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気軽に楽しめる「ぼんさい屋とき」のインディーズなミニ盆栽。

  • ものづくり | 2020.03.18

四季折々の和の風情を「盆栽」で味わう。

庭木と比べて手軽に植物を楽しめる観葉植物。中でも、日本特有のものとして「盆栽」があります。小さな空間の中で四季折々の風情を味わえることから、最近では年配の人だけではなく若い人にも人気があるとか。今日はミニ盆栽を販売している工房「ぼんさい屋とき」の高橋さんに、盆栽の魅力について聞いてきました。

 

 

ぼんさい屋とき

高橋 星児 Seiji Takahashi

1972年新潟市江南区生まれ。京都の美術大学で陶芸を学び、陶芸雑貨の工房に勤める。新潟に戻ってからは実家が経営するギャラリーの手伝いをしながら創作活動。2013年、実家のギャラリーで初の個展を開催し、陶芸作品とミニ盆栽を出展して作家デビュー。2017年新潟市江南区に栽培、作業場、店舗を目的としたビニールハウスを建て「ぼんさい屋とき」をオープン。昔から音楽が趣味で、バンドをやったり曲を作ったりしていた。

 

気軽に始められるインディーズな盆栽ショップ。

——小さな盆栽が並んでますね。ここはどんなお店なんですか?

高橋さん:ミニ盆栽や鉢植え、陶器の鉢を作って販売している、栽培場と作業場を兼ねたショップです。精度の高い爪切りで有名な三条市の諏訪田製作所製剪定バサミや、盆栽に使う道具の販売もしてます。陶器の鉢は私が作ったものの他に、いろいろな陶芸作家さんに作ってもらったものも置いてるんです。

 

——盆栽屋さん、ってことですよね。

高橋さん:いわゆる「盆栽屋」とはちょっと違うんです。伝統的な盆栽がメジャーシーンだとすれば、うちの盆栽はインディーズって感じですね。盆栽に興味がある若い人ってけっこうたくさんいると思うんです。でも本格的な盆栽は高額だし、堅苦しくて敷居の高いイメージがあると思うんですよ。ただ、かといってホームセンターで売っている鉢植えは安いプラスチックの鉢に植えられてて愛着が湧きにくいような気がするんです。うちの店ではその中間の、お手頃価格で気軽に始めることができて、愛着を持って育てられるような盆栽を扱っているんです。

 

陶芸の道から盆栽の世界へ。

——なるほど。けっこうニッチな盆栽屋さんなんですね。ところで高橋さんは最初から園芸の仕事を目指していたんですか?

高橋さん:最初は陶芸をやりたくて京都の美術大学で勉強したんです。卒業してからは、京都の山の中にある陶芸雑貨の工房で、食器や香立てを作って卸売りする仕事をしていました。その頃、和雑貨ブームでミニ盆栽や苔玉が雑貨店に出回り始めたので、当時いた会社でも作って得意先のお店に卸し始めたんです。その後、私は営業になったのでお客様の売り場に足を運ぶ機会も増えて、売り場にある盆栽のメンテナンスもするようになりました。お店によっては日も射さず空調が効き過ぎてる環境もあるわけで、その中で植物をどのようにケアしたらいいのか、学びましたね。でもそれ以降、だんだんとインテリア雑貨業界は景気が悪くなっていったんです。

 

——それはどうしてですか?

高橋さん:100円均一ショップが全国にでき始めた頃から、インテリア雑貨業界の景気が悪くなっていったように思います。そこで自分は陶芸雑貨の工房を辞めて、しばらくまったく違う業種の仕事をしていたんですけど、家庭の事情もあって新潟に戻ってくることになったんです。

 

——新潟に戻って来てからはどうしたんですか?

高橋さん:仕事を探しながら、両親がやっている「小さな美術館 季(とき)」っていうギャラリーの手伝いをしていました。いろいろな作家さんと触れる機会が増えて、美術大学で陶芸を学んでいたときの気持ちを思い出したりして、作家としての生き方もあるなと思うようになっていったんです。幸い母親も陶芸をやっていたので、ロクロや窯も揃っていて。陶芸ができる環境はあったんですよ。そこで陶芸作品を作り始めて、2013年に「小さな美術館 季」で陶芸作品とミニ盆栽の個展を開いて作家としてデビューしたんです。

 

——陶芸だけじゃなくて盆栽も出品したんですね。ふたたび盆栽を始めたのはどうしてなんでしょうか?

高橋さん:新潟に戻ってきてから山登りに出かけたりすることが増えて、自然に触れるうちに京都で盆栽をやっていたことを思い出したんですよね。年齢的にも当時より植物の良さを理解できるようになっていたので、また盆栽をやり始めました。旧斎藤家別邸の蔵を使って個展をやらせてもらったときに、ボケの花の展覧会を同時開催していた農家さんと知り合ったんです。その農家さんを皮切りにいろいろな農家の方々と知り合うことができて、苗を分けてもらったり、プロの園芸仕事を見せてもらったり、相談に乗ってもらったりできるようになって、それで私の盆栽の腕も上がっていきました。

 

——店舗として「ぼんさい屋とき」を始めたのはいつからなんですか?

高橋さん:2年くらいかけてビニールハウスを建てて、栽培場と作業場を兼ねたショップとして2017年11月から始めました。人に頼るばかりではなくて、自分が植える植物は自分で栽培できるようになりたいと思ったのがきっかけですね。

 

盆栽は日本らしい四季の変化を楽しむことができる。

——高橋さんはどんなところにこだわって盆栽を作っているんですか?

高橋さん:盆栽を眺めるときの角度を意識して作るようにしています。横からまっすぐに見たときに、もう少し枝がこうなったらかっこいいなとか木のデザイン性を考えてますね。木だけじゃなくて鉢が変わるだけでも盆栽のイメージはガラッと変わるので、組み合わせで楽しむこともできますよ。

 

——鉢も作られているんですよね。どんなことを意識して作るんですか?

高橋さん:色、形、大きさをあえて統一せずバラバラに作るようにしてます。木によって大きさも形もそれぞれ違うから、大きさや形が同じ鉢だとちょうどいいサイズの鉢が見つからないときがあるんです。いろんなサイズの鉢があれば、木に合わせてちょうどいい鉢を選ぶことができますからね。

 

——盆栽、面白そうですね。

高橋さん:最近では多肉植物や塊根植物も人気があったりして、観葉植物の楽しみ方の幅が広がってきています。観葉植物と盆栽の違いはどこにあるのかっていうと、四季による変化を見ることができて、日本らしい楽しみ方ができるっていうことですね。あとミニ盆栽はサイズ感が現在の住宅事情にもあっていると思います。このサイズだったらベランダでも十分飾っておけますからね。

 

——ああなるほど、盆栽って時期が過ぎたら終わりとかじゃなくて、季節ごとに楽しむことができるんですね。季節ごとにオススメの盆栽ってあるんですか?

高橋さん:春は桜や長寿梅がいいんじゃないでしょうか。5月頃になるとツツジが綺麗に咲きますね。夏は小さな実のような花をつける紅紫檀(ベニシタン)や、みかんがオススメです。モミジやカエデは夏に爽やかな緑、秋は紅葉の赤を楽しむことができます。冬は万両(マンリョウ)とか実をつけるものが楽しめますし、お正月には松が人気ですね。

 

自分で木を育てて、都心でも販売していきたい。

——今後はどんな風にミニ盆栽を広めていきたいですか?

高橋さん:今は農家さんから木を分けてもらってますけど、将来的には自分のところで木も育てたいと思っています。あと、新潟のアンテナショップでの催事やイベント、個展などに出品しながら、都心での販売をやっていきたいと思ってます。東京を中心とした関東圏はもちろん、自分が若い頃に住んでいた関西方面にも出展したいですね。盆栽をやってみたいけど、どんなふうに始めたらいいのかわからないっていう人は、一度遊びに来てほしいです。

 

自らの盆栽を、若い頃にやっていたミュージックシーンに例えて「インディーズ系オルタナティブ盆栽」と呼んでいる高橋さん。メジャーの盆栽ではなく、インディーズだけど親しみやすい盆栽を目指しています。盆栽に興味があるんだけど入口が分からないっていう人は、ぜひ「ぼんさい屋とき」を訪れてみてください!

 

 

 

ぼんさい屋とき

〒950-0112 新潟県新潟市江南区松山112-4

050-3748-2992

11:00-18:00

月曜火曜休

 

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