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音楽プロデューサーの顔を持つマスターが営む、加茂市の「どらねこ洞」。

加茂市の五番町商店街の一角にある「カフェ&ギャラリー どらねこ洞」というお店。こちらのマスターはアーティストのプロデュースをはじめ、音楽関係の様々な仕事に携わってきた人物なんです。今回はマスターの髙橋さんにカフェのことはもちろん、音楽関係の経歴についてもお話を聞いてきました。

 

 

カフェ&ギャラリー どらねこ洞

髙橋 弘雄 Hiroo Takahashi

1965年見附市生まれ。東京の大学を中退後、コピーライターとして広告代理店に入社。その後ロックバンドのマネージャーを担当し、アーティストと共に「ヨロシタミュージック」へ移籍。マネジメントの他にプロデュースや作詞まで手掛ける。ソニーレコードとのプロデューサー契約を経て、1994年に「オリーブレーベル」として独立。2014年に新潟へ戻り、2021年に加茂市で「カフェ&ギャラリー どらねこ洞」をオープン。レゲエとジャズが好き。

 

コピーライターから音楽関係の仕事へ。

——髙橋さんって、東京にいた頃は音楽関係の仕事をされていたんですよね。

髙橋さん:音楽は好きでしたけど、仕事でやろうとは思っていなかったんですよ。むしろコピーライターになりたくて、大学に行きながらコピーライターのスクールにも通っていました。

 

——当時はコピーライターが注目を浴びていて、花形の職業でしたもんね。

髙橋さん:そうなんですよ。あるときコピーライターを募集している広告代理店を見つけて、大学在学中だったけど中退して入社することにしたんです。僕にとって大きなチャンスだったから、逃したくなかったんですよね。

 

 

——念願のコピーライターになれたわけですね。

髙橋さん:ところがその会社ではアーティストのマネジメントもやっていて、ロックバンドのマネージャーを任されることになったんです。そのバンドが移籍することになったので、僕も一緒に「ヨロシタミュージック」っていう、坂本龍一さんや矢野顕子さん、EPOさんが所属している事務所に移りました。

 

——錚々たる顔ぶれじゃないですか。そこでもマネージャーをされていたんですか?

髙橋さん:マネジメントの他に、プロデュースから作詞までやっていましたね。SILENT POETS(サイレントポエツ)を発掘したり、EL-MLO(エルマロ)、LITTLE TEMPO(リトルテンポ)といったアーティストをプロデュースしました。

 

 

——いろんなアーティストに関わってこられたんですね。そういう仕事をされていて大変だったことってありますか?

髙橋さん:マネージャーをやっていたときは、ツアーのときに車で全国を回るのが大変だったかな。お金があれば新幹線で回れるんだけど、お金がないからメンバーと機材を車に乗せて回るんですよ。北海道から沖縄まで全国に行きましたね。

 

——それはすごい(笑)

髙橋さん:おかげで全国のB級グルメを食べ尽くしました(笑)。カフェをやる上でも、その経験がとても役に立っています。

 

——なるほど〜。今まで食べたなかでいちばん美味しかったB級グルメを教えてください。

髙橋さん:福岡のイタリアンレストランで食べた「ペペタマ」っていうパスタです。ペペロンチーノとカルボナーラが一緒になったようなパスタで、とても印象に残っていますね。当時、福岡ソフトバンクホークスの監督だった王貞治さんも食べに来られていました。

 

自宅でギャラリー兼カフェをオープン。

——新潟に帰ってこられたのはどうしてなんですか?

髙橋さん:当時は独立してレーベルを立ち上げていたんですが、家庭の事情もあって10年前に帰ってきたんです。地方にいても音楽の仕事はできる時代ですから。新潟に帰ってきてしばらくは、地元のイベントやライブで舞台監督とか音響をやっていました。

 

——そうだったんですね。それにしても、どうしてカフェを?

髙橋さん:住居としてこの家を買ったのがきっかけですね。昭和40年頃に建てられた古民家をリノベーションしました。豆腐屋さんを営んでいた家なので店舗スペースだった土間があるんですけど、遊びに来た友人がそれを見て「ギャラリーやカフェにしたらいいんじゃない?」ってアドバイスしてくれたんです。

 

 

——それで「カフェ&ギャラリー どらねこ洞」をオープンされたんですね。「どらねこ洞」っていう店名には、どんな由来があるんでしょう。

髙橋さん:「みんなで集まってわいわいできる洞窟」っていうイメージで、お店のコンセプトにもなっています。「どらねこ」は僕のイメージからきていますね(笑)。コピーライターのスクールへ通っているとき、講師のコピーライターさんが「店名に『猫』が入っていると潰れない」と言っていたのを参考にしたんです。ロゴは神戸でDJをやっている、知り合いのデザイナーさんから作ってもらいました。

 

——猫って縁起がいいんですね。ところで料理はどこで勉強されたんですか?

髙橋さん:大学時代、下北沢にあったイタリアンレストランで3年近く調理アルバイトをしていたので、そのときの経験がベースになっています。スイーツはパン屋さんになることが夢だった奥さんが担当しています。

 

——どんなメニューがあるんでしょうか。

髙橋さん:メニューは少ないんですよ。モーニング、ランチ、カフェにそれぞれセットを用意している感じです。日替わりメニューなので、バリエーションは豊富だと思います。今日のランチメニューのカレーうどんなんて初めて作りましたから(笑)。日替わりメニューの内容は、前日にInstagramやFacebookで告知するようにしています。

 

 

——毎日違ったメニューが食べられるのは、お客さんにとって楽しみですね。どんなこだわりで料理を作っているんですか?

髙橋さん:できるだけ地場産の食材を使うようにしています。あとは作り置きしないで、オーダーが入ってからパスタを茹でたりサラダを作ったりしていますね。

 

——サラダもシャキシャキして美味しいです。お客さんは常連の方が多いんでしょうか。

髙橋さん:友人のミュージシャンも来てくれますが、何より地元の方々から支えていただいています。

 

——そうなんですね。居心地がよくて、地域の常連さんに大切にされているお店なんだなと感じました。今日は取材にご協力いただき、ありがとうございました。思っていた以上に、色々なアーティストの方に関わっていらっしゃって驚きました。

髙橋さん:「リング」っていうホラー映画があったじゃないですか。あの主題歌も僕がプロデュースと作詞を担当しているんです。「きっと来る〜」っていうやつ(笑)

 

 

 

カフェ&ギャラリー どらねこ洞

加茂市五番町3-31

080-6059-4905

10:00-17:00

日月曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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