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僕らの工場。#22 住まいと街づくりの「坂詰製材所」。

昭和38年の創業以来、事業規模を徐々に拡大させてきた「坂詰製材所」。現在では設計・施工・不動産分野など、住まいに関わるすべてのことを業として地域に貢献しています。今回は、今も現役で現場に出ている会長の坂詰さんに、今日に至るまでの坂詰製材所について、いろいろお話を聞いてきました。

 

株式会社坂詰製材所

坂詰 一年 Kazutoshi Sakazume

1941年生まれ阿賀野市出身。木とモノづくりが大好きで、今年80歳を迎える今でも朝から現場を走りまわっている。

 

新しい分野への挑戦で仕事を作り出す。

――まずは、坂詰製材所さんの成り立ちについて教えてください。

坂詰さん:俺の親父が昭和38年に小さな町工場みたいな感じで始めたんだわね。

 

――坂詰さんはいつ入社されたんですか?

坂詰さん:俺は三男坊だったからね。中学卒業したらすぐに三条に行って、曲金(まがりかね)とかステンレスのスケール作っているような金物の会社に就職したんだね。そこで昭和32年から10年働いたんさ。そんなことしてたら親父に「帰ってこい」って言われて。うちの兄貴も家を継ぐ気がなかったみたいだったんだわ。俺が入ったとき会社は親父含めて3人くらいでしたね。

 

――呼び戻されたのはお仕事が忙しくなったタイミングだったんですか?

坂詰さん:それが俺が入ってから仕事があんまなくてね。それで仕事がないから休むんだけど、そしたら給料ももらえないわけさ。そんな会社あんのかって思って、どうしたもんかっていろいろ考えたんです。そこでチューリップの輸出梱包の箱作りとか、ブラインドの梱包を始めたりして。そしたら今度は梱包の仕事がどんどん増えてきたんです。

 

――製材所だったのに梱包の仕事が増えたんですね。

坂詰さん:そう、そしたら次は「ブラインドを作ってみないか」って言われたからそれも引き受けたんさ。元々職人として仕事してきてたから、仕事がなければ稼げないわけだろ。そういう意味では普通の材木屋に就職したって感覚より、仕事を自分で見つけて作っていったって感じだろっかね。

 

 

――すごい対応力ですね。その後どうなったんですか?

坂詰さん:ブラインドも順調にいってね。あとは宅地分譲もやることになって。

 

――えっ、宅地分譲ですか? いったい、どういう経緯で?

坂詰さん:このあたりにはもともと教員住宅があってね。その人たちが家を建てるときみんな水原に行くわけさ。なんでみんな水原なんか行くんだって思って考えたら、当時安田では宅地分譲をしている会社がそんなになかったんだわね。そこでじゃあ俺が作ろうかなって思ったんだ。

 

――誰もやらないなら自分がやろうと思ったわけですね。

坂詰さん:15,000㎡あった田んぼをうちの会社で買って埋めて宅地として分譲したんさ。それがうちの不動産部になるんさ。不動産部を作ったのも、もちろん仕事をするためですよ。

 

――ここでも仕事を自ら作っていってたんですね。

坂詰さん:その頃ちょうど安田にインターができたから、予想していたよりもだいぶ早く全部買い手が決まって埋まったわけ。ちょうど良い波だったんだわね。

 

――でもそれはなかなかリスクもありましたよね……。

坂詰さん:今考えるとかなり冒険だったね(笑)。確かにまわりにもいっぱい止められたわ。でも今までも新しい分野に挑戦して確実に成功してたから、やれるだろうってことでやったんだ。

 

長く続けるためには、自分たちが進歩していかないといけない。

――過去の経験から自信があったんですね。

坂詰さん:それでそのときに利益がどっと出たわけさ。じゃあ「今度はプレカット工場作ろうかな」って思って。でも今度は作ったはいいけどお客さんがいないわけだよ。そしたらまわりからは「サカヅメ潰れるぞ」なんて言われたりしてね。なんとか食いしばったけど2年くらいはそうとう難儀したね。

 

――常に新しい分野へ挑戦している感じですね。上手くいったからそこに留まろう、みたいには思わないんですか?

坂詰さん:長く続けるためには、自分たちが進歩し続けなきゃいけないわけさ。

 

 

――林業も始められましたよね?

坂詰さん:林業は今年で3年目。間伐する業者がいなくて県が困ってるって話を聞いたから、「じゃあうちが林業部作るわね」なんて言って。うちの社員にたまたま森林のベテランがいて、「山へ入れるけどお前やる気あるか」って聞いたら「いいですよ」って言ってくれたから。そこに県の応援もあったりして、林業認定事業所にしてもらったんだね。

 

――県産材(越後杉)はその頃から使い始めたんですか?

坂詰さん:県産材はうちでもともと多く使ってたね。地元で仕事してるんだから県産材はまず使おうよって。県から補助金も出てたからお客さんにも推奨できたし、お客さんも喜んでたね。機械を続けてまわさなきゃならないし、注文は絶対断るなって言ってるんさ。

 

――お仕事は絶対に断らないんですか。

坂詰さん:うちだけでできなければ外注先を探せばいいって思う。仲間はいっぱいいるからさ。ただ一緒に酒飲んでるわけじゃないんだ(笑)。頼めば、じゃあ「やってやるわや」って応援してくれるからね。お客様のお願いは絶対断らないようにしてきてね。「サカヅメに頼めばなんとかしてくれる」って思ってもらえるようにね。それがやっぱりあとあとにつながってるわけだね。

 

どん底から這い上がれたのは、社員やまわりのおかげ。

――横のつながりも大事にされてきたんですね。そんな歴史のなかでも大変だった時期もあったりしましたか?

坂詰さん:一番大変だったのは平成8年頃だったかな。電気工事店作ったり、下水道工事の資格も取ったりして、設備投資ばっかりしてしまったんだね。家作りを全部うちでできるようになればいいなと思って始めたけど、それから仕事がちょっと下火になっていって、売上で数億円一気に落ちたね。そのときは本当にもう大変でした。

 

 

――どうやって乗り越えたんですか?

坂詰さん:さすがに俺もだいぶ弱って、コンサルに頼んで俺のつなぎをやってくれって頼んだわけさ。元気になったらまた戻るからって言って。でも1年半くらい経ってからうちの社員がね、「もうコンサルは切ってくれ。俺たちがやるわね」って言ってくれたんだ。今考えるとそれが下のボトムアップにつながったんだな。その頃の2~3年が人生で一番悩んだ時期だね。

 

――大変な時期だったんですね。

坂詰さん:それから徐々に良くなっていって、今でもこうやって仕事できるようになったんだね。一回どん底を見てるから、開き直ったときにはちょっとやそっとのことじゃ怖いと感じなくなったっていうかな。「まぁなんとかなるわや」っていう考えがでてくんだね。まずやることを一生懸命やれば、なんとか切り開いていけるろって。どん底から這い上がってきたときにそれがやっぱでてきてね。そこからまた売り上げもだんだん上がってきて、今につながっていると思うんだ。

 

――どん底を見て、逆に怖いものがなくなったんですね。

坂詰さん:やっぱりチャレンジ精神がなければ、なんか作っていこうって気持ちが大事だよね。愚痴ばっかり言ってないで誰にも負けない努力をしているか、ってことなんさ。気づいたら行動を起こせと。そうすれば何かが変わるわやと。

 

――苦難を乗り越えてより前向きになられたんですね。

坂詰さん:この仕事をしていて良かったのは、いろいろな人間とつながりができたこと。あらゆる業種に首突っ込んで仲間が増えていったんだわね。そういう点ではほんとに仕事を通じて仲間を作ることができたっていうかね。一緒に出張とか行って酒飲んだりしたら、みんな友達みたいになるわけさ。異業種の景色をいっぱい見てこられたってことかな。そういうことがとても役に立ったね。ここにばっかりいたらいろんな景色見れないじゃない。いろいろ見ることによって自分の考えも、もっとこうしたいとか、これもやってみたいとか、出てくるわけだな。

 

すべては、生きるためにやってきたこと。

――向上心がすごいですね。

坂詰さん:すごいなんてことはない。すべて生きるためにやってきたことなんだ。学校出てないから、周りの人を見て見よう見まねで学んでいったっていうかな。成功した人の本も読んだけどやっぱりみんな相当努力してんだわね。そういう意味ではやっぱ先輩方を見習って、自分の気持ちをしっかり持ってくよくよしないってことだね。

 

――すべては生きるために一生懸命やってきた結果なんですね。

坂詰さん:あとは県から助成金とかもらってると使命感が出てきて。しっかりやらないとって思えてくるわけだね。

 

 

――今後の目標ってどんなことになりますか?

坂詰さん:まず、商売ってのはお客様に喜んでもらえる対応をしていけば広がっていくんだわ。なにか一つで会社を大きくしようとしてもダメなんだわね。だから困ってる人の仕事を助けてあげる気持ちでやっていれば、仕事はいくらでも広がると思うね。まだまだ自分のやれる領域を広げていけば、雇用もうまれるし、そういうことをやっていけばもっともっと地域にとって役に立つ企業になると思うんですよ。そうすれば、もっと伸びていくと思う。そういう企業を目指しますよ。やっぱりお客さんに喜ばれるのが最高だね。自分一人ではなにもできないんだから、友達や社員とか本当まわりに恵まれたって思っています。

 

――今日は素敵なお話、ありがとうございました。

 

 

株式会社坂詰製材所

新潟県阿賀野市保田3858番地

0250-68-2250

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