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新発田の商店街で50年続いてきた喫茶店「コーヒーマリーナ煉瓦屋」。

昔ながらの喫茶店のよさが見直されている昨今、新発田の商店街にある「コーヒーマリーナ煉瓦屋(れんがや)」も、「昔ながらの喫茶店」のそのひとつです。店内は煉瓦の壁や赤い椅子など、懐かしさを感じさせる暖色が基調になっていて、ゆったりと落ち着いた雰囲気。オーナーの富樫さんに、これまでのことをいろいろとお聞きしてきました。

 

 

コーヒーマリーナ煉瓦屋

富樫 鈴子 Suzuko Togashi

1947年新発田市生まれ。地元の企業で事務仕事をしていたが、結婚、出産を機に実家のカメラ店で働きはじめる。1983年に「コーヒーマリーナ煉瓦屋」を引き継ぎ、オーナーとして40年近く店を継続。現在の趣味はフラダンス。

 

飲食店未経験の奥さんが、喫茶店のオーナーに。

——店内のところどころに舵とか錨とかがありますね。

富樫さん:どういう意味があるのかは前のオーナーに聞かなければわからないんだけど、店名に「マリーナ」って入っているから、あちこちに船をイメージした飾り付けがしてあるのよ。照明なんかも実際に船で使われていたものを使っていたりしてね。前オーナーの頃から、ほとんどそのままなのよね。

 

——お店の歴史は古いんですか?

富樫さん:前オーナーが10年くらい営業していて、私が引き継いでからは40年近くやってきたから、もう50年くらいやっているね。お店のなかもあちこち傷んでくるから改修したいんだけど、今では手に入らないような建材もあるからねぇ……。床のクロスも以前のものが生産中止になって、別のものに張り替えたのよ。

 

 

——長く続けているとそういう悩みは出てきますよね。富樫さんはどういういきさつで、お店を引き継ぐことになったんですか?

富樫さん:私の主人がこの店の内装工事に関わって、マスターとも知り合いだったの。お店を手放すことになったマスターが主人に相談して、主人が私に「やってみないか?」って相談してきたんだけど、私は一度断ったのよ(笑)

 

——え、断っちゃったんですか?

富樫さん:ふたりの子どもがまだ小学生だったし、飲食店で一度も働いたことがなかった素人だったわけでしょう。それにお店の規模も大きかったから「とっても無理」って。でも主人はやる気満々だったから「いいチャンスだし、経験のあるスタッフを雇えば大丈夫」って言われて説得されちゃったのよね(笑)

 

 

——経験がないまま飲食……それは大変だったでしょう?

富樫さん:大変だった(笑)。子育てとの両立もしなければならなかったからね。スタッフは前から働いていた人をそのまま引き継いだんだけど、経験のないオーナーがベテランのスタッフを使うから、難しいところがあったのよね。引き継いだ頃は商店街の周りに会社も多かったし、週末も買い物に来る人で賑わったから、とっても忙しかったの。あんまり忙しくて私も泣いたし、バイトさんも泣いてたからねぇ(笑)。でもスタッフが頑張ってくれたおかげで、今まで続けてくることができたし、みんなには感謝してる。スタッフは本当に大事だと思うねぇ。

 

長い年月営業を続けてきた喫茶店のこだわり。

——どんなメニューが人気なんですか?

富樫さん:「海老ドリア」は人気があるかな。ピラフの上に自家製ホワイトソースをかけて焼き上げたもので、まぁ喫茶店の王道メニューだわね。

 

 

——たしかに「ザ・喫茶店」って感じのメニューですね(笑)。料理にはどんなこだわりがあるんですか?

富樫さん:うーん……いちばん気をつけているのは、味が変わらないようにすることかな。お客様はそれを食べに来てくれるわけだから。それから、できる限り自家製のものを使うこと。あと、私が担当しているケーキは、見た目シンプルだけど味には自信があるのよ(笑)

 

——飲食店で働いた経験がないっていうことだったんですけど、ケーキ作りはどこで覚えたんですか?

富樫さん:有名な先生がやっている東京のケーキ教室に、4〜5年通って勉強したの。しっかりしたケーキをお客様に食べてほしいっていう気持ちがあったからね。ケーキ作りを覚えるために交通費がかかっちゃったけど、喜んで食べてくれるお客様も多いから、習いに行って良かったと思ってるわね。

 

 

——独学ではなくて、しっかり勉強したケーキだったんですね。お客さんはどんな方が多いんですか?

富樫さん:お店を引き継いだ当初は年配のお客様が多かったね。カルチャーセンターで民謡のお稽古した帰りの人たちとかね。最近は「昭和レトロブーム」があったせいか、若い人がたくさん来てくれるようになったのよ。SNSに投稿するための写真を撮っていく人が多いね。あと子どもの頃に家族で来ていた人が、大人になってから自分の家族と来てくれたり、若い頃デートで来ていたっていう年配の方なんかもいて、長く続けてきた歴史をお客様から感じることもあるのよね。売り上げが落ちて辞めることを考えたときもあったけど、今まで続けてきてよかったと思うわね。

 

 

——歴史あるお店ならではのお話ですね。

富樫さん:お客様から「この店に来てよかった」「また来たい」って思ってもらえるようなお店にしようと、みんなで話し合いながら接客には気を使ってきたのよ。「もうこの店には来なくてもいいかな」なんて思われたら悲しいじゃない。だから、お店の雰囲気を褒められるのがいちばん嬉しいのよね。

 

——いつまで続けよう、と考えたりすることはありますか?

富樫さん:以前は60歳を過ぎたらやめようと思ってたんだけど、今は考えが変わって、せっかく定年がない仕事をしているんだから、やれるだけやってみようと思ってるの。働けるのはありがたいと思って頑張ろうかなって。

 

 

 

コーヒーマリーナ煉瓦屋

新発田市中央町3-7-5

0254-24-1941

9:30-21:30

水曜休

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