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無垢材でオーダーメイドの家具と雑貨を作る、阿賀野市の「tree coat」。

新潟伊勢丹の「NIIGATA越品」コーナーを覗く度に、「新潟には、こんなに素晴らしいものがたくさんあるんだ」と誇らしい気持ちになるのは、きっと私だけではないはずです。先日このコーナーに「tree coat(ツリーコート)」というブランドの美しい木製雑貨が並んでいるのを見つけました。とても気になったので、早速阿賀野市にある工房へお邪魔し、「tree coat」の渡邉さんからいろいろとお話を聞いてきました。

 

tree coat

渡邉 武史 Takeshi  Watanabe

1980年新潟市生まれ。高校を卒業後、自動車の整備士として約10年間働く。その後、三条の家具職人に弟子入りし、5年間修行。36歳のときに独立し「tree coat」を設立。

 

ひとつひとつ手作りで、長く愛用できる木製品を。

——「tree coat」では、どんな製品を作っているんですか?

渡邉さん:主に無垢材を使って、椅子やテーブル、棚などの家具やカラトリーケースなどの小物類をオーダーメイドで作っています。ひとつひとつ手作りなので、一般的な木製品より値段は高いんですが、その分作りがしっかりしていて、メンテナンスにも対応しているので長く使っていただけます。

 

——どんな方からの依頼が多いんでしょうか?

渡邉さん:クラフト系のイベントや展示会に出展して、そこに来場された方からご依頼いただくことが多いですかね。デザインやサイズなどをまるまるお任せいただく場合もあれば、「こんな感じのものが欲しい」と具体的なイメージで頼まれる場合もありますよ。

 

——完成までは、どの程度の時間がかかるものなんでしょう?

渡邉さん:仕事の混み具合や、モノによって異なるんですけど、オーダー家具だったら、だいたい1〜2ヶ月くらいいただくことが多いでしょうか。ひとつひとつが手作りなので、どうしても時間がかかってしまうんです。木材を乾燥させる時間も必要ですし。お任せでご依頼いただく場合は、アイディアが浮かぶまで時間をいただくこともあります。すぐに思いつくこともあるんですが、なかなか名案が浮かばないこともあって……。

 

 

——でもやっぱり、ひとつずつ手作りだからこそですよね。お仕事のやりがいもあるのでは?

渡邉さん:やっぱり、お客さまから「『tree coat』に頼んで良かった」と言っていただけると嬉しいですね。逆にいいアイディアが浮かばないときや、注文が重なってお客さまをお待たせしてしまっているときはちょっと苦しい時間ですかね。

 

働き先探しからのスタート。5年間の修行を経て「やりたいこと」を仕事に。

——渡邉さんが木製品を作りたいと思ったきっかけって、なんでしょう?

渡邉さん:この仕事をする前から、自分の部屋をちょこちょこいじるのが好きだったんです。模様替えをしたり、壁紙を変えたり。あるとき「ここにちょうどよくフィットする棚が欲しい」と思って、自分で棚を作ってみたら、すごく面白かったんですよ。それで、家具を作ることを仕事にできたら楽しいだろうな、と思ったんです。

 

——その思いを、本当に仕事にしてしまうなんてすごい!

渡邉さん:やりたいと思ったらやり抜くタイプなんだと思います。凝り性ですし。とにかく、思ったら我慢できなくて(笑)

 

——ちなみに製品作りはどこで学んだんですか?

渡邉さん:以前は車の整備士として働いていて、仕事をしながら木工の職を探していたんです。でも、なかなか見つけることができなくて。この仕事を始めてみたら、県内にも家具職人の方が何名もいらっしゃると分かったんですけど、当時はまったく見当がつかなかったんですよね。手作り家具を扱っているお店を何件か訪ねて、どこかで修行ができないかと情報を聞いて回ったんですけど、全然ダメでした。「君のやりたいことをやっている人は、県内にはいない」と言われたこともありますし、「それなら木工が盛んな県外に行かないとダメだ」と言われたこともありました。でも、あるとき加茂のタンス屋さんから、三条の家具職人の方を紹介していただいたんです。

 

——じゃあその三条の職人さんが渡邉さんの「親方」ってことですね。

渡邉さん:「技術を学ぶためには、学校に行った方がいい」と一度は断られてしまったんですけどね。それで、訓練校に通おうと勉強していたら、しばらくしてから「やってみる?」と言ってもらえて。そこから5年間、親方の下で修行しました。

 

——その修行時代の5年間は、どんな時間だったんでしょう?

渡邉さん:「やっとやりたいことができる」という気持ちもありましたけど、覚えることがたくさんあって、とにかく必死でした。親方には独立する意思を最初から伝えて、いろいろなことを教えてもらいました。今もお世話になっていて、僕が参加するイベントなんかにも顔を出してくれるんですよ。

 

 

——独立したときって、なにか特別なタイミングがあったんですか?

渡邉さん:う〜ん。なんで独立することにしたのか、はっきり思い出せないです(笑)。でも、独立したばかりのことは覚えていますよ。作りたいものをイメージして作業をするんだけど、完成したものは「なんだこれ?」って思うような出来栄えだったことがありました。今思うと、そのときはイメージを製品にする精度が高くなかったんでしょうね。

 

——ほお、じゃあ、独立してからさらに腕を磨いていったと。

渡邉さん:独立してからは「会う人に助けてもらったな」と感じることが多くなりましたね。木材を削る旋盤という機械を使いたくて調べたら、埼玉に旋盤技術を教えてくれるところがあって、そこに習いに行ったんです。そしたら、「旋盤を使える人は黒埼にもいるから、分からないことがあったらその人に聞けばいい」と教えてもらいました。それで、黒埼でも旋盤のことを教えてもらうことができたんです。そのあと、その黒埼の技術者の方から展示会に誘ってもらって、その展示会に来た方から注文をもらいました。人との出会いが仕事につながっていくような感覚がありましたね。

 

木の鏡餅、リングスタンド、テーブルの高さに合わせた椅子。オーダーメイドならではの製品たち。

——最近手がけたのは、どんな製品ですか?

渡邉さん:ラーメン屋さんの椅子を作らせてもらいましたね。テーブルがちょっと高めで、ちょうどいい椅子がなかったみたいで、寸法を測って、テーブルに合わせて作りました。あとは、木製の鏡餅とかリングスタンドとか。

 

——木の鏡餅、かわいいですね〜。

渡邉さん:これもお客さまのアイディアです。木の鏡餅なんて、自分では思いつきません(笑)。お餅、台、みかん、それぞれ違う木材を使っているので、風合いも楽しんでもらえると思います。

 

 

——先日は、伊勢丹の「越品コーナー」でも販売されていましたよね。そこではどんなものを置かれたんですか?

渡邉さん:カトラリーケースや、カッティングボード、お皿、キッチンツールなどの小物と椅子やテーブルなどをご用意しました。僕も販売に立ち会ったんですが、お客さまがどんな反応をされるかドキドキしてしまいますね。お陰さまで、たくさん反響をいただいて安心しています。

 

——最後に、これからやりたいと思っていることなどを教えてください。

渡邉さん:ひとりだとできることに限りがあるので、一緒にやってくれる人をお迎えしたいと思っています。以前の僕みたいに、未経験の人を迎え入れるときのことを考えると、家具ではなくて小物から徐々に覚えてもらいたいと思っているので、小物作りにも力を入れているんですよ。それから、5年後なのか、10年後なのか分からないけど、いずれは店舗を持ちたいですね。

 

 

tree coat

阿賀野市関屋338

090-4742-0064

treecoat3@gmail.com

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