僕らの工場。#7 本格ビールへのこだわり「新潟麦酒株式会社」

伝統的な本格ビールを新潟から世界へ。

日本国内で初めて「ビン内発酵」「ビン内熟成」によるビール製造方法で、ビールの酒造免許を取得したという新潟麦酒株式会社。今回の工場見学では、こだわりの本格ビールを製造しているその現場にお邪魔して、宇佐美社長にビールづくりのお話を聞いてきました。

 

新潟麦酒株式会社

宇佐美 健 Ken Usami

新潟麦酒株式会社社長。新潟大学卒業後製薬会社で勤め開発の仕事に携る。その後、自身で特許を解析する会社を立ち上げ、趣味で始めたお酒づくりをキッカケに地ビール製造会社を設立。現在ではビール事業以外にも畜産事業、トリュフ事業などを手がけている。

 

今だからこそ言える、地ビール会社のはじまり。

ーー今日はよろしくお願いします。まずは地ビールの会社をはじめるところからお話を聞かせてください。

宇佐美さん:そもそもビールが嫌いだったんだよ。20年くらい前の当時のビールの話なんだけどね。ビールといえば大手の同じような味のビールしかなくて、それが嫌いで。で、手作りビールが美味しいって聞いたから、もう時効だと思うから言うけど、そのときから趣味でビールを作ってたんだ。

 

ーーえ、ビールって自分で作れるんですか…?

宇佐美さん:いろいろ本読んだり、資料とか見て勉強すれば自分でできるよ。だいたい4~5年ぐらい経ってから自分の好きだなぁって思うビールの味が出せるようになって。じゃあビールの会社始めてみようかっていうのがそもそものキッカケなんじゃないかな。

 

ーービールの会社って簡単にできちゃうんですか…。

宇佐美さん:いや、そりゃ簡単じゃなかったよ。免許をもらうのにも個人会社だと税務署が首を縦に振らなくて。まぁ、国税との交渉も粘り勝ちかな。

 

ラオス、タイ、日本とは規模が違う東南アジアの酒づくり。

ーー会社はともかく、お酒を作ること自体は、じゃあ意外と簡単なんですね。

宇佐美さん:ほんとは酒なんか誰でも作れるよ。ただ作っちゃいけないだけで。東南アジアやアフリカとかいけばその土地のオリジナルの酒があってね。彼らは微生物学も発酵学も知らないのにだよ。でも酒はつくれる。例えばラオスには米焼酎があって、日本のものと遜色ないくらいの味が出せてる。でもそれを作ってるのは普通の農家の農民だよ。焼酎屋は、農家から集めたお酒を瓶につめて売っているだけ(笑)

 

ーーへえ~。

宇佐美さん:そしてえらい安い!500~700mlぐらいの瓶で100円しないからね。

 

ーーそれは安いですね(笑)

宇佐美さん:しかも店頭売りでだよ!やっぱ日本の一般的な感覚とは違うよね。これはバンコクの話だけど、焼酎の工場作るんだって人から建築中の工場の写真見せてもらったんだけど、東京ドーム並みにデカくてよくこんなの作ったなって思ったよ。

 

ーー規模感といい価格といい、なにもかも日本とは違うんですね。

宇佐美さん:いやほんとにすごいんだよ。日本人の一般的な感覚で、俺もそうだったんだけど、タイとかって日本と比べるといろんな面でやっぱ遅れてるなって意識があるよね。でもそれまったく違って、バンコクの方がはるかにエキサイティングで伸びしろの大きさを感じたよ。チャンスもいっぱい広がってるし、なにより活気がある。現地に住んでる日本人はみんなそう思ってるよ。

 

ーーちなみに、海外とかは勉強で行かれてたんですか?

宇佐美さん:いや当時は勉強には行ってないよ。今は月に1~2回海外行くけど。昨日までは逆に台湾からお客さん来てたよ。先月はイギリス、アメリカ、中国、ロシアのお客さんも来たし。

 

ーーえ?海外にも展開されてたんですか?

宇佐美さん:ほぼ世界中に輸出してるよ。

 

ーーまじっすか? すごいですね。日本のビールって海外でそんなに売れるんですか?日本てあんまビールのイメージないんですけど…。

宇佐美さん:最初、ウチのビールを持って行ったときに「大丈夫か?」って言われたことはあったね。それは、その直前に日本の他のビール会社が不良品を輸出してクレームの嵐だったときに行ったから。あの会社、名前は売れている会社だけど、二度とオーストラリアへは輸出できないね。

 

飲み手はわかっちゃう。だからちゃんとしたビールを作りたい。

ーーちなみに、地ビールって人によって好みがすごい分かれそうなんですけど

宇佐美さん:うちは200種類以上作っているから、好きな味は見つけてもらえると思うよ。でも何より、「作り手がおいしいと思って作ってるか」が大事だよね。個人でやってるとこなんかが最近は増えてきたから、こだわり持って作ってる人も増えてきたけど。昔は、なんでこの味にしたかって答えられない会社がほとんどだったよ。こだわりもコンセプトもなにもなし。コンサルの言う通りやってるだけ、みたいな。

 

ーー他のビール会社さんとは繋がりって結構あるんですか?

宇佐美さん:うちはほかとの交流が全くないに等しいくらい、ない。営業もいないし、他がなにやってるのかは全然わからない。良いもの作っていれば人は集まるし、好きな人が買いにくればいいと思ってるよ。お金を払う方が偉いみたいな構図って自然とできちゃうでしょ。そういうの好きじゃないし、うちは良い商品を適正な価格で売っている。お互いギブアンドテイクで尊重しあうのが大事だと思う。どっちがえらいとかじゃない。だから俺は誰の話でもちゃんと聞くようにしてるよ。東京、大阪、名古屋とかの激戦区の問屋さんはその辺すごくわかってる感じがする。例えばうちの酒を飲んで、すぐ会いに行きたいってここまでわざわざ来てくれる。買ってやるからって意識じゃないんだよ。

 

ーーそういうお付き合いのできる仕事っていいなと思います。そうすれば良いものを作ろうって頑張る人も増えるだろうし。買う側の意識っていうのも大事ですね。

宇佐美さん:そもそも一番なんて決めるのは不可能に近い。ビールのような嗜好品は十人十色、人それぞれ好みが違う。その日の気分によっても飲みたいものも変わるしね。その全員が好きな味を作るのは無理。でも、お酒としてちゃんとしたものを作らないと、すぐにわかっちゃうよね。例えば、ビールって製造工程で雑菌が入ることがあるんだけど、それはどのビールでもありえることだから、それも込みで商品となってるんだけど、それがビールの味を落としてしまっていたりするの。でもうちのビールはその雑菌が入らない製造方法を取り入れているからね。飲めば分かるし、飲み手はすぐに分かっちゃうわけよ。

 

ウィスキーはアメリカ最大のコンペティションで金賞を受賞!

ーーちなみにビール以外にも色々な商品を手がけていますが、それはどういう経緯で作られているんですか?

宇佐美さん:全部、流れの中からだね。最近はウィスキーだね。海外の知合いがウィスキーを作ってくれって言うから作ってみたんだけどね。それが海外の有名な賞をとったみたいでね。すぐに連絡がきて「賞をとりました」って言うから、「それは良かったね」ってくらいな感覚でメールを返したら、そういうことじゃないんだと、「これは凄い賞なんだ」ってすぐに連絡がきてね。その賞が「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペディション」っていうアメリカ最大のコンペディションだったんだけど、例えば、昨年、賞を穫ったのが「サントリーの山崎」とか「白州」「響」とか。そこで、今年作った「越ノ忍(しのぶ)」が金賞を受賞したということなんだね。

 

ーーえ?それってめちゃくちゃ凄くないですか?

宇佐美さん:そうだね。特に海外から依頼が殺到していて、ありがたいよ。

 

ーーあの、変な質問ですけど、ビール工場でウィスキーも作れるんですか?

宇佐美さん:それはね、だってビールを蒸留するとウィスキーになるんだから。あとは、香り付けや作り方なんかはどのウィスキーも決まっているんだから、味の感覚だけだよ。でも、その味の感覚が選ばれたってことは、自分が持ってる味の方向性が認められたってことだから嬉しかったね。あっそうだ。ちょっと待ってね。(突然、社員さんに電話をかける宇佐美社長)「あのさー、今ある黒ビールを蒸留したら面白くなると思うんだけど、ちょっと実験してみてよ」(電話終わって)話しの途中で、ゴメンね。

 

ーー(笑)こういう感じで、商品を作っているんですね。社長のその飾らない雰囲気と感覚がなんとなくわかったような気がします。最後に今後の目標もあったら教えてもらえませんか。

宇佐美さん:目標も何も、今まで通りにやるだけだよ。今はビール事業やウィスキー事業、その他にも豚とか牛とかも面白いし。今この土地、1,000坪買い足して6,000坪あるんだけど、飲食ができる建物も作る予定だし。経営って「運」も大きいから、だから真面目に正直にね、今まで通りにやるだけだね。

 

ーーおお、規模がすごいです…。本日はありがとうございました。

 

 

 

 

新潟麦酒株式会社

新潟市西蒲区越前浜5120

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