1台の靴下編機で作った靴下を売り歩く行商からスタートして、現在では靴下だけでなく、肌着や寝具など生活に寄り添った様々な商品を展開している「株式会社山忠」。この度、「足からの健康」をコンセプトに、地域の人たちが集まれる靴下の直売所「足と靴下の店 ごえん」をオープンしました。今回は店長を務める小柳さんを訪ねて、靴下と人とのつながりについてのインタビューです。「株式会社山忠」については、以前の記事をチェックしてみてくださいね。
足と靴下の店 ごえん
小柳 歌織 Kaori Oyanagi
1980年加茂市生まれ。加茂市で育って、加茂市に嫁いで、加茂市で働く、生粋の加茂っ子。2003年に株式会社山忠へ入社。システム開発室やコールセンターなどを経験して、現在はマーケティング本部に所属、「足と靴下の店 ごえん」店長。ゲーム好きな母親の一面も。
――まずはオープンおめでとうございます。「足と靴下の店 ごえん」では、どんな靴下を買うことができるんですか?
小柳さん:「足と靴下の店 ごえん」では、「あたためる」「うるおす」「ささえる」「よりそう」という、4つのテーマに分類した靴下をご提案して、「山忠」で作っている約100種類の商品から、実際に30~40種類をセレクトして販売しています。
――「あたためる」「うるおす」「ささえる」「よりそう」、靴下の選び方としてはなかなか興味深いテーマ設定ですね。それぞれの特長を教えてください。
小柳さん:まず「あたためる」は、読んで字のごとく温めてくれる靴下やウォーマーです。保温性が高くて、足や身体の冷えをカバーしてくれます。「うるおす」は、内蔵した保湿シートでかかとの角質にうるおいを与える靴下たち。「ささえる」は靴下を履くことで足への負担を軽減したり、足の疲れを癒すサポーター的な靴下です。この3つのテーマは、それぞれ身体のケアを目的にしています。
――ふむふむ。最後は「よりそう」ですね。このテーマは……ん~、想像がつきません(笑)
小柳さん:私たち「山忠」を知らないお客様はよく、「普通の靴下ってある?」という質問をされます。それにお応えできるように、どんな人でもサラッと履けて、しめつけないラフさがありつつ、暮らしに寄り添って普段履きできるデザインの靴下を、「よりそう」というテーマで展開しています。
――なるほど。ただか靴下、されど靴下。なかなか奥が深いんですね。
小柳さん:踵がガサガサしているとか、足が痛いとか、足にまつわる悩みごとっていろいろあると思うんですけど、大きく分けるとだいたい、この4つに分類できるんです。私たちは靴下を通して、これらのお悩みを解消したいと思っているんですよ。
――「足と靴下の店 ごえん」は、どんなコンセプトで作られたんですか?
小柳さん:私たちは、靴下の企画開発から製造、コールセンター、配送センターなどのすべてを、この加茂市で行っています。創業以来ずっと地域に根差してきたこともあって、「足と靴下の店 ごえん」は、靴下の直売所でありながら、「加茂市の魅力を発信する空間でもありたい」という考えを基にしています。
――加茂市の魅力というと?
小柳さん:はい。加茂市は、生産シェア日本一を誇る桐たんすの生産地で、加茂和紙という長年続いている伝統技術もあります。四季の風景だって色鮮やかです。そんな魅力を、靴下だけじゃなく、「かものえんがわ」をコンセプトにしたこの空間で発信していきたいんです。だからこんなふうに、社員の家族やお客さんから譲り受けた桐たんすをディスプレイしたり、私たちが普段目にしている美しい季節の写真を飾ったりしています。
――それで古い桐たんすがあるんですね。でも、集めるのが大変そう……。
小柳さん:「桐たんすがあったよ」って連絡をもらって、私たちで引き取りにうかがったんですけど、さすがに夏は大変でしたね。暑い上に、重いんですよ。でも、地域の人たちが「あら、桐たんすじゃない。懐かしいわねー」って、お店でお話しされていたりすると、素直に苦労してよかったと思いましたね。
――その様子、目に浮かびます。地域を本当に大切にされているんですね。
小柳さん:あ、思い出した。ちょっと話が戻るんですけど、秋の写真を撮りに行くのが、とっても怖かったんですよ。聞いてください(笑)
――ん、怖かった?? どういうことですか???
小柳さん:撮影に行った時期が、ちょうど熊の出没率が高いときだったんです。よくニュースでも報道されていた時期で……。
――あ、 そんな時期ありましたね。そのタイミングに行くなんて、なかなかチャレンジャーですね(笑)
小柳さん:怖かったから、ずっとラジオを流しながら歩いていたんです。あと1本1万円もする熊よけスプレーを装備して(笑)
――1本1万円? そんなスプレーあるんですね(笑)。って……靴下を買いに来るだけじゃなくて、こんな会話をしに来ている地域の人も多いんでしょうね。なんか、本当に人んちの縁側に集まるみたいな。
――「足と靴下の店 ごえん」に地域の人たちが集まることで、お店としてはどんなメリットがありますか?
小柳さん:「山忠」は、商品の企画から製造までを一貫してこの場所で行っています。だから、「足と靴下の店 ごえん」で聞けた意見は、新商品のヒントになったり、改良点としてすぐに商品へと反映することができるんですよ。靴下を買いに来たり、プラッと寄ってくれたりした人たちは、ざっくばらんにコミュニケーションをとってくれるから、足の悩みのヒアリングもできるし、歩くことの大切さについてお互いに話したりもできます。
――なるほど。ちなみに、加茂市でお店を開いてよかった点は?
小柳さん:行商からはじまり、工場ができて、工場の隣にこうして直売所もできて。何度も言うように、「山忠」は加茂市が拠点で、加茂市が大好きなんです。だから地域の人たちとつながれて、人が集える場所になれるのはとても嬉しいことです。
――「山忠」の人たちって、みんな加茂市が大好きなんですね。
小柳さん:はい! お客様を身近に感じて地元とともに歩むのが、私たち「山忠」であり、お互いをつなぐ場所がこの「足と靴下の店 ごえん」なんです。
足と靴下の店 ごえん(株式会社山忠)
新潟県加茂市下条甲435-1 山忠靴下工場敷地内
0256-53-0265
9:00-18:00
日曜、祝日休