Things

吹きガラスの作品づくりを体験できる「硝子工房GORIの基地」。

グラスや食器、風鈴、金魚鉢などなど……透明で清涼感のあるガラス製品は夏にぴったりなアイテムですよね。そんなガラス製品を自分でつくることのできる工房が、新潟市西蒲区にオープンした「硝子工房GORIの基地(がらすこうぼうごりのきち)」です。集落のなかに佇む古民家をリノベーションした工房兼ギャラリーで、吹きガラス職人のGORiこと藤田さんからお話を聞いてきました。

 

 

硝子工房GORIの基地

藤田 学 Manabu Fujita

1983年新潟市江南区生まれ。明星大学卒業。川崎や軽井沢のガラス工房で吹きガラスの修業を積み、長岡造形大学の補助教員を経て2025年に新潟市西蒲区で「硝子工房GORIの基地」をオープンする。2020年の新潟市美術展で市長賞、2024年の現代工芸新潟会展で新潟県知事賞など受賞多数。趣味の散歩を楽しみながら、作品のモチーフを探すことも多い。

集落のなかに佇む古民家を改装した、ガラス工房とギャラリー。

——静かな集落のなかにあって、まさしく「秘密基地」といった感じですね。こちらは藤田さんが、ガラス工芸の作品づくりをするための工房なんですね?

藤田さん:そのつもりで購入したんですけど、工房はガレージだけで間に合っちゃったので、主屋の一階を作品ギャラリーとして開放することにしたんですよ。

 

——そちらのギャラリーでは、藤田さんの作品を楽しむこともできるんですね。

藤田さん:片付けておいても仕方ないので飾ってあります。少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

——家のなかに砂利を敷いた庭みたいなスペースがあって、古民家とアートを融合したような空間ですすね。

藤田さん:足を運んでくださったお客様に楽しんでもらえるよう、できるところは自分でDIYをしながらリノベーションしました。

 

 

——えっ、自分でやっちゃったんですか?

藤田さん:最初は業者さんにお願いしたんですけど、自分の思うようにしたいという気持ちが強過ぎて自分でやっちゃいました(笑)。工房で使う窯なんかもほとんど自分でつくっています。ガラス工芸に限らず、ものづくりが好きなんですよ。

 

——それはすごい。作品を見ていても、いろいろなタイプの作品がありますよね。

藤田さん:つくった時期も様々ですからね。昔は自分の使える技法に合わせて、つくるものを決めていたんだけど、いろいろな技法を身に付けることで、つくれるものの幅が広がりました。

 

——唇やお尻のついたグラスもありますが……。

藤田さん:僕は唇やお尻が好きなので、作品に取り入れていた時期もあるんです(笑)。作家としては過去の作品より現在の作品を見てほしいんだけど、お客様のなかには過去の作風を好む人もいると思うので、あまり自分の考えを押し付けないように気をつけています。

 

インテリアで集めていたボトルがきっかけで、ガラス工芸の道へ。

——藤田さんはどうして吹きガラスの職人を目指したんでしょう?

藤田さん:もともとインテリアを考えることが好きで、ワインや日本酒のボトルやガラス瓶を集めては部屋に飾っていたんです。そのうち自分でガラス製品をつくってみたいと思うようになって、東京の大学でガラス工芸を学んだ後、川崎や軽井沢のガラス工房で修業しました。

 

——修業ではどんなことを学んだんですか?

藤田さん:教えてくれたのがいろいろな技法を持っていて何でもつくれる先生だったので、アシスタントとして作品づくりをお手伝いしながら多くの技法を学ぶことができました。窯のつくり方やメンテナンス方法も教わったんです。終業後や休日には工房を借りて、自分の作品づくりをしては個展を開いていました。そこらへんは自由にやらせてもらえたんですよ。

 

——先生の下ではどれくらい働いていたんでしょうか?

藤田さん:途中でカナダ留学をしたり、長岡造形大学の教務補助をしたりしましたが、40歳まで軽井沢のガラス工房でお世話になっていました。独立を考えはじめていた矢先に先生が病に倒れてしまい、そのままガラス工房に残るか独立するかで迷ったんだけど、自分の工房を立ち上げる夢を追うことにしたんです。 

 

 

——日展や市展をはじめとした展覧会でも、入選や受賞をされていますね。

藤田さん:現代工芸新潟会展では2023年に「新潟市市長賞」、2024年に「新潟県知事賞」をいただきました。2023年の日展にも入選して「未来系作家」に選んでいただいています。

 

——作品の発想はどんなところから思いつくんでしょうか?

藤田さん:僕は散歩が好きなので、歩いていて見かけたコンクリートのひび割れやトタンのサビ、朽ちた木の根っこなどから得たインスピレーションを作品にすることが多いです。そうしたイメージをどの技法で表現するかを考えています。

 

いつか酒造会社とコラボした酒器をつくりたい。

——「硝子工房GORIの基地」をオープンしてみていかがですか?

藤田さん:まだはじめて間もないですけど、いろいろな課題も感じています。今までは自分のつくりたい作品をつくってきたけど、これからはお客様の求める作品をつくらなければならないので、日常生活で使えるような製品づくりを考えるようになりました。

 

——なるほど。これから製作していきたいガラス製品があったら教えてください。

藤田さん:「酒どころ」として有名な新潟には美味しい日本酒がたくさんありますので、酒器を100種類つくってみようと思っています。先日、それを並べるための棚を自作したばかりなんですよ。いずれはどこかの酒造会社とコラボした酒器をつくるのも面白いかなと思っています。

 

 

——あ、そうそう、大事なお話を聞き忘れていました。工房では吹きガラスの体験もできるんですよね。

藤田さん:自分の手でグラスや花瓶をつくっていただくことができます。ガラスの不思議で面白い性質を感じながら、世界にひとつだけの作品をつくる達成感を味わっていただきたいです。

 

——それは面白そうですね。申し込みも多いんじゃないですか?

藤田さん:ところが告知不足ということもあって、体験の申し込みはまだまだ少ないんですよ。この機会に多くの人に知っていただくことができたら嬉しいですね。「父の日」の贈り物にいかがでしょうか?

 

 

 

硝子工房GORIの基地

新潟市西蒲区潟頭43

080-8050-6677

10:00-18:00

火曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP