思っているので。新品の値段にはもちろん理由があるんですが、それにお金を使って生活がカツカツになってほしくはないんです。だから、新品に比べて比較的価格の低い古着も置いています。

 

――価格のことも考えてくれているとは。ありがたいです。

松田さん:服はあくまで生活に寄り添うものだと思っていて。もちろん、いい服が持っているロマンも大事なんですけど、そこにお金を使いすぎて自分の趣味とかやりたいことができなくなるのは違うのかなって。その人の好きなものを楽しむために、それぞれの場所やシチュエーションにあった洋服を選んで欲しいなと思っています。

 

もとは薬局だったというこのお店。そのときから残っている梁には、味があります。

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生活を共にする一着を、
提案できるお店でありたい。

――松田さんが、接客の中で大事にしていることは?

松田さん:お客さまに似合うかどうかはもちろん大前提として、それを着てどこで何をするのか、そのシチュエーションを一緒に考えることを大事にしています。「どこで」「誰と」「どんなことがしたい」っていうイメージを聞いて、一緒に洋服を選んでいますね。

 

――お話を聞いていると、その人の生活のために服を選んでいるように感じます。

松田さん:まさにそうで。服と人に主従関係があるならば、僕は人が主であるべきだと思っています。お店の名前の「Marchon」はフランス語で「一緒に歩く」という意味なんです。前職のとき、「はじめていいお洋服を買いました」というお客さまが多くて、はじめの一歩が踏み出せるお店でありたいし、その後もお客さまの生活と一緒に歩けるような洋服を提案できるお店でありたいなって。

 

――明日からの服選びが変わりそうです。最後に松田さんのこれからの目標を教えてください!

松田さん:まずはこの店を長く愛してもらえるように続けていきたいです。できることなら10年、それ以上続けていきたいですね。お店では飲食店の許可も取得しているので、コーヒーやビールを楽しめるイベントも企画していきたいと考えています。おいしいコーヒーやお酒を飲みながら過ごせる時間まで含めて、お店で体現できたらなと。それから、将来的には上越にも自分の店を出したくて。「わざわざ東京に行かなくても、かっこいい大人がちゃんといるんだ」と、上越の方にも伝えられたら嬉しいです。

 

Marchon

新潟市中央区八千代2-2-4

12:00-20:00

火曜、水曜定休

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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