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僕らの工場。#43 肌に優しいチタンのアクセサリー「leger」。

1997年に創業し日本で初めてチタンキャストアクセサリーの製造に成功した「レジエ株式会社」。チタンは近年ようやく身近な存在になりはじめた金属ですが、アクセサリー加工を実現するには苦労が多かったのだとか。今日はレジエ株式会社常務取締役の浅野さんにチタンアクセサリーの魅力やアクセサリー販売に至る経緯などいろいろお話をお伺いしてきました。

 

レジエ株式会社

浅野 良裕 Yoshihiro Asano

1982年 三条市生まれ。レジエ株式会社 常務取締役。

 

まったくの異業種からチタンアクセサリーの会社へ。

――レジエ株式会社はお父様が作られた会社なんですか?

浅野さん:父親がはじめた会社で今年27年目になります。父はもともとステンレス加工の会社で専務という立場で働いていたのですが、50歳を機に自分でこの会社を立ち上げました。父が会社を立ち上げたとき、自分はまだ中学生ぐらいでした。学校から帰ってきたらなぜか父がいて、「会社を辞めた」って話を聞いてそれはもう驚きましたね(笑)。自分はまだ社会のことも分からないし、父が大丈夫って言うなら大丈夫なんだろうというくらいでした。父は何か残したい気持ちがあり、新しいものをはじめたみたいです。

 

 

――浅野さんは当時からいずれ自分で継ごうと決めていたんですか?

浅野さん:継ぐつもりは全くありませんでしたし、父からも継いでほしいとかは言われませんでした。でも高校を卒業して関東の大学へ進学して、就職して3年くらい経つと、父が販売で東京の方に度々来るようになりました。その頃から来る度に「会社にはいらないか?」と言われるようになりました。自分はSEとして働いていたんですけど、この先どうしようか考えていたし、いずれ新潟には戻りたい気持ちはあったので「それなら」っていうことで入社を決めました。

 

前例のないチタン加工は常に試行錯誤の連続だった。

――実際会社に入られてみての印象はどうでしたか?

浅野さん:自分が入社したのは会社が立ち上がって12年目くらいのときだったのかな。チタンでアクセサリー作っているなぐらいの認識しかなかったんですけど、企画・製造・販売まですべて行っている会社なので、ついていけるのかなっていう不安はもちろんありました。機械自体も作っているので、機械のことについてもしっかり知っておかなければいけないし。

 

 

――その中でもモノづくりの面白さみたいなのは感じました?

浅野さん:面白さよりも未知の世界に飛び込んだのでどちらかというと不安の方が大きかったです。入社当初はすべての工程をまず一から学びました。そこで実際に現場を体験して積み重ねていくうちに、「こんなすごいことやっているんだ」っていうことが徐々に理解できていきました。

 

――どんなところで苦労しましたか?

浅野さん:製造に関していうと、チタンはほとんど前例がないのでいわゆる教科書がないんですよ。金、プラチナ、シルバーとかであれば専門の学校があるし、研磨方法や溶かす方法などノウハウが教科書に載っているんです。でもチタンは民生化されてからまだ60年くらいしか経っていない若い金属なんです。なので全国的に見てもチタンのアクセサリー加工は数十軒程度で、チタン鋳造のアクセサリーはほとんどないです。世界的にも珍しい方法になります。

 

――前例がないなかで進めるのは大変ですね。

浅野さん:なので常に試行錯誤でした。ひと通りできるようになっても、改善点やより良いやり方を常に見つけながら続けているような感じです。良い機械や研磨するための材料とかにもアンテナはりながら、アップデートしてきています。

 

 

――トライ&エラーの繰り返しの末、今があるわけですね。

浅野さん:論文とか参考にしながら加工はしているんですが、実際にやってみると違うことやうまくいかないことって結構あるんですよ。鋳型といって溶けたチタンを流し込む型があって、これが非常に苦労したと言っていました。様々な砂をブレンドして作るんですけど、その配合比であったりとか。チタンの高温に耐えきれなくて鋳型が破裂するなどあったみたいです。できた後の研磨も、当時はチタンの研磨をしているところはほとんどありませんでした。加えて、複雑形状の為、研磨が非常に大変なんです。外部にお願いしたかったけど、内製化せざるを得なかったというかたちでしたね。その頃の苦労があったからこそ、今は基本的な部分は全部内製化出来ています。

 

チタンは肌に優しく、強度・軽さ・耐熱性など長所の多い金属。

――そこまでしてなぜチタンだったんですか?

浅野さん:チタンは良いところがたくさんあるんです。まずは肌に優しいところです。金属アレルギーをおこしにくいんですね。生体適合性も良くて人工関節や歯のインプラントに使われたりするくらい人体の中に使われるくらい安全なんです。それをアクセサリーとして使うことで、金属アレルギーの方でも使うことができるっていうのはメリットですね。

 

 

――安全性の高い金属なんですね。

浅野さん:あとは軽さと硬さ。金やプラチナの1/4くらいの軽さなので持っていただいたり身につけたりした感覚はストレスがかなり軽減されると思います。年配の方で金が重く感じてくるようになった方とかでチタンに代える方なんかもいますね。装着感が気になる方も「つけているのを忘れるくらい」なんて言葉もいただいたりします。軽いのに金やプラチナの2倍くらいは硬いので変形しにくいです。磁気性もありません。

 

――本当に良いとこたくさんですね。

浅野さん:素材自体の安全性は大きな魅力だと思います。「結婚指輪も着けられなかったけど着けられるようになって良かった」っていう声や、出産などホルモンバランスが変わるときに金属アレルギーおこす方なんかも多くて「産後着けられなかったけど、チタンなら大丈夫で、またおしゃれできるのが嬉しい」っていうお声もいただいています。うちの商品で喜んでいただいて、社会に貢献できているのを感じれるのは嬉しいですね。

 

 

――今後の展開や目標は?

浅野さん:今後はもっとターゲットを明確にしたいと考えています。今は「金属アレルギーの方へ」というざっくりとしたターゲットしかなく、デザインにブランドとしての統一感がありませんでした。ターゲットを明確にすることで、デザインへの必然性ができ、統一感が生まれるのではないかと考えております。そうすることで、より多くの方へお届けし、喜んでもらえるのではないかと思っております。

 

――ブランディングの強化になりますか。

浅野さん:それに加えて海外展開を進めていきたいと思っています。欧州のほうはニッケルフリーといって、装身具にニッケルを含まないようにしようっていう決まりがあるんです。そういう決まりがあるくらい肌につけるものへの安全性に敏感なんです。そこに安全性の高いチタンのアクセサリーの需要を感じているので海外でのテストマーケティングを進めて広めたいなと思っています。

 

 

 

レジエ株式会社

TEL : 0256-34-9150

営業時間:10:00~12:00/13:00~17:00

定休日:土・日(毎月第3土曜日は通常営業)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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