自分の好きなこと、気になることをまとめたオリジナルの雑誌・ZINE。クリエイティブなものやお洒落なものが多くあり、ZINEコーナーを設置しているカフェもあるほど。今回ご紹介する「カフェ明星」は、そもそもが、オーナーのあかるいさんがZINEで描いた「理想のカフェ」。それが現実世界に期間限定で登場した!との情報をゲットして、さっそくインタビューに行ってきました。
カフェ明星
あかるい Akarui
1995年新潟市生まれ。秋田公立美術大学卒業後、新潟のインテリアショップに就職。空想の「カフェ明星」を書き下ろしたZINEからカフェ開業の夢をスタートさせ、2020年に期間限定で実店舗をオープン。
――今日はよろしくお願いします。どんなキッカケでカフェに興味を持ったんですか?
あかるいさん:高校3年生のときに、大学へ行ってもやりたいことがなくて悩んでいました。すると両親が「大学は就職のために行く場所じゃない」と言ったんです。それなら思いっきり楽しいことがしたいと思って、秋田にある美術大学へ行って、現代美術を専攻しました。でも美術を見るのは好きだけど、なんだかしっくりきていなくて。それで卒業制作や就職に対してモヤモヤしているときに友達から言われたひとことがキッカケで、カフェに興味を持つようになったんです。
――どんなひとことだったんですか?
あかるいさん:その友達とは、古民家を改装してコーヒーやケーキ、カレーを提供している「キトキト」というカフェによく通っていたんです。なぜだかワクワクすることが思い浮かぶパワースポットみたいな場所で。そんなカフェで「こんな空間が作れたなら…」って何気なく口にしたら、「コレを目指したら?」ってその友達に言われたんですよ。そのとき、「自分はカフェがしたいんだ」とハッとしましたね。すべてが繋がったかのように。
――それでカフェオーナーを目指したんですね。
あかるいさん:秋田は空き家が多いから、それを活用して2週間限定で「UZZ.café(ウズズカフェ)」というカフェをオープンしました。自分ひとりだったらとても無理だったけど、「卒業制作でカフェをするんだ」ってまわりに言っていたら、たくさんの人たちが興味を示してくれて、お店を作ったり、メニューを考えたりして。いくつかのグループに分かれてやりきることができました。
――実際にカフェをやってみて、カフェへの思いに変化はありましたか?
あかるいさん:「これを仕事にしたい」と、より強く思いましたね。でも、大学を卒業してからすぐにチャレンジすることは難しいと思って、ひとまずどこかの企業へ就職する道を選びました。
――なるほど。いい会社に出会えましたか?
あかるいさん:新潟で開催された就職合同説明会に参加したときに、どこのブースよりもお洒落で雰囲気が良くて「独立を応援します」と掲げている、インテリアショップを運営している企業に出会いました。それで興味を持って面接に言ったんです。そこでは卒業制作でカフェにチャレンジしたことと、5年後には退職してカフェをしたいことをちゃんと伝えて、受け入れてもらえました。ただ結局、3年で退職して。でも、カフェをやりたい気持ちを知ってくれていたから、応援してくれていたし、後ろめたい気持ちもなくステップアップできました。
――応援してくれていたなんて素敵な会社だったんですね。5年の予定をどうして3年に縮めたんですか?
あかるいさん:仕事をしながら少しずつカフェ開業の準備をしようと思っていたけど、忙しくてなかなかそうもいかず。このままだと実店舗をオープンするなんて難しいから、その前に何かできないかと考えて、先にファン作りをするためにZINEを作ったんです。それがキッカケとなって、予定を切り上げて動き出したんです。
――そのZINEではどんなことを表現したんですか。
あかるいさん:まずは自分がどうしてカフェにチャレンジしてみたいと思ったのか、それこそキッカケとなる話から、どんなカフェをやりたいかなどの理想まで、私の頭の中にあるカフェにまつわる気持ちを落とし込みました。
――あかるいさんの頭の中をZINEにしたんですね。制作してからはどうされたんですか?
あかるいさん:制作したZINEを持って大阪、秋田、森岡、新潟のいろんなお店に置いてもらったり、ZINEをもとにポッドキャストなどでラジオ配信をしたり、とにかくカフェをしたいという思いを至る所で発信していました。その活動があったからこそ、今、期間限定でカフェがやれているんだと思います。
――そうなんですね。それでは期間限定「カフェ明星」についても教えてください。ZINEに書かれた理想はどのくらい実現できましたか?
あかるいさん:期間限定の実店舗「カフェ明星」は、いろんな縁があって沼垂テラス商店街にある「mountain△grocery(マウンテングローサリー)」で3月末まで営業しています。借りている店舗だから理想通りの内装は難しいけど、思い描いていたコーヒーとケーキ、カレーのメニュー構成は実現することができました。
――メニューは理想を実現にできたんですね。
あかるいさん:そうなんですよ。コーヒーは鎌倉で焙煎している「珈琲陽(コーヒーヒナタ)」のコーヒーを提供して、ケーキは「Oldtown Dessert Company(オールドタウンデザートカンパニー)」のチョコレートケーキを。そしてカレーは日替わりで「レモンインドチキンカレー」や「トマトチキンカレー」などのオリジナルスパイスカレーを作っています。
――いろいろなお店のメニューも楽しめるんですね。美味しそう。最終ゴールって、やっぱり実店舗の「カフェ明星」ですか?
あかるいさん:はい。期間限定で実店舗をオープンすることができたとはいえ、ZINEに表現した理想を100%再現できたわけではありません。それに理想を具現化した店舗ができたとしても、それはゴールではなくてスタートだと思っています。きっとそこからグラデーションみたいにどんどん色濃くなっていくはずだから。
――これからの活躍が楽しみですね。それでは最後に、今後の予定を教えてください。
あかるいさん:まだいつかスタートするかは決まってはいないけど「ゲストハウスなり」で定期的にカフェをすることが決まりました。たぶん5月頃のスタートかな。今はまだ実店舗の「カフェ明星」を構想している段階だけど、とにかくカフェをやるために動き続けたいと思います。何か新しい展開が決まったらSNSでお知らせするので、気にかけてくれたら嬉しいです。
カフェ明星