新潟バイパスの女池I.C近くにある、クラシックカーが展示されたガレージのようなアンテナショップ、「Casa mia(カーサミーア)」。店内にはワインをはじめ、オリーブオイル、パスタ、調味料などのイタリア食材もたくさん並んでいます。いったいどんなお店なのか、マネージャーの山岸さんからお話を聞いてきました。
Casa mia
山岸 拓真 Takuma Yamagishi
1979年東京都生まれ。幼い頃に新潟へ移住。イタリアンレストランで働いた後に独立し、地域ブランドの開発や野菜直売所のコンサルティングに携わる。2021年に「Casa mia」のマネージャーに就任。趣味はカメラやワイン。仕事ではじめたものが趣味になってしまうタイプ。
——イタリアのクラシックカーが置かれていて、ガレージみたいな雰囲気のショップですね。
山岸さん:「FIAT/ABARTH」「Alfa Romeo」の販売をしている「アレーゼ新潟」が、イタリアの魅力を伝えたいという思いで営業しているアンテナショップなんです。
——じゃあ、山岸さんも輸入車のお仕事をされてきたんですか?
山岸さん:いいえ、僕はイタリア車ではなくイタリア料理に携わってきたんです。
——料理の方でしたか。
山岸さん:アルバイトをしていたイタリアンレストランにそのまま就職して、25歳で店長をやらせていただきました。サービスの仕事がメインでしたけど、スタッフが足りないときは調理にも駆り出されましたね。おかげで調理を覚えましたし、スタッフの動かし方も学びました。
——そこで働いた後もイタリア料理のお仕事を続けたんでしょうか。
山岸さん:長岡のイタリアンレストランでもサービスの仕事をしました。新鮮な野菜を使ったイタリアンがブームになってきた頃で、そのお店は地産地消の先駆けだったんです。その頃に「野菜ソムリエ」の資格を取って、生産者のもとを訪れては食材についていろいろと学びましたね。
——まだ「野菜ソムリエ」の資格も珍しかった頃じゃないですか?
山岸さん:そうかもしれないですね。だんだん「野菜ソムリエ」として有名になっていって、料理教室や講演会の仕事が増えたんです。そこでフリーランスで活動をはじめて、6次産業プランナーとして地域の活性化を目指した商品プロデュースもするようになりました。
——例えばどんな商品に関わったんですか?
山岸さん:「りゅうのひげ」っていう食用菊で加工品を作りました。「りゅうのひげ」はかつて西蒲区で食べられていた食用菊なんですけど、どこの農家も作らなくなっていたので、探して見つけたときには2株しか残っていなかったんです。
——まるで絶滅危惧種ですね(笑)。他にはどんなものをプロデュースされたんでしょうか。
山岸さん:「加治川さくらピクニック」という地域ブランドを立ち上げて、地元の特産品を使った「加治川マカロン」を開発しました。春になると加治川の人たちはこぞって大峰山へ登るんです。それでブランドのテーマを「ピクニック」にしました。
——地元の歴史や文化をテーマに商品を作っているんですね。
山岸さん:地域活性化に貢献したいという思いがあるので、商品をプロデュースするときには、その地域の文化を大切にしています。それを地域の外に発信していくことが僕の仕事なんです。そのために商品の見せ方を工夫することを勉強しましたね。
——山岸さんが「Casa mia」で働くことになったいきさつを教えてください。
山岸さん:2021年10月に「Casa mia」がオープンするタイミングで入社しました。最初はほとんど何も決まっていない状態で、決まっていたのは「FIATのディーラーがワインを販売する」っていうことくらい(笑)。でも社長は10年前から、こうしたアンテナショップを構想していたんです。
——何も決まっていない状態で関わるのは、大変だったんじゃないですか?
山岸さん:社長がある程度僕に任せてくれたので、むしろ自由にやらせてもらえたことにとても感謝しています。
——なるほど。でも、どうして輸入車のディーラーがワインや食材の販売を?
山岸さん:社長は車に限らずイタリアが大好きなんですよ。ディーラーにいらっしゃったお客様から「俺は車を買いに来たんだ。バルサミコ酢の話を聞きに来たんじゃない」って言われてしまうほどなんです(笑)。そこでワインやオリーブオイル、パスタといったイタリアの「素晴らしいもの」を伝える場所として「Casa mia」をはじめました。敷居の高いディーラーとは違って、気軽に立ち寄れる場所を作りたいという狙いもあったんですよね。
——確かにいろいろなイタリアの商品が並んでいますけど、いちばん力を入れているのはどの商品なんですか?
山岸さん:これからはワインに力を入れていきたいんです。日本酒が身近な新潟にとって、ワインというのは敷居が高く敬遠されがちなんじゃないかなと思うんです。僕はそのイメージをガラッと変えて、もっとワインに親しんでもらえるようにしていきたいと思っています。
——ワインに親しんでもらうために、心がけていることはありますか?
山岸さん:ワインだけじゃありませんが、商品の説明には気を使っていますね。産地とか製法とかのウンチクを語っても、知らない人が聞いたら難しく聞こえるだけだと思うんです。だったら「さっぱりした」「しっかりした」「コクがある」というような形容詞を使って分かりやすく説明する方がイメージしやすいですよね。
——確かに分かりやすいです。
山岸さん:味の感じ方も人それぞれの主観で違ってきますから、どんなふうにワインを使うのかというシチュエーションをお聞きするようにしていますね。プレゼントなのか自分で飲むのか、誰とどんなふうに飲むのかをお聞きした上で、そのシーンに合うワインをおすすめしています。
——ところでオープンしてから1年が経ちましたけど、今後はどんなふうに「Casa mia」を続けていこうと思っていますか?
山岸さん:これからは、もっと僕自身を前面に出しながら営業していきたいと思っています。2Fにあるイベントスペースも使って、イタリア料理教室やワイン教室も開催していく予定です。イタリアの魅力を伝えながら、新潟のワイン界を変えていきたいですね。
Casa mia
新潟市中央区女池神明2-8-6
025-250-7708
10:00-18:30
火曜、第2第3水曜休