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新潟の西海岸、越前浜スタイルの暮らしを提案する「川見建築」。

西蒲区の越前浜に、代々その土地で暮らしている兄弟の大工さんがいます。「川見建築」の川見生司さんと力さん。「大工」といっても、ただ設計図に沿って家を建てるだけではありません。家づくり、暮らしのづくりをすべて考えて、相談から見積、設計、施工まで、家づくりをいちからまるごと請け負っています。そんな川見兄弟に、家づくりに対する考え方やこれからの展望について、お話を聞いてきました。

 

 

川見建築

川見 生司 Shoji Kawami

1978年新潟市生まれ。26歳のときに父親の下で大工として働き始める。29歳で2級建築士の免許を取得。建物だけでなく暮らし全般の提案ができる大工を志す。

 

川見建築

川見 力 Tsutomu Kawami

1975年新潟市生まれ。34歳のときに大工として働き始める。43歳で2級建築士の免許を取得。弟と一緒に、越前浜の大工だからこそできる暮らしの提案を模索中。

 

建築の仕事は、やりがいだらけだ!

――川見建築さんはいつ創業されたんですか?

弟・生司さん:昭和47年に親父が創業しました。なので小さい頃は木の皮をむいたり、いろいろ手伝いをしていましたよ。でも兄の背中を追いかけて野球ばっかりしていて、家業を継ぐ気は全然ありませんでした。だから高校卒業してすぐ、建築とはまったく関係のない会社に就職したんですけど、それは「野球ができる環境が整っている」という理由でしたね。兄が先にそこで働いていて、追いかけるかたちで。

 

兄・力さん:ほんとは硬式野球がやりたかったんですけど、そこは軟式野球だったんですよね(笑)。まぁでも野球が楽しくできるような会社だったのでよかったです。

 

――そこではどういったお仕事をされていたんですか?

力さん:プラスチックの射出成形の金型屋ですね。

 

生司さん:そこで約7年くらい働いたんですけど、どうしてもやりがいを見つけることができなくて。歳を重ねるにつれて、もっとのめり込めて一生できる仕事をやりたいなって思うようになりました。実際に仕事を辞めて、半年くらい自分の興味あることを体験しにいったり、動きながら考えたんです。で、「建築をやりたい」と思って。それで親父のもとで働かせてもらいました。それが26歳のときです。

 

 

――「やりがいを見つけられた」ってことでいいですか?

生司さん:もう、やりがいしかなかったです(笑)。どんどんのめり込んでいきました。そこで4~5年働いた後に、兄も一緒に働くようになりました。

 

――当時はどんな感じでやられていたんですか?

生司さん:その頃はまだ親父が事業主でしたけど、2011年に親父から自分に事業主を変更しました。親父の若いときは、直接請け負って家を建てるやり方だったんですが、自分が入る頃には建設会社さんの下請けの仕事が多かったですね。そういったなかで仕事を覚えていく感じでした。当時も今も、兄弟で毎日ぶつかりながらやってますよ。

 

遅いスタートだったからこそ、得られたことがある。

――昔ながらの大工さんって印象なんですけど、手作業でなんでもできちゃう感じですか?

生司さん:一応なんでもできます。親父の時代は家の角柱(柱)とかを自分で作るような時代だったので、そういった大工としての基本から教えてもらいました。

 

――最初はどんなことを学ぶんですか?

生司さん:下地作りとかですかね。今だと丸ノコで簡単に切っていますけど、入りたての頃はあえて手ノコで切っていました。道具に慣れるって意味でもそういうことからスタートしました。職人の世界で26歳スタートっていうのは遅いと思うので、なるべく身体と頭を使って学ぶよう意識していました。道具を持つ場所だったり、刃を入れる角度だったり、何をやるにしても考えながらですね。

 

 

――力さんが入るのはその後ですよね?

力さん:自分が入ったときには、もう生司が現場の棟梁みたいな感じで動いていたので、そこで一緒に働き始めましたね。兄が先に初めて弟に教えるっていうのが一般的には多いと思うんですけど、うちは逆なので、生司はやりづらかったと思います。自分が最初に学んだことは掃除でした。掃除がしっかりできるっていうのは現場の仕事で大事なことなんです。整理整頓されていると次の仕事にもすぐ取り掛かれるし、効率もよいんですよ。現場が綺麗だと仕事も綺麗に見えますし。

 

――掃除も奥が深い、と。

生司さん:なかなか難しいんですけどね。掃除というか、現場管理なんですよ。現場は物であふれかえりますから。ビスの種類がいっぱいあったり、作業用の道具、資材もあったりすると、何がどこにあるかを把握していることがとても大事なんです。

 

――ただ綺麗にするだけじゃなくて頭を使ってやらなきゃいけないわけですね。

力さん:そういうことに頭を使っていると、普段の生活の中でも生きてくることがあります。だからスランプになったら、初心に戻って掃除しています(笑)

 

生司さん:A型特有の細かさですね。これが嫌になるときもありますけど(笑)。

 

建物のことだけじゃなく、生活のいろんなことに興味を持って。

――今ではもう、家を建てることに関してはプロフェッショナルですよね。

生司さん:親父から代替わりしたタイミングで2級建築士の資格を取って、元請けができるような体制になりました。そこからは新築で4棟、フルリノベーションが2件、という感じです。

 

力さん:それを見習って自分も2年前に2級取りました。

 

生司さん:大工やっているだけなら、資格はいらないんですけど、家の設計するってなったら必要なので。

 

――元請けとしてやっていきたいっていう構想はおふたりの中に前からあったんですか?

生司さん:構想っていうほどのものではなかったですけど、自分でいちからすべてできるようになりたいっていう気持ちはずっとありました。

 

力さん:今、楽しくてしょうがないですよ。そこに見えてるボロボロの家があるでしょ? 昔家族で住んでた家なんですけど、モデルハウス兼事務所にフルリノベーションしようって計画しているんです。

 

生司さん:自分たちが皆さんにこういうものを提供したいって思えるものが今やっと見えてきています。今まで修行してきた技術と知識でお客さんを喜ばせることができる、って。

 

 

――(移動して)ここがその家ですね、かなり年季が……。

生司さん:築100年くらいなんですけど、昔ながらの手間がかかっている家です。構造がシンプルで、角田山が南側に見えます。今はなんでも手間を省いて効率化するのがよしとされていますけど、手間をかけているから生まれるよいものもありますよね。今では「よい家を建てたい」っていう思いが強くて、自分の興味がいろいろなジャンルに広がっているんです。

 

――それはどういうことですか?

生司さん:よい建築をするってことは、まずよい暮らしを知らないとだめですよね。暮らしを知るってことは家事とか料理も知らなければだめです。今まではひたすら現場に出ていて、そういったことに目を向けていなかったんです。キッチンの使いやすい配置やスペース、疲れて帰って来たときの癒しの空間として必要な広さだったり、家具や照明。リビングから見える風景。遠くの景色や木が見えるとか。日々の暮らしから得られるいろんな発見を大切にして、建築にいかしていきたいと思うようになりました。

 

――なるほど。そういう根本のところから見直されているんですね。

生司さん:今ではそういうことが、家を建てるうえで絶対に必要な知識だと思っています。そこを知らなければ、そもそもプランを立てられないんです。

 

「越前浜の大工」だからこそできる暮らしの提案をしたい。

――どんなモデルハウスにしたいと考えていますか?

生司さん:ただカッコいいとかじゃなくて、そのカッコよさにしっかりとした根拠や裏付けのあるモデルにしたいです。うちらは越前浜の大工で、うちらだからこそ提案できるものがあると思っています。なので西蒲区やその周辺の方には、この環境に相応しい、うちらの得意としている家を建てられると思います。でも、場所が変わっても同じような空気感が出るようにしたいんですよ。

 

――新潟の「西海岸スタイル」みたいな感じですね。

生司さん:そうですね。ただ、アメリカの西海岸スタイルにもあのスタイルが生まれたしっかりと理由があると思うし。カッコいいだけじゃなくて、なんでこういうスタイルなのかっていうのをちゃんと説明できるってところを大事にしたいです。同じものをそのまま持って来るのではなくて、その土地に合ったスタイルに合わせながら変化させたり、その土地ならではの要素を加えたりしながら。

 

 

――他にもモデルハウスを作る計画があると伺いました。

生司さん:この土地です。だいたい300㎡で、坪だと100坪くらい。ここにも理想の家をモデルハウスとして建てたいです。自分の自宅兼用で。ここは眺めも良くて最高なんです。カフェやレストランとか併設して、居心地のよい空間を追求して作るつもりです。

 

 

――眺めがいい場所ですね!

生司さん:最近では、施主さんと大工が満足して終わりじゃなくて、次の世代を生きる子どもたちにも残せる住環境を整えないといけないなって思っているんです。持続可能なものですね。気密性や断熱材にこだわって性能をよくして。こんな田舎に、その世界最先端があったら面白いなって思っています。しっかり作ってメンテナンスしながら、環境に負荷をかけない、居心地がよい、家事もしやすい、そんな長く住める家を作るんで、完成したら見に来てくださいね。

 

 

 

川見建築

〒953-0012 新潟県新潟市西蒲区越前浜6869

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