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海とロックにのんびり癒される「海カフェ ロッカローラ」。

柏崎市の海岸線、石地海水浴場と椎谷海浜公園の間に「海カフェ ロッカローラ」というお店があります。一見、海の家っぽいですが、通年営業しているカフェなんです。懐かしいロックが流れる店内からは日本海を眺めることができて、テラス席では海風を感じながら食事やお茶が楽しめます。どうして海のカフェをはじめたのか、オーナーの貝瀬さんに聞いてきました。

 

 

海カフェ ロッカローラ

貝瀬 和広 Kazuhiro Kaise

1967年小千谷市生まれ。愛知県の職業訓練校で4年間技術を学び、新潟に帰って建設業を続ける。2019年に長岡市から柏崎市に移り住み「海カフェ ロッカローラ」をオープン。海とロックと猫、そしてビールをこよなく愛する。最近は昭和の歌謡曲にハマっている。

 

小学5年生のときに聴いたビートルズの衝撃で、洋楽にハマる。

——シングル盤レコードの懐かしいジャケットが、すっごくたくさん並んでいますね。

貝瀬さん:みんな俺のコレクションなんです。こっちの棚にはLP盤もありますよ。これでも2/3くらい売ってしまって、お店の改装資金に充てたんです(笑)

 

——すごい量ですね。貝瀬さんは昔から音楽が好きだったんですか?

貝瀬さん:特にロックが好きでしたね。小学5年生のときにラジオで聴いたビートルズの「ヘイ・ジュード」と「レット・イット・ビー」に衝撃を受けたのがきっかけです。友達の兄貴が持っていたビートルズのレコードを、カセットに録音させてもらって聴いていました。その後はローリング・ストーンズ、ザ・クラッシュなんかも聴くようになっていったんです。初めて買ったレコードはキッスの「ラヴ・ガン」でしたね。

 

 

——洋楽にハマったわけですね。邦楽はあまり聴かなかったんですか?

貝瀬さん:そんなことはないんだけど、当時は日本語の歌詞が邪魔に思えたんですよ。歌詞の意味が頭に入ってきちゃうじゃないですか。むしろ意味のわからない英語の曲の方が、純粋にかっこいいと思っていたんです。

 

——それってなんかわかるような気がしますね。

貝瀬さん:当時は今みたいにインターネットなんてなかったので、音楽の情報も友達の話や音楽情報誌の文章からしか入ってこなかったんですよね。曲を聴かずに雑誌の文章で想像するっていうね(笑)。レコードなんかも月に1〜2枚くらいしか買えないから、買うときはレコードのジャケット眺めながら長い時間迷い続けたりして……。あんまり悩み続けていたら、見かねたレコード店の人から「貝瀬君、レコード試聴して決めてもいいから」なんて言われてね(笑)

 

 

——それからずっとレコードを集め続けてきたんですか?

貝瀬さん:はい。でも本格的に集め始めたのは愛知県の「ロッカローラ」っていう店に入り浸っていた頃からですね。

 

——あれ?このお店と同じ名前じゃないですか。

貝瀬さん:そうなんですよ。俺は実家の建設業を継ぐために、愛知県にある職業訓練校で建設の勉強をしていた時期があるんです。そのとき毎日通い詰めていたのが「ロッカローラ」というロック喫茶でした。そこのマスターは俺にとって音楽をはじめ、旅行、哲学とあらゆることを教えてくれた師匠だったんです。本当に人生のいろいろなことを教えてもらいましたね。そのマスターに「新潟に帰ってゆくゆくはカフェをやってみたいんだけど、そのときは店名に『ロッカローラ』ってつけてもいい?」って聞いたら「ぜひ使って」って言われたんです。そのお店がなかったら、俺も「ロッカローラ」をやってなかったと思います。

 

——初代「ロッカローラ」があったわけですね。ちなみにそもそもの「ロッカローラ」の由来って何なんですか?

貝瀬さん:イングランドのジューダス・プリーストっていうヘヴィメタバンドのファーストアルバムなんです。「ロックがコカ・コーラみたいにメジャーになるように」っていう思いで名付けられたものなんだそうですよ。

 

初めてのカフェ経営に悪戦苦闘した日々。

——カフェをはじめたのは初代「ロッカローラ」の影響ですか?

貝瀬さん:それもあるんだけど、この場所に移り住んだことがきっかけですね。子どもの頃は小千谷の山の中に住んでいたから、ずっと海に憧れていたんですよ。年に1〜2回海に連れてきてもらって、そのたびに海への憧れを強くしていたんです。「いつかは小屋でも何でもいいから海のそばに住みたい」と思っていたので、それまでやってきた建設業を引退して、この場所に移り住んでカフェをオープンしたんです。

 

 

——オープンしてみていかがでした?

貝瀬さん:海の近くに店を出せば、宣伝なんてしなくてもお客様は来るだろうなんて思っていたけど、自分の甘さを痛いくらい思い知りましたね(笑)。1年目なんて誰も来ない日の方が多かったくらい。毎日冬の日本海を眺めてため息をついてました(笑)。あと俺も奥さんも接客業は初心者だから、ひとりでもお客様が来ると緊張しちゃってたんですよ。変に心配して「ご気分は悪くないですか?」とか「料理はお口に合いましたか?」とか聞いてばかりいました(笑)。そういう緊張感がお客様にも伝わっちゃったのかもしれないですね。

 

——最初はいろいろと大変だったんですね。

貝瀬さん:最初の冬にテラスの屋根が吹き飛ばされてしまったりね。今残っている柱や梁はそのときの残骸なんです(笑)

 

 

——冬の海風は凄まじいって聞きますもんね。ちなみに今はお店の調子ってどうなんですか?

貝瀬さん:2年目に入ったあたりから常連のお客様もできて、来客ゼロの日がなくなってきました。3年目になるとクチコミで周知されるようになったのか、オンシーズンの週末は混むようになりましたね。本当にありがたいことです。

 

——なるほど、何事も継続することが大事なんですね。

貝瀬さん:そうですね。1年目は俺たち夫婦も余裕がなかったせいか、仕事中にテンパって喧嘩したりしてましたけど、今は余裕も生まれてカフェのオペレーションもスムーズにできるようになりました。自分たちも成長しているんでしょうね。

 

——接客業の素人からプロになったんですね。

貝瀬さん:まだまだセミプロですよ。前に夫婦喧嘩して店を休業したことがあったんです。そしたらお客さんたちの間で「営業日なのに店が閉まっている」って大騒ぎになっちゃったんですよ。それ以来、夫婦喧嘩をしても店は空けるようになりました。少しはプロの心構えになってきたのかもしれませんね(笑)

 

海を眺めながら食べるタコライス、パスタ、そしてカレー。

——お料理は奥さんが作っているんですか?

貝瀬さん:そうなんです。彼女もとくに飲食業の経験があるわけじゃなくて、料理は独学なんですよ。

 

——え?飲食店で修行したわけじゃないんですか?今日いただいたタコライスもパスタも美味しかったですよ。

貝瀬さん:ありがとうございます。タコライスも和風パスタも、彼女が生まれ育った横須賀で食べていた味を再現したものなんです。お客様は40代以降の女性が多いので、そうしたお客様に合わせた味になっています。

 

 

——他にもおすすめメニューってあるんですか?

貝瀬さん:カレーは評判がいいんですよ。水を一切入れずに、野菜とワインだけを弱火でことこと煮込んで作っているんです。初めて食べたお客様から「こういうお店で出しているカレーだから、あんまり味には期待していなかったのに、とても美味しくてびっくりしました」って謝られてしまったほどです(笑)

 

——お客さんを謝らせるほどの味なんですね(笑)。今後、新たに作ってみようと思っているメニューってあるんでしょうか?

貝瀬さん:お客様からのリクエストが多い、クリームパスタとオムライスは検討してます(笑)

 

気持ちのいい、幸せな時間を過ごしてほしい。

——この場所で生活しながらカフェをやってきていかがですか?

貝瀬さん:地元の人たちには本当に助けていただきましたね。よそからきた自分たちを受け入れてくれた上に、野菜を持ってきてくれたり、みんなでお店に集まってくれたり、いろいろ応援していただいてるんですよ。とても感謝しています。

 

——地元の人たちが受け入れてくれるのは、おふたりの人柄もあるんでしょうね。暮らしてみていかがですか?

貝瀬さん:想像していた以上に気持ちがいい場所だと思います。目の前に何もないことが贅沢だということを知りました。悩みはたくさんあるんだけど、海を眺めているだけで気持ちが落ち着くんです。……まあ、実際には何も解決はしていないんですけどね(笑)。音楽を聴いてビールを飲みながら海を眺めていると、最高に幸せを感じますね。

 

——とってもうらやましいですね。

貝瀬さん:お客様にも同じ幸せを味わってほしいんですよ。昔聴いていた音楽に耳を傾けながらお酒やお茶を飲んで、海を眺めて居心地よく過ごしていただけたら、それだけで俺たちも幸せなんです。あとは店を維持しながら猫にエサをあげることができて、ビールさえ飲めればそれでいいと思っています(笑)

 

 

お邪魔した日はあいにくの天気で、きれいな海を見ることはできませんでしたが、晴れていたら最高の景色が見れたんだろうなと思いました。お店から海の風景を眺めるだけで、穏やかな気持ちになれそうです。運がよければ顔を出してくれる、オーナー夫婦の愛猫ちゃんもお客さんたちを癒してくれますよ。

 

 

海カフェ ロッカローラ

新潟県柏崎市西山町大崎1183-3

090-8116-3328

11:00-16:30

月曜休

 

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