Things

こだわりの玄米パンやシフォンケーキの店頭直売「パン工房 Dream House」。

新潟市の下町に親子で営んでいる「パン工房 Dream House(ドリームハウス)」があります。病院の売店や警察署などでパンを販売している小さな工房ですが、人気の玄米パンやシフォンケーキの店頭直売もしています。そんな工房を訪ねて、代表の市川さんからパンづくりのこだわりについてお話を聞いてきました。

 

 

パン工房 Dream House

市川 和弥 Kazuya Ichikawa

1986年新潟市中央区生まれ。以前はトヨタ自動車株式会社で完成車両の検査を担当。2009年に新潟へ戻り、人気ベーカリーでの修業を経て、2012年より母と弟が経営する「パン工房 ドリームハウス」に代表として加わる。自動車いじりが好きで、車検も自分で通している。

大手自動車メーカーから、下町のパン屋さんに転職。

——こちらの店名は「パン工房 ドリームハウス」と「パン工房 DreamHouse」のどちらが正しいんでしょうか?

市川さん:母と弟だけでやっていたときは「ドリームハウス」とカタカナ表記だったんですけど、僕が代表になってからは「DreamHouse」と欧文で表記するようになったんです。

 

——以前はお母さんと弟さんだけでやられていたんですね。

市川さん:ここは、聴覚に障害のある弟が働ける場所をつくってやりたいという気持ちから、母がパンづくりの趣味を生かして2004年からはじめた店なんです。趣味を生かして、とはいっても、商売としてパンづくりをするために、以前パン屋をやっていた方からしっかりと技術を学びました。

 

——そのとき市川さんは他の仕事をされていたんですか?

市川さん:僕は愛知県にあるトヨタ自動車の本社で、完成車両の検査を担当していました。内閣府の自動車や有名人の自動車なんかも検査していて、なかにはポール・マッカートニーの自動車もありました(笑)

 

 

——大手企業にお勤めだったんですね。もともと自動車がお好きだったんですか?

市川さん:幼い頃から自動車の名前を全部言えるくらい好きで、よく父の自動車の洗車やタイヤ交換を手伝っていました。

 

——それじゃあ天職だったと思うんですけど、どうして退職することにしたんでしょうか?

市川さん:自分がサラリーマンには向いていないと思ったからなんです。上司からの命令に従うのではなく、自分の信念に従って働きたいと思ったので、会社を辞めて家業を継ぐ決心をしました。

 

——でも、それまでパンづくりなんて、やったことなかったんですよね?

市川さん:そうなんですよ。だから父の知り合いのパン屋さんで修業させてもらいました。トヨタ自動車のときは3交代のシフト制だったんですけど、どうも僕には向かなかったんです。毎日同じ生活を送るようになってからは体調が良くなりました(笑)

 

 

——それはよかったですね。市川さんが「パン工房 Dream House」で働きはじめて、変化したことはあるんでしょうか?

市川さん:それまでは店頭販売の他に、本町市場での路上販売をしていたんです。でも、それだけで食べていくのは難しいので、病院の売店へ卸売をしたり警察署を回って販売したりするようになりました。1日に10軒以上配達や販売に回るので、パンをつくる数は制限されてしまうんですけど、店頭販売と比べて売り上げが安定するのは有難いですね。

 

——店頭販売は今も続けているんですよね?

市川さん:はい、特に日曜は配達が少ない分、店頭販売のパンやケーキを多めにご用意してお待ちしています。

 

自動車検査の経験が生きている、パンの品質へのこだわり。

——市川さんがパンをつくる際のこだわりを教えてください。

市川さん:自分の納得がいかないパンは販売しない、ということですね。ほとんどのお客様には気づかれないような細かいことでも、気になる部分があったら売らないようにしています。小さな店だからこそ製品管理には気をつけて、お客様の信用を失わないように心掛けています。新鮮なパンを提供したいので、つくったパンはその日の内に売り切るようにしています。

 

 

——看板商品や人気商品はありますか?

市川さん:看板商品としては国産原料を使った玄米パンですね。芳醇な香りが特徴で、トーストすると外側はカリッと、内側はもっちりした食感を楽しめます。食物繊維を含んでいるので、腸内環境を整えてくれる効果も期待できるみたいです。実際に何人かのお客様から「お通じが良くなった」と言われました。あとは、人それぞれ好みは違うと思うんですけど、自分がつくるんだったら自分が美味しいと思うパンをつくりたいといつも思っています。

 

 

——他にもオススメのパンはありますか?

市川さん:甘さ控えめの自家製クリームを使ったクリームパンや、厳選したホイップクリームを使ったシフォンケーキも人気がありますね。特にシフォンケーキはふわふわした食感が好評なんです。もしよかったら食べてみてください。

 

 

——では、お言葉に甘えていただきます。……ああ、味も食感も軽くて、いくらでも食べられそうですね(笑)

市川さん:ありがとうございます。そんなふうに、お客様から喜んでいただけることがいちばん嬉しいですね。

 

——パン屋さんに転職してよかったと思いますか?

市川さん:自分が妥協せずにつくっているパンが、お客様に認めていただけたときはそう感じますね。病院の売店でうちのパンを買って食べたお客様が、わざわざ工房を探して買いに来てくれたり、警察署でパンの販売をしているとき、「この前買ったパンが美味しかった」という感想を聞いたお隣の方が同じパンを買いに来てくれたり……。

 

——いろいろと嬉しい場面に出会う機会が多いんですね。これからも美味しいパンをつくり続けてください。

市川さん:こだわりが強過ぎて、原料費が高くなっちゃうのが現在の悩みですね(笑)

 

 

 

パン工房 Dream House

新潟市中央区夕栄町4485

090-7004-2245

7:00-12:30

金土曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP