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ゆったりと日本海を眺めながら粟島を味わえる「カフェそそど」。

粟島港から徒歩1分、日本海にのぞむ「カフェそそど」は、粟島の自然や文化、やさしい人々にひかれて移住した世良さんご夫婦が営むお店です。今回は店主の世良健一さんから、東京出身でありながら粟島でカフェを開いた理由や、移住して10年目を迎える世良さんが感じている粟島の魅力について、教えていただきました。

 

 

カフェそそど

世良 健一 Kenichi Sera

1983年東京都生まれ。地元の高校、大学に進学。会社員として働きながらカフェ開業の資金を貯め、退職後は国分寺の「カフェスロー」で修業。2012年に業務の一環で初めて粟島浦村を訪れたことをきっかけに、2014年移住し「カフェそそど 粟島」をオープン。妻とふたりの子どもたちの4人で粟島暮らしを楽しんでいる。

 

「カフェスロー」から受け継いだスローフードを、粟島らしく伝える「カフェそそど」。

――店名の「そそど」は粟島の言葉で「ゆっくり」という意味なんですね。

世良さん:そうなんです。以前働いていた「カフェスロー」の「スロー」が元になっています。「カフェスロー」ではスローフードの考え方で食事を作っていて。「そのとき、その土地にしかないようなものを」と、生産者さんとのつながりを大切に、自然栽培の野菜など少しこだわった素材を使っていたんです。その考え方にとても共感していたので「スロー」を粟島の言葉「そそど」に置き換えて「カフェそそど」という店名で、粟島らしくスローフードを伝えていきたいと思いました。

 

――粟島でカフェを開いたのはどうしてですか?

世良さん:「カフェスロー」のオーナーが、粟島のカフェ事業で顧問役をしていたんです。その関係で私も粟島に来て、試験的に夏の2、3週間だけカフェをやることになって。その試験営業を終えたときに粟島でもカフェをやっていけそうな感触があったので、役場でカフェを開きたい人を募ったんですね。でもなかなか手があがらなかったみたいで、私に「やってみない?」と話が来たんです。ちょうど結婚して半年くらいで、自分で店を開きたいと思っていたのと、野菜を育てられる畑のある所に行きたいと思っていたので、「じゃあ行きます」って言って。それで粟島に移住してカフェを開きました。

 

――カフェを開いて10年目になるそうですが、粟島の印象はどうですか?

世良さん:粟島は都会みたいに遊べる場所はないですけど、道端で声をかけ合ったり、一緒に飲める仲間がたくさんいたり、村の行事がたくさんあったり、人との関わり合いで満たされる場所ですね。人との距離感が近いのが苦手な人もいると思うんですけど、私はそういうのが好きな方なので、合っている感じがしています。気心の知れた人ができていって、野菜や魚のいただきものが増えて。年々住み心地がよくなって、楽しく過ごさせてもらっていますね。

 

粟島にあるものを活かして、粟島にないメニューを。

――フィッシュカレーがあるんですね。メニューはどうやって決めているんですか?

世良さん:粟島のおいしい魚や野菜を活かして、他の食堂や民宿で出てくるメニュー……例えば刺身や煮魚みたいなものとは少し違う切り口で考えています。フィッシュカレーは絶対作ろうと思っていたので、何度か改良を重ねて5代目まできました。こちらが今のフィッシュカレーです。

 

 

――いただきます。魚の臭みがまったくなくて、爽やかな香りがしておいしいですね! 他にはどんなメニューがありますか?

世良さん:お客さんの声を聞きながら、季節によって変えています。夏は冷たい麺類、冬は鍋焼きうどん。子どもでも食べやすいオムライスやカツ丼とか。島には飲食店自体が少ないので、リクエストを大切に、結構なんでも作ります(笑)

 

――看板に「卵抜けます」と書いてありましたが、それもリクエストがあったのでしょうか?

世良さん:そうですね。たまにアレルギーの方や、特定のものが食べられない方がいらっしゃるんです。でも島では対応できるお店が少ないので、ここでは対応できるようにしています。

 

――食べられないものがある方でも楽しめるのはいいですね。食事メニューの他におすすめはありますか?

世良さん:島のじゃがいもがとてもおいしいので、コロッケはどうですか? 島のイベントでコロッケをふるまうことがあるんですけど、イベントのないときだとコロッケを食べられるところがなくて。これもリクエストが多かったので、ここでは常に食べられるようにしているんです。自家製のジンジャーエールとよく合いますよ。

 

海や山のナチュラルなイメージを、自然のものや粟島にあるもので表現。

――先ほど食事を出していただいたテーブルの雰囲気が素敵だったのですが、壁の色やソファも印象的です。どんなふうに空間づくりをされたんですか?

世良さん:内装はいろいろやりましたね。ナチュラルな雰囲気にしようと思って、壁は海や山を思わせるような色合いを選んで、ソファはストローベイル(※)でつくって貝殻を埋め込んでいます。島で使われなくなったものを取り入れたりもしていて。先ほどのテーブルは昔学校で使われていた机なんです。

 

※ストローベイル:ワラを圧縮してブロック状にしたもの。このブロックを積み重ねて、表面に土や漆喰を塗り、家や家具をつくることができる。

 

 

――粟島にあるものをいろいろと使っているんですね。照明のガラス玉は海で使っていたものでしょうか?

世良さん:そうです。定置網漁とか大型の網用の「浮き」だったらしいんですけど、今は割れないようにプラスチック製のものを使うので、ガラス玉が捨てられるようになりました。穴を開けて照明にしたら雰囲気が出るかなと思って、漁師さんから、いらなくなったものをもらってきたんです。

 

粟島の魅力を伝える、デザインのお仕事も。

――世良さんが着ているTシャツは、店内で買えるんですね。ご自身でデザインされたんですか?

世良さん:私がデザインしたものです。デザインの経験はなかったんですけど、元々ものづくりが好きだったのと、建築学科にいたときにCADをいじって建物は作っていたので、やってみようかなと。

 

 

――デザイン経験がないところからはじめたんですね! 他にもデザインしたものはありますか?

世良さん:村のポスターや港に立っている看板のデザインを請け負いましたね。あとはお土産づくりをちょこちょこやっていて。港や店の前にあるガチャガチャの缶バッチもそうです。

 

 

――すごい! たくさん制作されていますね。カフェをしながらデザインの仕事をはじめたのは、どうしてですか?

世良さん:粟島に来たばかりのときに地域おこし協力隊をしていたんですが、任期が終わったときに、その土地で事業を起こすともらえる補助金制度があって。それを使ってデザイン会社を立ち上げたのがきっかけです。カフェの仕事だけでもやっていけないことはないのですが、常に人手がかかります。でも、デザインしたグッズの販売は、一度作ると人手をかけずに販売できるので、人手の少ないなかで貴重な収入源になっています。

 

――いろんなお話をお聞きできてよかったです。最後に、粟島に来る方に、世良さんのおすすめを教えてもらってもいいですか?

世良さん:遊ぶ場所は多くないんですけど、自然がたくさんあって、人の温かい島です。自然の中でゆっくり過ごしたり、島の人とおしゃべりする時間を楽しんでもらえたりしたらと思います。春から夏もいいんですけど、秋にはお祭りがあるし、冬には神楽やタラ漁があるんです。とれたてのタラは最高で、とくに白子がおいしくて。ここのを食べたら他で食べられなくなるかもしれません(笑)。秋から冬の粟島もおすすめです。

 

 

カフェそそど

岩船郡粟島浦村日ノ見山1513-10

0254-55-2800

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