世界を旅したオーナーが語る「Guest House Triangle」。

旅の話は0円。飲んで、話して、泊まれるゲストハウス。

3年9ヶ月をかけて世界中を旅した「Guest House Triangle(ゲストハウストライアングル)」のオーナー沼田さん。横浜出身でありながら、燕三条の歴史とモノづくりの精神、地域の人たちの温かさに惚れ込み、燕市にゲストハウスをオープンしました。取材に訪れると、世界各国の思い出話があり過ぎて、インタビューは盛りだくさんな内容に。今回はその中からちょっとだけ、沼田さんの旅の話をご紹介します。

 

Guest House Triangle

沼田基 Mamoru Numata

1986年横浜生まれ。元電気工事会社の現場監督。2014年より、3年9ヶ月かけて世界を一周。2019年4月「Guest House Triangle」をオープン。とにかくテキーラが好き。飲み過ぎると記憶がなくなるらしい。

飲みの席で出会った、世界の話。旅の話。

――本日はよろしくお願いします。世界中を旅されていたとお聞きしました。何ヶ国、行かれたんですか?

沼田さん:こちらこそ、よろしくお願いします。行った国ですか…フィリピン、マレーシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、ラオス、台湾、オーストラリア、スペイン…その他全部あわせて46ヶ国になります。

 

――世界の国って、確か約200国だったと思います。1/4くらいは行ったんですね…凄い。ちなみに、世界を周ろうと思ったキッカケは?

沼田さん:僕、横浜出身なんですよ。鶴屋町という場所でよく飲んでいて、そこでの出会いがキッカケですね。出会った人は2年かけてユーラシア大陸を横断した経験があって、その話を聞いたんです。ただ、何回か聞いたらしいんですけど、酔っ払っていて記憶がないんです(笑)

 

――飲むと記憶がなくなるタイプなんですね。どんな話でしたか?

沼田さん:シラフのときにようやくちゃんと話を聞いて、日本の常識と違う話が一番印象的でした。お酒を飲んではいけない国とか、宗教的なしがらみの話とかを聞いて、そんな場所があるんだって海外に興味がでました。ただ「興味はあるけど、行きません」って言っていました。

 

やっぱり行きたい。世界一周の旅。

――でも、世界一周を経験したってことは、最終的に旅に出たってことですよね?

沼田さん:そうですね。行かないと言いつつも、インターネットで世界一周をした人のブログを読んだりしていて。行ったらおもしろそう、という考えがふつふつと沸き上がり、26歳のときに思い立ちました。

 

――行こうと決めた当時、お仕事は?

沼田さん:市営地下鉄や警察庁の建設工事に携わる、電気工事会社の現場監督をしていました。すぐにでも辞めて旅立つ予定でしたが、なかなか辞められずに。結局、2年くらいかかり、28歳のときに日本から脱出しました。

 

――現場監督ともなれば重要なポジションですよね。まずはどこの国へ?

沼田さん:世界一周のスタートはフィリピンでした。とりあえず英語学校に行こうと思っていて。「SAMURAI BACKPACKER(サムライバックパッカー)」というブログで、フィリピンの英語学校はコストパフォーマンスが高いと知ったので、まずはフィリピンへ行きました。

 

 

――沼田さんは、英語のレベルはどの程度からスタートしたんですか?

沼田さん:「英語?なにそれ?食べられるの?」ってレベルでしたよ。「Hello」を「Halo」って書いてしまう人はいますよね。僕なんて「ハロー」ってカタカナでしたから。ヤバいですよね(笑)

 

――なかなかですね(笑)。どの程度まで英語は習得できましたか?

沼田さん:ちゃんとした日常会話まではたどり着きませんでしたね。なんとなく「want to」「how much」「please」などを使って、生活するための言葉は学びました。あとはジェスチャーと笑顔でなんとかなりますから(笑)

 

印象的だった世界の話を、ちょっとだけ。

――世界一周をしてきた話を詳しく聞きたいのですが、46ヶ国も聞いていたら終わりが見えないので、印象的だった国をピックアップして教えてください(笑)

沼田さん:旅の話はたくさんありますよ。おっしゃる通り、終わらないですが。印象的だったというか、最も過酷だったのはエチオピアの「ダナキル砂漠ツアー」ですね。世界で一番過酷なツアーといわれているんです。

 

――どれだけ過酷か気になりますね。

沼田さん:ダナキル砂漠は、エリトリアとの国境に近くて北部に位置しています。とにかく暑い地域で、夏は50℃以上になるんです。そんな砂漠を車に乗って、「エルタ・アレ火山」「ダ・ロール火山」を目指すツアーで。車内気温が40℃近くもあるし、3泊4日の間、宿泊環境は最悪でした(笑)

 

 

――砂漠で寝泊まりするんですよね?

沼田さん:まぁ(笑)。外にボロボロの木枠のベッドが置かれていたり、ホコリの被ったマットレスが車から出て来たり。とにかく「ここで寝るの?」といった、劣悪な環境でした。

 

――なんか、テレビ番組で観る感じですね。火山はどんなでしたか?

沼田さん:「エルタ・アレ火山」は、マグマがボコボコと湧いていてあの世みたいでした。日中は暑いので夜中に山道を登って、火山の隣で寝ました(笑)。「ダ・ロール火山」は、クレーター状の地形です。緑色をしていて、まるでナメック星でした。あとは「アサレ塩湖」にも行きました。ここは本当にキレイで絶景でしたよ。

 

 

――他には、どこの国が印象的でしたか?

沼田さん:純粋に感動したのは、スペインの「サグラダ・ファミリア」ですね。いろいろな人工物を見ましたが、ここは圧巻です。13回も行きました(笑)。スペインでは毎日、タパスを食べて、酒を飲んでを繰り返していたので最高でしたね。スペイン、万歳!

 

――過酷ではない国にも行かれたんですね(笑)

沼田さん:もちろんです(笑)。ギターを弾いてバスキング(路上ライブ)をしていたので、台湾でも演奏しました。フランスでは凱旋門で演奏していたら黒人に怒られたり、ロンドンでは「日本人のくせに」と通行人にお金を盗っていかれたり。

 

世界で旅した経験を、燕三条に持ってきた。

――いろいろと話を聞いていると止まらなくなりますね。それでは、本題の「Guest House Triangle」について教えてください。世界を旅していた沼田さんは、どうしてこの場所にゲストハウスを開いたんですか?

沼田さん:2018年の4月に完全帰国をしました。当時からゲストハウスをしたいと思っていて、千葉などを巡って物件を探していたんですけどなかなか気に入る物件に出会えなくて。その気持ちをSNSに投稿したんです。そうしたらフィリピンで出会った友人から「燕三条に来てみなよ」ってメッセージが届いて。まぁ、行きますよね(笑)

 

――さすが、世界を旅しただけあって、フットワークが軽いですね。

沼田さん:でも、来てみたら…工場見学ばかりに行かされて(笑)。包丁で有名な「藤次郎」や鎚起銅器の「玉川堂」など。でも、この見学がなかったら燕三条でゲストハウスはしていませんでしたね。

 

――どうしてですか?

沼田さん:「玉川堂」番頭さんと、たまたま話をしたんです。15分くらいですかね。そうしたら、市役所に「ゲストハウスをしたいって人が来ているから、すぐに来てくれ」って電話をしてくれたんです。すぐさま市役所の方が来て、燕三条の歴史を学ぶツアーが開催されました。スピード感が凄いですよね(笑)

 

 

――市役所の人がいきなり来るなんて…。沼田さんが面白かったからですね(笑)

沼田さん:産業の歴史をいろいろ聞いて、本当に勉強になりました。夜は友人にBBQに連れていかれたんです。誰も知らない、金属加工会社の若手が集まる会に。

 

――お友達も、よく連れて行きましたね(笑)

沼田さん:このBBQも人と人が繋がったキッカケになりました。それこそ、爪切りで有名な「SUWADA」の社長さんから三条市長を紹介してもらったり。滞在して5日で、市長の登場ですよ?ここまで繋がっていくのかと驚きました。でも、見ず知らずの僕なんかにこんなに親切にしてくれる人たちと出会って、この場所が好きになったんです。

 

――そうなんですね。ところで燕三条って、どこかの国に似ていたりしますか?

沼田さん:46ヶ国を周りましたが、今までにない場所ですよ。でも、食と産業が盛んなのでスペインの「サン・セバスチャン」に似ていると思います。独自の文化がしっかりと残っているし、燕三条の人たちから「サン・セバスチャンみたいにしたい」という声もよく聞くので。

 

――じゃ、スペイン旅行しなくちゃですね。ちゃんと戻ってきてくださいね(笑)。いろいろと旅の話を聞いていたら、もう時間がなくなってしましました。最後に「Guest House Triangle」とは、どんなゲストハウスなのか教えてください。

 

沼田さん:そこが一番短いんですね(笑)。「Guest House Triangle」は「モノづくりの町に、旅のスパイスを」というコンセプトをもとに、世界一周で出会ったメンバー+この場所で出会ったメンバーの計5名で運営しています。1人で来ても楽しめるし、1泊2,000円という破格の宿泊料もウリです。そしてなにより、国内だけでなく、カンボジア、タイ、フランス、フィンランド、アメリカなど、世界各国から旅する仲間たちが集まる場所です。みんなで旅の話をつまみに、朝までお酒が飲める。そんなゲストハウスです。

 

意気投合したインタビュー。思い出話に花が咲く。

取材者の私も海外をちょっとだけ放浪した経験があり、今回のインタビューがとても楽しみでした。お互いに行ったことのある国の話になると、逆インタビューになってしまったり、とにかく盛り上がりました(ここでは書けない話もたくさんありました)。「Guest House Triangle」は、ゲストハウスとしてだけでなく、バーとしての活用もできます。県内外、海外からのお客さんと混ざって、地元の人たちが交流する姿は、まるでバックパッカーたちの夜会。こんな楽しい場所なら、新潟からでも泊まりに行きたい。いつ行こうかなと、予定を立てながら帰路に着いた雨の日でした。

 

 

 

Guest House Triangle

新潟県燕市宮町3-6

070-3990-0914


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