懐かしのあずきアイスを復活させた「AMEYA AISU」。

加茂商店街のフーテンの寅さん。イベントMCもこなすアイス屋の店主。

加茂山公園と青海神社に挟まれた加茂市の駅前商店街。精肉店や自転車屋など、昔懐かしい風情がたまらない、ちょっとノスタルジックな雰囲気。そんな商店街に突如現れた、ブルックリンを彷彿とさせるお洒落な店こそが、今回紹介する「AMEYA AISU」です。どうして商店街にオープンしたのか、どのような日常を歩んでいるのかなど、店主の捧さんにお話しをうかがいました。

 

AMEYA AISU

捧泰士 Yasushi Sasage

1989年生まれ。「青木飴屋」5代目兼「AMEYA AISU」店主。3on3バスケットボールイベントのMCを務め、車夫として人力車も運ぶ。人情と商店街という空間に魅せられた、現代のフーテンの寅さん。

 

 

商店街の思いを背負って、フランクにアイスを盛る「AMEYA AISU」。

――店名に「AISU(アイス)」とありますが、ジェラート屋さんではないんですよね?

捧さん:それ大事なポイントですね!ジェラートとアイスって、いろいろな定義があると思うんだけど、「アイス」として販売してて。お洒落にジェラートって柄でもないし、日本人らしく「冷たい甘いやつ」って大きく考えれば「アイス」でしょ?

 

――確かに。冷たい甘いのはアイスですね(笑)。

捧さん:商店街だから子どもからお年寄りまでいて、一番伝わりやすいのが「アイス」だって思ったし、ローマ字読みで「AISU」にしたのも、「ICE」だと氷じゃん?なんか違うかなって。

 

――「アイス」でこだわるのも、この立地(商店街)を考えてなんですね。なんでお店をはじめようと思ったんですか?

捧さん:元々は「AMEYA AISU」の隣にある、きなこ飴やいなり寿司、卵焼きで巻いた太巻きなんかを販売している「青木飴屋」にいたんだ。家業でさ。この場所は化粧品屋だったんだけど、閉店することになって、シャッター商店街にはしたくないって思って。

 

 

――商店街を守るためにはじめたんですね。

捧さん:お店をやろうと思った当初はアイスって考えはまだなくて、でもカフェとか居酒屋はしたくなかったんだよね。「青木飴屋」もそうだけど、創業100年の歴史があるのって、何か意味とか理由があると思ってて。何世代先まで、自分が死んだ後にも残るような実家みたいな店をやることでこの商店街は残っていくと考えたんだ。

 

――素敵な考えですね。でも、なんでアイスだったんですか?

捧さん:この地域には昔、「あずきアイス」が売られてたんだよ。「青木飴屋」でもじいちゃんが作ってくれていたから、自分も食べてたし。今となっては昔懐かしい、アノ時の味になってしまったから、復活させたいし、自分たちがおいしいと思って食べていた「あずきアイス」をちびっ子たちにも食べさせてやりたいなって。

 

ブルックリン風のアイス屋で食べる「あずきアイス」。

――昔食べた「あずきアイス」の復元は大変ですよね?

捧さん:大変だったね。じいちゃんが作ってくれていたから、作り方を聞こうと思ったのに「あ~もう、忘れた!」って言われちゃったからね(笑)。驚きを隠せなかったよね。

 

――忘れちゃったんですね(笑)。

捧さん:だから頑張ったよね。って、いっても頑張っている様子を見られたくなくてこっそり1年かけてまずはアイスの作り方を勉強してさ。恥ずかしがり屋なんだよね(笑)。材料は小豆、水、砂糖だけってのは知っていたから、とにかく試行錯誤の繰り返し。

 

――あの時食べた味は再現出来ましたか?

捧さん:「あずきアイス」ができたら、じいちゃんに食べさせてを繰り返してどうにか。商店街の人たちは、昔よりうまいって言ってくれているから嬉しいよね。でも、「AMEYA AISU」のはどちらかというと滑らかなんだよ。昔のはちょっとシャリシャリしていたかな。

 

――ちょっと違っても、上を行くなんて凄いじゃないですか!

捧さん:もっともっと改良を重ねて、さらにうまいって言ってもらえる「あずきアイス」を作りたいよね。

 

商店街で営むコト。地域に愛される店主であるコト。

――ちょっと失礼かもしれませんが、商店街にこのブルックリン風な店舗デザインはどうして…?

 

捧さん:昔からHIP-HOPを聞いていたり、3on3バスケットボールのイベントMCをしていたり、アメリカ寄りな生活スタイルが好きなんですよね。あと、アメリカのダウンタウンとかって、路地を一本入ったら「Hey what’s up? 」みたいな感じで、みんな知り合いでさ。その雰囲気って商店街を歩いていたら、「こんちはー!元気?」みたいな会話があるんだけど、どこか似ている部分があるなって。だからこのスタイルで店をやろうって思ったんだよ。

 

――ブルックリンと商店街に通ずる部分があったんですね。

捧さん:だからこんな若者向けな内装だけど、商店街のおっちゃんとか、おばちゃんも気兼ねなく食べに来てくれるんだよね。

 

 

――確かに。さっきからいろいろな人が「どもー!」とか、声をかけていきますもんね。

捧さん:小学生なんか、駄菓子屋みたいな感覚でふらっと寄っていくもんね。まぁ、それもあってアイスの値段は安く設定して頑張っているんだけどさ。

 

加茂農林高校の生徒:こんにちはー!育てたトマトを売っているんですけど、ひとつどうですかー?

 

捧さん:ほら、こんな感じでみんなフランクに来てくれるんだよね…じゃ、トマト買おうか(笑)

 

アイスに対するこだわりはシビアに。それがAMEYA AISU Style。

――普段は何種類くらいのアイスがならんでいるんですか?

捧さん:定番の「ミルク」「あずきアイス」はデフォルトで、その他を合わせて8種類かな。6種類はシーズンで新しい味を作っているね。

 

――例えばどんな味がありますか?

捧さん:夏はモモとか、友人がめちゃくちゃうまいプラムを栽培しているからそれを使ったり。抹茶とか、チョコレートとかベターな味も。いろいろあるかな(笑)。

 

 

――そうなんですね。いろいろな食材を使ってチャレンジもするんですか?

捧さん:そこはシビアかな。こういう商売をしていると、いろんな人がこれ使ってよって、食材を持ってきてくれるんだけど。アイスにして食材が生きなかったり、そのまま食べたほうがうまいものはいくら友人や知り合いでも使わないんだよね。だから何でもチャレンジするわけではないかな。

 

――人情だけじゃなくって、アイス作りには厳しいんですね。

捧さん:やっぱアイスにしたときに特徴は欲しいし、そのままの方がうまいなら、あえてアイスにする必要ないでしょ(笑)。

 

――これから「AMEYA AISU」をどうしていきたいですか?

捧さん:実家の「青木飴屋」が100年以上も続いてきたように、「AMEYA AISU」も100年先にバトンタッチしたいかな。「あずきアイス」じゃないけど、人の記憶に残りたいし。今日よりも明日。満足しないでドンドン進んでいきたいし、商店街に居続けたいね。

 

 

商店街に似つかわしくないブルックリン風な店内の「AMEYA AISU」。ただなんとなくお洒落だから、アイス屋をやりたいからといった理由で店を開いたのではなく、自身の生活を支えてくれていた商店街への思いが詰まっていました。取材中に何人もの町行く人から声をかけられる様子は、「商店街にAMEYA AISUあり!」と感じられて、店主・捧さんの人柄が伝わるひとときでした。「あずきアイス」おいしかったです。ご馳走様でした。

 

 

AMEYA AISU

新潟県加茂市仲町3-5

0256-64-8797


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