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皮革製品も扱う、古町のアパレルセレクトショップ「FETISH」。

古町通5番町にある、アパレルのセレクトショップ「FETISH(フェティシュ)」。日本人デザイナーによるウェアブランドを中心に扱っているお店で、4年前から皮革製品のオーダーメイドやリペア、リメイクにも対応しています。20年以上アパレル業界に携わり、趣味ではじめたレザークラフト技術をどんどん高めているオーナーの板倉さんにお話を聞いてきました。

 

FETISH

板倉 憲一 Kenichi Itakura

1979年阿賀野市生まれ。高校卒業後、「カミーノ古町」内のアパレルショップに就職。その後もいくつかのアパレル店舗を経験。2014年に自身が経営する「FETISH」をオープン。

 

アパレルの知識とレザークラフト技術を合体。作りたいものがたくさんある。

——板倉さんは、カミーノ古町(2001年に閉鎖した商業施設)で働いていらしたんですね。カミーノ、懐かしいです。

板倉さん:高校を卒業したのに就職が決まっていなくて、当時は平日でも時間があったんです。音楽が好きだったから「カミーノ」にあったレコードショップにしょっちゅう出入りしていました。ついでに「TPO」っていうアパレルショップにも顔を出していて。スタッフさんから「どうせなら、うちで働かない?」って誘ってもらったんです。

 

——それからずっとアパレル業界に?

板倉さん:「TPO」では3年働いて、それから別の仕事をしていたんですけど、しばらくしてまたアパレルに戻りました。僕は10代の頃から革製品のクラフトとかシルバー彫金とかを趣味にしていたんですけど、たまたまアメリカ留学から帰国した知人に会って、その人が自作したレザーのバッグを目にして衝撃を受けちゃって。自分のスキルをもっとあげようと思ってレザークラフトの教室にも通っていました。聞きたいことを聞いて、あとはひたすら独学っていう。そんなことをしていたら「プラーカ」にあったアクセサリーや革製品を扱うお店の店長さんと知り合いになって。店長さんがオーナーに「おもしろいやつがいる」と僕を紹介してくれて、アパレル業界に戻ったんです。

 

——「FETISH」というお店は板倉さんがはじめられたんですよね。

板倉さん:オープンしてちょうど10年ですね。このお店を構えるまでは「販売代行」っていう立場でした。オーナーが別にいるんだけど、自分が店舗を運営する、ってかたちです。いつかは完全に独立しようと思っていました。

 

 

——「FETISH」さんは、どんなお店なんでしょう?

板倉さん:アパレルのセレクトショップです。ずっとそうして営業していたんですけど、4年前にひょんなことから革製品のオーダーメイドやリペアもお受けするようになりました。20年以上前から革製品を作っていたのに、作りたいものがなくなっちゃって、あるときからピタッと作るのをやめていたんですけどね。

 

——その「ひょんなこと」を聞いてもいいですか?

板倉さん:あるブランドの革小物を見たときに、「僕だったらこうするな」とアイディアが浮かびました。それで「おもしろそうだな」「また作りたいな」と思えたんです。たぶん、僕の作りたいものがなくなったときって、自分の感性がそこまでだったんでしょうね。それが当時の僕の限界だったと思うんです。でもずっとアパレルに携わって、デザイナーさんたちからたくさん刺激と影響を受けてきたら、「こうしたい」っていうアイディアが今度はあふれてきちゃって(笑)

 

——じゃあ、今はオリジナルの革製品も販売しているんですか?

板倉さん:そうですね。フルオーダーも承りますし、リメイクやリペアのご依頼もあります。僕はレザークラフトの技術だけじゃなくてファッションにも携わっているので、それを生かして新しい要素を加えたいと思いました。そういう気持ちが今は止まらないんです。

 

見た目だけじゃない、機能性や細部の作り込みまで考え抜かれた国内ブランドの魅力。

——お洋服はどんなものを扱っているんでしょう?

板倉さん:かんたんに言うと、僕の好きなアイテムばかりを扱っています。「08sircus」のデザイナー、森下公則さんの影響をものすごく受けていて、森下氏のブランドは「FETISH」をはじめる前、2003年からずっと取り扱っています。作り込みの技術がほんとうに素晴らしいんですよ。

 

 

——他にも扱っているブランドをいくつか教えてください。

板倉さん:「HAND ROOM」「meagratia」「CULLNI」も取り扱っています。ご紹介した4つのブランドはどれも日本のデザイナーさんが手がけています。以前はインポートも販売していましたけど、今はほとんど日本人デザイナーさんのアイテムです。日本人は神経質だからか、作り込みがほんとうにすごい。特に加工の技術に手が込んでいます。

 

——そういう日本人ならではの気質があるんですね。

板倉さん:「meagratia」というブランドはものすごく勢いがあって、映画衣装やアーティストの衣装も手がけているんですよ。そのデザイナーさんは、そのデザイナーさんがブランドを出してすぐにうちの店に来てくれました。それがご縁で今もお付き合いしています。お取引しているデザイナーさんのランウェイに、僕が作った革製品がアクセントに使われたこともあるんですよ。

 

実績と人脈がある店主の、人間力。

——10年も古町で営業されているなんて、きっと根強いファンが多いんですね。

板倉さん:お客さまのおかげですよね。このお店を会場に、デザイナーを招いて、春夏、秋冬の2シーズンごとに受注展示会を開催しているんですよ。そこでデザイナーさんとつながるお客さまもいらっしゃいます。先日はデザイナーさんが新潟に前泊して、お客さまと釣りに行ったそうです(笑)

 

——革製品のものづくりもされるようになって、プラスの面もあったと思います。

板倉さん:レザークラフトは手縫いなので、効率はよくないです。でもこれからはECサイトを作ってもっと展開していきたいと思っています。革製品の制作は、気分がいいときだけ取り掛かるようにしているんです。そうしないと品質に影響しちゃうので。

 

 

——アパレルの方は常連さんがいらっしゃいますよね。革製品は口コミですか?

板倉さん:皆さん「FETISH」の感性が好きで、お店に来てくださいます。僕は、その感性をレザークラフトでも表現しているので、おのずとお客さまと趣味が合うんですね。なので、アパレルのお客さまからのオーダーも多いです。口コミやInstagramからのご依頼もありますよ。

 

——板倉さんは、著名なデザイナーさんとも一緒に仕事をしているし、きっとすごい方だと思うんです。でもすごく気さくですよね。

板倉さん:あ、そうですか(笑)。嬉しいです。僕は楽しいことを企画したり、人と人とを繋げたりが好きなので、DJイベントの主催もするんです。そういうときは「居心地」を意識します。いらっしゃる方に少しでも居心地よく過ごしてもらうために、誰が来てくれるのかなど事前に分かっていることを主催メンバー全員で共有し、こちらから歩み寄るようにしています。そういう性分なんですね(笑)

 

——じゃあ、おもてなし精神にあふれているのかな。

板倉さん:自分がそうしたいっていうか、年齢を重ねたからっていうのもありますかね。

 

 

 

FETISH

住所/新潟市中央区古町通5番町586-1

tel/ 025-211-8078

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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