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「くつろぎ処 土間家」が考える、家族の団欒と食卓での学び。

新潟市西区にお店を構える「くつろぎ処 土間家」。看板メニューの釜飯や新潟の地酒が人気の居酒屋です。このお店、普通の居酒屋とちょっと違うのが、「家族団欒」をコンセプトにして食事もお酒も楽しめること。いったいどんなお店なのか、今回はオーナーの大澤さんに、食卓での学びや食材の大切さについてを含めてお話を聞いてきました。

 

くつろぎ処 土間家

大澤 陽平 Youhei Osawa

1976年新潟市生まれ。新潟商業高校を卒業後、アパレルや運送業、サービス業を経て、飲食業の道へ。2013年「くつろぎ処 土間家」をオープン。甘味が大好きで、あだ名は「ぬらりひょん」。ヒップホップMCのZeebraに似ていた過去も。

 

家族の食卓。そこは学びの場でもあった。

――「くつろぎ処 土間家」の看板メニューは、こだわりの釜飯なんですよね。どうしてお酒を楽しむのがメインの居酒屋さんで、食事を売りにしようと思ったんですか?

大澤さん:昔の暮らしって、じいちゃん、ばあちゃん、父親、母親、そして子どもたちが集まって食卓を囲んでいましたよね。僕は子どものとき、その時間がとても楽しみで。でも、楽しいだけじゃなくて、食べ方とかいろんなことをその場で教えてもらった記憶があるんです。そんな家族団欒の食卓を店でも再現したくて、お酒を飲む人も飲まない人もみんなでくつろげる空間にしようと計画したのがはじまりです。

 

――なるほど、確かに家族が集まる食卓では、大人たちはお酒を飲んで、子どもたちはご飯を食べて、それぞれのスタイルで楽しんでいますね。

大澤さん:食卓って、家族ならみんな同じメニューが上がっています。食事をする人も、お酒を飲む人も、同じものを食べている。それは子どもたちが食べているおかずが、大人たちにとっては酒のつまみにもなっているってことです。例えば唐揚げがそうで、おかずにだってつまみにだってなるじゃないですか。それが成り立っていれば「食事」と「お酒」は交われるってことなんですよ。

 

 

――だから「くつろぎ処 土間家」は、「食事」も「お酒」も両方楽しめる店を目指したいと。

大澤さん:はい。それと、お客さんには第一次産業の人たちの苦労を学んでもらったり、体感してもらったりもできるようにと考えました。というのも、農家さんが苦労して育ててくれた食材が美味しいのにはちゃんと理由があることを、自分自身が体験したことがあって。同じことを大人だけじゃなくて、子どもたちにも知って、味わってもらいたいんです。

 

――農家さんの食材がどうして美味しいのかを、料理を通してお客さんに伝えたいということですね。

大澤さん:そうです。お店で扱っている代表的な食材だと、まずは加茂市産のコシヒカリ。このお米は「加茂有機米生産組合」の方々にお願いしていて、田植えや稲刈りなど、大切な作業をするときにはスタッフ総出でお手伝いに行かせてもらっています。あとは魚沼産の八色椎茸なんかも。この椎茸は実際に収穫させてもらってことがあって、もぎたてを生で食べさせてもらって、めちゃくちゃ感動したんですよね。七輪で焼いてお店では提供しています。……などなど、この話、いろいろ紹介していったら終わりません(笑)

 

米をなくしては日本は語れない。それだけ米のDNAは大切。

――食材のこだわりはとても伝わりました。一方のお酒はどうですか?

大澤さん:これは持論ですけど……、日本人は元々農耕民族だから、米を美味しく味わうDNAをたくさん持っていると思っています。だから、昔から日本酒が好きなんじゃないのかなって。だから、なるべく多くの日本酒をラインナップしています。ただ、大吟醸はあえて揃えていないんですよね。

 

――日本酒をたくさん取り揃えているお店って、大吟醸や珍しい日本酒が多い気がしますけど……。あえて揃えない理由というのは?

大澤さん:やっぱり、食卓で飲むならスイスイと飲み口がいい日本酒がいいじゃないですか。ライトな口当たりというか。それに自宅で大人たちが飲んでいるのだって、ほとんど普通酒だしね。これは食事との相性も深く関係していると思うんですよ。

 

 

――ふむふむ。「食卓」をコンセプトにしているから、肩肘張らずに楽しめるのが一番だと。先ほど、チラッと話に登場した釜飯についても聞かせてもらいたいです。このメニューは、さすがに食事を楽しむ用ですよね?

大澤さん:もちろん食事として提供しています。でも、実際はお酒を飲んだ後の〆に食べてもらうことが多いですね。さすがにつまみにはならないかな(笑)。でも、炊き上がるまでの課程は、酒の肴になりますね。

 

――炊き上がるまでの課程? どういうことですか?

大澤さん:今の時代、炊飯器にセットして、スタートボタンをポチっと押したらご飯は炊けるじゃないですか。それもあって、ご飯がどうやって炊けているのかを知らない人が多いんですよね。だから釜飯は小さな羽釜とカセットコンロを用意して、卓上で炊き上げています。カタカタ蓋が揺れて、シューっと湯気が出てきて、ちょっと我慢して蒸らして。そういうのは新潟県民として知っていてもらいたいし、子どもにとっては学びにもなるし。目の前で炊き上がる様子を見るのは酒の肴にもなるじゃないかなって。ちなみに、入口に大きな窯場があるから、これにも注目してみてください。

 

変化する飲食業界。新しい生活スタイルに、どう対応しているのか。

――ちょっと突っ込んだ質問をしてもいいですか? 昨今の生活スタイルの変化に対して、飲食店としてはどう考えていますか?

大澤さん:新型コロナウイルスによる新しい生活様式について、ってことですね(笑)。正直、飲食店はどこも厳しい状況だと思います。でも、新しい基準に従って衛生面を今まで以上に意識しているから、安心してお店に来て食べたり飲んだりしてもらいたい、というのが本音です。

 

――やっぱり、お店でお酒を飲む人は減っていますか?

大澤さん:そうですね。どうしても自粛ムードがあるから、致し方ないです。でも、家族の団欒はなくならないし、不要なものではないから。むしろ「食事を楽しむ」という需要は増えている気がします。親たちはお酒を、子どもたちはご飯を、そんなふうに食卓を囲んで食事を楽しむ家族の団欒は、今までよりも目にするようになった気がしますね。

 

 

――それはお店で、子どもを含む家族での利用が増えているってことですか?

大澤さん:はい。やっぱり「食べる」「飲む」という行為はなくならないんでしょうね。それに喫煙ルールが大きく変わったことも、家族連れの利用が多くなった要因のひとつです。「くつろぎ処 土間家」は全面禁煙にしたから、お子さん連れの家族にも気軽に来てもらえるようになりましたね。

 

――全面禁煙の居酒屋だと、子どもを連れて行っても安心ですね。それでは最後に、「こんな世の中でも頑張っているぞ」といったコメントをもらってもいいですか?

大澤さん:え~(笑)。そうですね……、「くつろぎ処 土間家」では、農家さんから受け取った食材のポテンシャルを最大限に引き出すために、手間暇を惜しまずに仕込みなどを行っています。それは農家さんへのリスペクトであって、美味しいものをより美味しく食べてもらい、「家族の団欒」という日常を素敵な思い出にしてもらいたいという思いも込められています。子どもたちに「食の素晴らしさ」をしっかりと継承していく意味でも、こういったことを伝え続けていきたいです。……こんな感じでいいですか? なんか恥ずかしいですね(笑)

 

 

 

くつろぎ処 土間家

新潟県新潟市西区坂井東1-14-2

025-211-8788

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