地方の特産品や郷土食を全国に届ける
「有限会社 アド・グッズ」

食べる

2026.04.02

text by Kazuaki Yamazaki

新潟の郷土料理に「のっぺ」があります。お正月をはじめお祭りや婚礼、法事の席のお膳につく煮物で、里芋、にんじん、ごぼう、れんこん、椎茸、ホタテ、鮭などの具材を煮込んでつくられ、里芋の自然なとろみが大きな特徴。今回紹介する「有限会社アド・グッズ」は、新潟の「のっぺ」をはじめ、日本各地の隠れた特産品や郷土食にスポットを当てて商品化している食品メーカーです。新潟市北区にある事務所にお邪魔して、加藤社長から商品化のこだわりや難しさについてお話を聞いてきました。

Interview

加藤 良克

Yoshikatsu Kato(有限会社 アド・グッズ)

1949年五泉市生まれ。アパレル企業を経て食品メーカーで30年間営業としての経験を積み、2003年に独立して「有限会社アド・グッズ」を設立する。

全国を飛び回っていた営業マン時代、
各地の郷土料理に興味を持つ。

――独立して起業をする前、加藤さんはどんな仕事をされてきたんでしょう?

加藤さん:珍味や漬物の製造をしている大手食品メーカーに勤めて、営業マンとして全国各地を飛び回っていました。一週間は家に帰ってこないことばかりでしたね。そんな生活を送っていたので、各地の郷土料理や特産品に触れる機会も多かったんです。食品に携わる仕事をしていたので興味もあったんですよね。

 

――ずいぶんいろいろなものを口にされたんでしょうね。

加藤さん:冬の北海道で食べた白子の刺身や、気仙沼で食べたサメの心臓の刺身が印象に残っていますね。ホヤは最初食べられなかったけど、慣れてくると病みつきになっちゃうんですよ。私は根っから珍味が好きなんでしょうね(笑)

 

――サメの心臓なんてなかなか食べる機会がないですよね(笑)

加藤さん:その土地でしか食べられないような隠れた特産品や郷土料理に興味を持つようになって、そうした食品を多くの人に知ってもらって未来に残していきたいという思いから、50代のはじめに独立して「有限会社 アド・グッズ」を立ち上げました。

 

――食品メーカーで培った、営業としての経験が生かせそうですね。

加藤さん:もちろん経験としては役に立っているんだけど、前の職場や取引先を頼ろうという気持ちはなかったですね。だから起業してから商売が軌道に乗るまでの5〜6年くらいはとても苦労しましたよ。

 

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素材の色や旨みをそのままに
郷土料理をレトルト食品で再現。

――どのような商品を製造販売しているんでしょうか。

加藤さん:売れ筋の商品には「重ね巻」という北海道の郷土食があります。脂の乗った鮭と昆布を何重にも重ねてミルフィーユ状にしたものです。あとは鎌倉時代からの郷土料理で、たくさんの野菜や豆腐を煮込んだ「けんちん汁」も人気があります。

 

――新潟の郷土料理「のっぺい汁」も作っているんですよね。

加藤さん:私が幼い頃から慣れ親しんできた「おふくろの味」を再現しています。私の家庭では帆立や鮭を入れていましたが、レトルト食品では鮭の旨みを出すのが難しいので、代わりに鶏肉を使って旨みを出しているんです。

 

――へぇ〜。苦心している部分もあるんですね。

加藤さん:そうなんですよ。里芋も熱をかけると色が黒くなってしまうので、綺麗な白い色を保つことができるよう工夫しています。素材の味や色が変わらないようにするのが、レトルト食品を作る上では難しかったりするんですよ。年配のお客様から「自分が食べていた郷土料理と味が違う」とご指摘を受けることもありました。

 

――その上で、こだわっていることがあったら教えてください。

加藤さん:安心安全な材料を使っていることですね。化学調味料を使わず、できるだけ国産食材を使っています。その分価格は上がってしまいますが、品質を下げないためにはやむを得ないんですよ。

 

――そんなこだわりを大切に作られた「のっぺい汁」の評判はいかがですか?

加藤さん:都会の人というよりも、都会に住んでいる新潟出身者に評判がいいですね。「ふるさとの味を思い出した」とか「新潟出身のおふくろがよく作ってくれた」とか懐かしがって喜んでくれています。

 

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自然環境の変化に影響を受けやすい
国産食材にこだわることの難しさ。

――国産材料にこだわるのって、難しいことじゃないですか?

加藤さん:難しいですねぇ。天候不良をはじめ様々な事情で手に入りにくい国産の海産物や農産物も多いんです。いか大根を製造したくても、いかが不漁で手に入らないから作れないんですよ。もう、ダイヤモンド並みです(笑)

 

――温暖化の影響で気温が上がり、海産物や野菜がダメージを受けていますよね。

加藤さん:その他にも里山に熊が出没するようになったことで、キャラブキやモウソウダケといった山菜も採りにいくことができず手に入らないんです。そのため、山菜採りを生業にしているおばあちゃん達が困っていますよ。

 

――そうなると、輸入食材に頼らざるを得なくなってきますよね。

加藤さん:ですから、最近はこれまで使ってこなかった食材を使うことも多いんです。また一方では、今まで輸入に頼っていたザーサイやメンマといった食材を、国産化しようといった取り組みもおこなわれています。

 

――最後になりますが、これからはどんな商品に力を入れていこうと思っているんでしょうか?

加藤さん:インターネット通販の運営をしている会社とコラボしながら、惣菜商品に力を入れているところなんです。主婦層に人気のあるサラダ風の商品を中心に、いろいろな商品を展開していきたいですね。ヴィーガンやSDG’Sといった世のなかの動きにも合わせていこうと思います。

 

――いろいろな関わりのなかで商品が生まれていくんですね。

加藤さん:各地に足を運ぶので交通費がかかって大変なんです(笑)。リモートでは熱量が伝わらないから、どうしても現地へ足を運ぶことになるんですよ。でも、おかげでいろいろな人と出会えることが楽しいし、この仕事をやっていて良かったと思えますね。

 

有限会社 アド・グッズ

新潟市北区早通北4-4-16

025-379-7436

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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