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こだわりのかき氷を粋に楽しめる、五泉の割烹「伊藤屋」。

最近、どんどん進化を遂げている「かき氷」。ただシロップをかけるだけではなく、フルーツを盛ったものやスイーツ的なデコレーションのかき氷まで登場して、盛り上がりを見せています。五泉市にある割烹「伊藤屋」でも、かき氷が人気を呼んでいます。シーズンは少し過ぎてしまいましたが、かき氷をはじめたいきさつやこだわりについて、「伊藤屋」三代目の伊藤彰規さんからお話を聞いてきました。

 

 

割烹・仕出し 伊藤屋

伊藤 彰規 Akinori Ito

1993年五泉市(旧村松町)生まれ。東京の調理師専門学校卒業後、東京ディズニーランドのオフィシャルホテルをはじめ、イタリアンレストランやビストロで料理人を経験。現在は実家の「割烹・仕出し 伊藤屋」で専務兼料理長として腕を振るう。東京にいた頃は料理人のかたわら芸能事務所に所属し、ドラマなどにも出演していた。

 

日本料理ではなく、イタリアンやフレンチの修行をしてきた三代目。

——「伊藤屋」さんはいつからはじまったお店なんですか?

伊藤さん:私も詳しくは知らないんですけど、祖父が魚屋としてはじめたお店なんです。いつの頃から割烹や仕出しもやるようになって、娘婿だった僕の父が後を継ぎました。だから僕は「伊藤屋」の三代目に当たるんです。最初は全然そんなつもりはなかったんですけど(笑)

 

——え?じゃあ最初は継ぐつもりはなかったんですか。

伊藤さん:はい。でも、元々ものを作ることは好きだったから、料理を作る仕事をしようと思って、東京にある調理師専門学校に行ったんです。

 

——そこで日本料理の勉強をしたんですね。

伊藤さん:いえ、僕はイタリアンやフレンチといった洋食の勉強をしたんです(笑)

 

 

——卒業後は洋食のお店で働いたんですか?

伊藤さん:東京ディズニーランドのオフィシャルホテルで働きました。3ヶ月間はまったく料理と関係のない社会人としてのマナーをみっちり研修して、それから調理場に配属されたんです。新人は食材の仕入れや賞味期限の管理が主な仕事だったので、料理よりも食材についての知識がつきました。

 

——ホテルではどのくらい働いていたんですか?

伊藤さん:3年くらい働いた後、有名なシェフが経営している表参道のイタリアンレストランで修行しました。そのシェフの料理を覚えたくて入ったんですけど、忙し過ぎて滅多にお店にはいなかったので、副料理長はじめ先輩方から料理を教えてもらいました。といってもデザートや前菜を担当していたので、勉強の場はもっぱら「まかない料理」でしたね。厳しいことばかり言われて褒められたことは一度もなかったんですけど、とても勉強になりました。その後は新宿にあるビストロでフレンチの修行をしました。

 

——イタリアンにフレンチ……まだまだ日本料理にたどり着きませんね(笑)。ちなみにそこはどんなお店だったんですか?

伊藤さん:肉料理中心の店と魚料理を提供する店をふたつ経営していたんです。その両方を行ったり来たりしながら、肉と魚の料理を勉強させてもらいました。前のイタリアンレストランが野菜料理を得意としていたので、野菜、肉、魚の料理をひと通り覚えることができたんですよね。

 

おすすめ料理は……「ありません」。

——伊藤さんが新潟に帰ってきたのは、どうしてなんですか?

伊藤さん:自信もついてきたので、そろそろ独立して自分の店を持ちたいと思っていたんです。そんな矢先に、実家の「伊藤屋」を父と一緒にやっていた板前さんが辞めてしまって。しばらく父がひとりで宴会や仕出しの料理を作っていたので、新潟に帰って「伊藤屋」を手伝うことになったんですよ。

 

——お、いよいよ。イタリアンやフレンチから日本料理の料理人に転身したんですね。

伊藤さん:日本料理は父から教わりました。でも自分の得意なものも出していこうと思って、コースの中に洋食メニューも入れるようにしていったんです。日本料理の中に洋食があるのが新鮮だったのか、お客様には喜ばれるようになりました。

 

 

——料理を作るときに心掛けているのはどんなことですか?

伊藤さん:僕は自分のおすすめを聞かれたら「ありません」と答えているんです。僕が食べたいものを食べてもらうんじゃなくて、お客様の食べたいものを作りたいと思っているからです。それを美味しく食べて喜んでいただけたら、それが何よりうれしいんです。だから、ご予約のお電話をいただいたときも、ご本人様とお連れ様の好みをお聞きしています。

 

——なるほど。では料理以外で心掛けていることはありますか?

伊藤さん:割烹っていうのは、それなりの料金をいただいているわけですから、普段は味わえないような「おもてなし」を心掛けています。

 

材料や削り方、バランスにこだわった人気のかき氷。

——さて、いよいよかき氷についてお聞きしたいと思います。どうしてはじめることになったんですか?

伊藤さん:コロナ禍で割烹や仕出しのご利用が減ったというのもありましたし、もっと「伊藤屋」をたくさんの方々から知ってもらいたいというのもあって、昨年8月からはじめたんです。お弁当やテイクアウトも考えたんですが、生ものを提供することは難しいので、かき氷をやってみようということになりました。

 

——かき氷は独学ですか?

伊藤さん:妹が東京の有名かき氷店で働いていたので、作り方を教えてもらいました。ソースは僕が今までやってきた洋食のノウハウを生かして作っています。

 

——すごい人気みたいですね。

伊藤さん:おかげさまで。今まで割烹に来たことがなかった、若い人たちが来てくれるようになったのはありがたいです。割烹っていうと、いかつい大将が出てくるようなイメージかもしれませんが、僕が出て行くと安心してもらえるみたいです(笑)。季節ごとにメニューが変わるのでリピーターも増えて、行列ができるまでになりました。

 

——そこまで人気が出た理由は何でしょう?

伊藤さん:こだわりを持って丁寧にやっていることだと思います。氷や食材はもちろん、削り方ひとつにしてもこだわっていますから。新潟は湿度が高いので氷を出すタイミングにも気をつけていますし、削るときの圧力の掛け方、刃の角度でも氷のふわふわ感が変わってしまうんです。シロップも3段重ねして手間をかけています。

 

——かなりいろいろなことに気を遣っているんですね。他にもこだわっていることはありますか?

伊藤さん:一番難しいのは氷とソースのバランスですね。ソースだけで美味しくても、氷と合わせることも考えなくちゃダメだし、まして氷が溶けることも忘れないように作らなければなりませんから。

 

 

——なるほど。組合せのバランスが大切なんですね。かき氷はいつ頃まで食べることができるんですか?

伊藤さん:今年は11月までやる予定です。これからは秋の味覚を使ったメニューや、ハロウィンのメニューを考えています。かき氷はこれからも続けていきたいと思っていますが、コロナ禍が落ち着いたら夜のお座敷も盛り上げていきたいですね。ダメだと思うとダメになっていってしまうから、何事もプラス思考で考えてきたいです。

 

——最後に、ずっと気になっていたんですけど……そこにぶら下がっているTシャツは何ですか?

伊藤さん:あれはうちのかき氷をモチーフにしたグッズです。東京のイラストレーターにお願いして作ってもらいました。五泉のニットを着て市の花「ぼたん」を髪飾りにしている女の子で、耳には「伊藤屋」の家紋をつけているんです。販売してみたら売り切れちゃったので、追加発注しているところなんですよ。

 

 

最初は従業員の方かと思ったくらい、物腰が柔らかく、気さくなキャラクターの伊藤さん。お客さんに喜んでほしいという強い思いで、細部にまでこだわったかき氷を提供しています。柔らかい秋の日射しが降り注ぐお座敷で、いつもとは違ったかき氷を味わってみてはいかがでしょうか。

 

 

割烹・仕出し 伊藤屋

五泉市村松甲2169-6

0250-58-6231

9:00-22:00

不定休

 

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