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僕らの工場。#19 「株式会社山忠」の靴下にできること

1台の靴下編み機からはじまった、「株式会社山忠」の靴下づくり。

ニットの産地として名高い加茂市。ニットといえばセーターをはじめとしたファッションアイテムをイメージしますが、数あるニット工場の中のひとつに、創業当初から「靴下」を作り続けている工場があります。今回取材する「株式会社山忠」さん。「足もとからの健康」をテーマにした靴下づくりへの熱意や商品開発の詳しい話をいろいろと聞いてきました。

 

株式会社山忠

中林 知宏 Tomohiro Nakabayashi

1971年加茂市生まれ。高校卒業後に自衛官を経験し、1992年に入社。靴下工場の工場長。創業者兄弟のひとり(現相談役)の次男にあたる。

 

株式会社山忠

亀山 貴司 Takashi Kameyama

1971年加茂市生まれ。2002年に入社。マーケティング本部係長。「ケアソク」担当として、商品開発、販促活動、管理業務を行う。中林工場長と連携をとりながら日々奮闘する。

 

 

ーー今日はよろしくお願いします。まずは「山忠」さんについて教えてください。

中林さん:うちの会社は戦後、私の父親を含めた兄弟4人が1台の靴下編み機を買ってはじめた工場なんです。最初はコネも実績もなかったので、ゼロから靴下づくりを必死に覚えて、作って、自分たちで直接お客様の自宅を訪問して販売する行商からスタートしたんですね。

 

ーーゼロからのスタートだと、いろいろ苦労されたんじゃないでしょうか。

中林さん:創業当時は失敗や試行錯誤の連続だったと聞いています。それでもお客様の声を大切に、兄弟4人で力を合わせて、お客様の要望に応えられるように靴下の改良を重ねていたようですね。原点が行商だったので、そういったひとりひとりのお客様の声を大切にするスピリットは今でも大切にしていることです。今では通信販売会社としての「山忠」のイメージが強いと思いますが、商品のなかにはお客様の声から生まれた靴下がベストセラーとして沢山あります。

 

「これからの時代、靴下で何ができるだろう?」と考えて。

ーー「山忠」さんの商品って沢山あると思うんですけど、足のトラブルを改善してくれる「ケアソク」って商品がすごく気になっていて……、どんな商品なんですか?

 

亀山さん:私たちは靴下をお客様にお届けする立場として、あるとき、「これからの時代、靴下で何ができるだろう?」と真剣に考えたんです。すでに「足うら美人」という踵のカサカサを和らげる靴下が30年を越えるベストセラーになっていました。そこから求められている私たちの役割は、足の健康だと確信し、靴下が包む「足」そのものに着目して「ケアソク」の開発が始まりました。

 

ーーなるほど。……ところで亀山さんの「ケアソク」Tシャツも素敵ですけど(笑)。この商品も亀山さんが考えられたんですか?

亀山さん:笑)。「ケアソク」の発想は現会長(※当時は社長)の中林功一です。私は商品開発の担当者だったので、その発想を受けて今までにない靴下を作らなければ、って気持ちで……かなりプレッシャーでしたけどね。

 

普通の靴下の10倍以上の編み時間がかかる、複雑な構造の「ケアソク」。

ーー靴下で足の健康の改善って、ちょっとピンとこないというか、難しそうです。どのように進めていったんですか?

亀山さん:まずは、私たちが足のことについて知らなければ始まらない、ということで「足の研究会」を立ち上げたんです。自分たちの足でフットケアを体験したり、足の専門家の方を招いて足の構造や働き、足の大切さなどを勉強したり。

 

ーーいきなり商品開発ではなく、まずはその対象である足を研究してから、と。

亀山さん:そうですね。そういう学びの機会があるからこそ、本当の意味で足について理解を深めたというか。専門家の方から教えてもらった知識はたくさんありますけど、自分たちの足で体験し、足のお悩みについてもちゃんと説明できるレベルまで勉強してから、どんな靴下なら足が喜ぶのかを考えるようになりました。

 

 

ーー徹底的に研究された、その成果はどうでした?

亀山さん:例えば、健康ソックスの5本指靴下ってありますよね。あの靴下は「指」を入れるつま先が1本1本分かれた状態になっているので、外反母趾などで指先が変形してしまっている方だと、変形したままの状態になってしまうんです。足の勉強をしたことで、足指がしっかり地面につくような構造が大切だとか、土踏まずのアーチの部分のサポートが大切だとか、そういったかなり専門的な視点を取り入れながら、開発に取り組むことができました。

 

ーー「ケアソク」を拝見すると、かなり複雑な形状の靴下ですね。これ作るのは大変だったんじゃないですか? その開発過程について教えてください。

 

中林さん:この靴下は従来の靴下編み機では再現が不可能だったんです。それが、ちょうどこの開発にとりかかる前にこうした立体的なものを作れる編み機を導入していたので、これを使って、現場としても試行錯誤を重ねながらの挑戦でした。

 

ーーなんか現場でいろいろなドラマがありそうですね。

亀山さん:工場長とめちゃくちゃ喧嘩したよね(笑)

 

中林さん:ほんと「できない」って何度も思ったよね(笑)。新しい編み機は、今までの編み機とシステムがまったく違うので、専属の靴下技師が本当に頑張ってくれました。とにかく効果検証と並行で開発していたので、何度も何度も繰り返し試作しました。亀山からは「絶対できるから大丈夫、頑張って」と言われ続けて(笑)

 

亀山さん:だって、それができないと商品にならないんだから(笑)。それはこっちも必死ですよ。

 

ーーなんか……楽しそうですね(笑)。実際に商品が完成するまでどのくらいかかったんですか?

亀山さん:これまでの靴下とは考え方の違う靴下なので、科学的なエビデンスが必要だと思いました。実証データをとりながら、3年かかりましたね。

 

ーーおお、すごい。

亀山さん:いや、もっとすごいのはこの靴下が1足できるまでの時間ですよ(笑)

 

ーーと、いうと?

亀山さん:普通の靴下って、1足編むのにだいたい7分くらいなんですけど、この靴下は90分かかるんです。

 

ーーうわ、10倍以上じゃないですか。

亀山さん:そう、それだけ構造が複雑でいろいろと現場で工夫した結果なんですけどね。お客様の足の健康を実現するために、皆で頑張りました。

 

 

医療機関や接骨院などから、症状改善の喜びの声が続々。

ーー「ケアソク」が皆さんの熱意や技術の結晶だとわかりました。実際、世の中に出してみて、どうだったのでしょうか?

亀山さん:まずは、ご協力くださった先生や専門家の方々から「いい商品ができたね」と評価をいただけたことが嬉しかったですね。学会でも紹介されて好評でした。でも、普通の靴下と違って「足の健康」に特化した商品なので、既存の通信販売とはまた違った売り方が必要になりました。

 

ーーどんな売り方をしたんですか?

亀山さん:まずは、足にお悩みをお持ちの方に届けたいと思ったので、足専門の医療機関や接骨院、フットケア専門店にお願いして置いていただきました。最初は数店舗だったんですけど、治療院の先生から「患者さんの症状の改善がみられた」って喜びの声をいただいたりして、そのコミュニティの中で広めてくださったんですね。SNSでも話題にしてもらったり。その反響から、今では若い方から年配の方まで幅広く愛用していただける商品になりました。

 

ーーしっかりした効果があるから口コミで広がっているんですね。

亀山さん:足の健康を考えて開発に取り組んできたので、皆さんからそのように評価していただいていることは嬉しいですね。

 

ーー最後になりますが、今後の目標があれば教えてください。

亀山さん:そうですね。「足」から考える健康や、その可能性ってすごくたくさんあるって実感しているんです。なので、もっと専門性に特化した商品をこれから作っていきたいなと思っています。

 

 

山忠さんの「足をととのえるケアソク」、実際に試着させてもらいましたが、すごーく立体的でフィット感が抜群なんです。あと、指先の固定感がすごいというか、指が整えられている感じがありました。健康は足もとから! 「ケアソク」はオンラインショップのほか、山忠さん敷地内の直営店「足の健康専門店」でも販売しています。また、人気漫画家の田中圭一氏が足のことを分かりやすくマンガで描いた「あしたの、足に。」がブランドサイト内で読めます。ぜひ一度ご覧ください。

 

 

株式会社山忠

〒959-1395 新潟県加茂市下条甲496-1

TEL 0120-83-0500(お客様相談室)

足の健康専門店 山忠SHOP(店頭販売)

〒959-1395 新潟県加茂市下条甲496-1(山忠本社敷地内)

9:00~18:00

日曜祝日休み

 

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