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開放的なスペースで地域の縁側を目指す、内野町のカフェ「house1015」。

近所の人がふらっと顔を出して、玄関の上り口や庭の縁側でお茶を飲んで世間話をしていく……そんな光景、最近はなかなか見かけなくなりました。今回ご紹介する「house1015(ハウスイチマルイチゴ)」は、そんな感覚のカフェを目指してオープンしたそう。居心地のいいスペースで、お店を営む立松さんと清水さんのおふたりにお話を聞いてきました。

 

 

house1015

立松 有美(右) Yumi Tatematsu

1960年新潟市西区生まれ。子育て支援ファシリテーター。娘の不登校で悩んでいたとき周囲に支えてもらった経験から、フリーパーパーの発行やワークショップの開催を通じて、親子を支援する活動を続けてきた。2016年に「にいがた子育ちステイション」を立ち上げ「にいがたふじみ子ども食堂」を運営。2023年に「house1015」をオープン。BSNラジオ「立石勇生のサニーサイド」内「SDGs de はぐくむコラム」に出演中。絵本や歌舞伎が好きで日本酒に詳しい。

 

house1015

清水 麻理子(左) Mariko Shimizu

1962年三条市生まれ。立松さんにとっては義理の妹。東京にあるファッション専門学校を卒業。都内のアパレルブランドに就職し、全国各地を回りながら店長やエリアマネージャーを務める。1967年に雑貨セレクトショップの立ち上げに関わり店長兼バイヤーとして活躍。出産を機に退職した後はフリーランスでエステや化粧品の販売店を続けている。2023年に義姉の立松さんと共に「house1015」をオープン。ライブやアート鑑賞が趣味で、椎名林檎、King Gun、綾野剛のファンをしている。

 

義理の姉妹がはじめた、手作り料理のカフェ。

——こちらのカフェはおふたりで営業されているんですよね。どんなご関係なんでしょうか?

立松さん:まりちゃんは私の弟の妻で、義理の妹にあたるんですよ。

 

清水さん:周りの人たちからは「嫁と小姑で一緒にお店なんてできるのか」なんて心配されるんですけど、お互いにやりたいことが一致しているのでうまくいってます(笑)

 

——おふたりは、どんないきさつでお店をはじめることになったんでしょうか。

立松さん:子育て支援や子ども食堂といった活動をいろいろやってきたんですけど、これまで何かやり残したことは他にないかと考えてみたんです。そしたら「カフェをやりたい」という願望を実現していないことに気がついたので、まりちゃんや家族に相談してみたんですよ。

 

清水さん:私も接客の特技を生かして、いつか大皿料理の店をやってみたいと思っていたので、それなら一緒にやろうということになりました。

 

——それが「やりたいことの一致」だったんですね。料理はおふたりで作っているんですか?

立松さん:パンはまりちゃんが手作りしているんです。

 

清水さん:シフォンケーキは有美さん、セットはふたりで作っています。

 

 

——料理のこだわりがあったら教えてください。

立松さん:ありがちかもしれませんけど、手作りの料理にこだわっています。けっして気取ったものではなく、お友達の家に遊びに行って食べるご飯のイメージなんですよ。

 

清水さん:あと季節の野菜をたっぷり使うようにしています。だから看板メニューの「house1015セット」も旬の素材にこだわっていて、デリとスープは週替わりにしているんです。

 

場所見知りの子でも、リラックスできる空間。

——こちらはかなりお洒落で独創的な店舗ですけど、もともとはどういう建物だったんでしょうか。

立松さん:この建物は私の弟ふたりが19年前に協力して建てたもので、亡くなった両親が暮らしていた住居だったんですよ。両親が亡くなった後にそのスペースを店舗にさせてもらいました。

 

——弟というと、清水さんのご主人も関わったんですか?

清水さん:私の夫は店舗の内装や建築設計をやってきて、以前材木店で働いていたんです。その店では家具付き住宅の建築も手がけていたんですよ。

 

立松さん:大学教授をしている次男が基本設計を考えて、長男が建築したって感じですね。両親が表具店を営んでいた頃は近所の人たちが立ち寄って、上がり框(かまち)に腰を下ろして世間話をしていったんですよ。そのコンセプトを生かしています。

 

 

——大きな格子戸や高い天井が開放的で、とても居心地のいい空間ですよね。テーブルや椅子も、空間によく馴染んでいるように感じます。

清水さん:これは自宅で使っていたものなんです(笑)。私は雑貨のセレクトショップを立ち上げた経験もあるので、自宅でもヴィンテージものの家具を使っていたんです。それをお店に持ってきて使っているんですよ。ちなみに飾ってあるのは、アーティストとして活動している私の娘が描いた作品です。

 

立松さん:床は無垢材を使っているので、子どもが床に座ったり寝そべったりして遊べるんです。ときどき、場所見知りする子がお母さんと一緒に来るんですけど、うちの店では場所見知りせずに遊んでいるそうなんですよ。そういうこともあってか、子ども連れのお母さんからは個室が大人気なんです。

 

 

——それで個室には絵本がたくさん並んでいるんですね。

立松さん:私は絵本の読み聞かせ活動も続けているので、子ども連れのお母さんも気軽に利用できるお店にしたかったんです。最近図書館と団体契約を結んだので、100冊まで借りることができるようになりました。今後は子どもだけではなく、大人に向けた絵本の読み聞かせも行っていきたいと思っています。

 

——お互いの得意分野が生かされたカフェになっているんですね。お客さんはどんな人が多いんですか?

清水さん:最初はご近所の方が多かったんですけど、雑誌やSNSで紹介していただいたおかげで、遠くから若い方も来てくれるようになりました。本当にありがたいですね。

 

立松さん:両親が表具店をやっていたときみたいに、ふらっと立ち寄って世間話をしていくような、「町のお茶の間」みたいに気軽なカフェを目指したいと思っているんです。

 

——今後やってみたいことはあるんでしょうか?

清水さん:落ち着いてきたら、お酒も提供して夜営業もやってみたいんです。うちの子も有美さんの子もアーティストとして音楽活動をやっているので、お店でライブなんかもできたらいいなと思っています。

 

立松さん:昼だけじゃなくて、夜も大人の遊び場的なお店になったらいいですね。

 

 

 

house1015

新潟市西区内野町1015番地

090-3863-4502

11:30-15:00

日-水曜休(Instagramでご確認ください)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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