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地域社会に貢献する、ハチミツとお米の生産販売「八米」。

阿賀野市を生産拠点に、ハチミツとお米の生産販売をする「八米(はちべい)」。商品はホームページや県内の百貨店などで購入でき、おしゃれなパッケージがギフトとしても人気です。今回は代表の髙橋さんに、農福連携や耕作放置地をお花畑にするプロジェクトなど、さまざまな取り組みについてお話を聞いてきました。

 

八米

髙橋 敦志 Atsushi Takahashi

1977年阿賀野市(旧水原町)生まれ。栃木の大学を卒業後、都内の企業へ就職。単身赴任の生活が続き、家族で過ごす時間を増やそうと就農を決意。1年間の研修期間を経て、2015年にハチミツとお米の生産販売「八米」を開業。

 

出会いに導かれ、双方の「困った」を解決する農福連携をスタート。

——今日はよろしくお願いします。まずは、「八米」について教えください。

髙橋さん:「八米」では、ハチミツとお米の生産、販売をしています。ちなみにこの「八米」というネーミングは、「蜜蜂」と「米」からなんですよ(笑)

 

——おお、ぴったりのネーミングですね。「八米」の商品は、県内のお店やホームページから購入できるんですよね。

髙橋さん:百貨店や雑貨店、旅館などで取り扱ってもらっていて、ホームページは小売店を営む奥さんの会社に協力して作ってもらいました。まったくの素人から農業をはじめたから、ひとりで生産と販売をするのは難しくて。人手も足りないし、いろんな人に協力してもらっているんです。

 

——確かに髙橋さんひとりでは、なかなか大変そうですね。でも、人手不足の問題はどうやって解消しているんですか? 販売はできても、作業が……。

髙橋さん:瓶詰めや梱包などの作業は、新潟市の「とよさか福祉会」の方にお願いしています。いわゆる農福連携ですね。

 

 

——農福連携?

髙橋さん:障がいを持った方が農業分野で活躍することで、社会へ前向きに参画することを目指す取り組みのことです。農業従事者にとっては、働き手の確保、高齢化の解消などに期待できるんですよ。

 

——なるほど。そんな素晴らしい仕組みがあるんですね。

髙橋さん:以前にご縁があって、「とよさか福祉会」の施設を見学させてもらったんです。そしたら、給食の提供が廃止になって、ちょうど調理場が空くタイミングだったんですよ。せっかくある設備がもったいないと思って、「八米」の作業をお願いすることができたんですけど、僕にとっては本当にありがたくて。産業革命が起きたようでした(笑)

 

10年以上も勤めた業界を退職。ゼロから農業の道へ。

——ところで髙橋さんって、どんな経緯で農業をはじめたんですか?

髙橋さん:この仕事をはじめるまでは、サラリーマンをしていて……、なかなかのハードワークでした。転勤も多かったし、結婚してからも単身赴任が続いたので、もっと新潟で家族と過ごしたいと考えるようになりました。それで、何をするかは別として、まずは会社を辞めることにしたんです。

 

——サラリーマンからの転身ですか。ご実家が農家だったとか?

髙橋さん:いえいえ、祖父母は農業をしていましたが、両親も僕と同じように転勤でした。でも、父が退職後趣味でミツバチを飼っていて、自分でハチミツを作りはじめたんですよ(笑)。その姿を見て、雪国でもハチミツが採れることに驚いたし、食べたらすごく美味しかったんですよね。それで、新潟にはあまり養蜂のイメージがないし、まだまだ伸ばせる分野かもしれないと考えました。農地もあったから稲作にもチャレンジして、ハチミツとお米を柱にした「八米」を立ち上げたんです。

 

 

——ゼロからのスタートで養蜂って、すごいチャレンジですね。

髙橋さん:ですよね。よく驚かれます(笑)。きっと、養蜂や農業に先入観がなかったし、背中を押してくれる人達がいたから、挑戦できたんでしょうね。

 

——確かに、知らないから挑戦できることってありますよね。でも、どうやって技術や知識を習得したんですか?

髙橋さん:養蜂については、自分で本を読んで勉強したり、県内外の同業さんから教えてもらったりして、徐々にノウハウを積み重ねました。スタートが遅かった分、まだまだベテランの養蜂家さんに比べたら差はあるけれど、巣箱を可能な限り増やして、自分に負荷をかけながら頑張っています。米作りは会社を辞めてから1年間、地元の農家さんに研修生として勉強させてもらいましたね。

 

——養蜂を独学で学んだとは、努力の賜物ですね。どんな苦労がありましたか?

髙橋さん:とにかく、冬が苦手な蜜蜂を雪国で育てることに苦労しましたね。それに、ハチミツが採れるかどうかは、気候や立地が大きく影響するから、養蜂家の努力だけでは生産量を安定させることが難しいんです……。花が咲いても、雨が降ったら蜂は飛んでいかないし、そもそも巣箱の近くに蜜が潤沢にあるお花畑があるかどうかも、養蜂には大きな要素なんですよ。

 

——そうか。ハチミツって、元を辿ると花の蜜ですもんね。

髙橋さん:そうなんです。外で働く蜂が花の蜜を届けてくれるんです。この段階では、水分が多くて保存ができない状態だけど、巣箱の中で蜂が一晩中羽ばたくことで水分を蒸発させて、ようやくトロトロしたハチミツになります。「働き蜂」というだけあって、大変な苦労ですよね。

 

——さすが働き蜂ですね! では、「八米」のお米についても教えてください。どんなこだわりがありますか?

髙橋さん:地元の農協「JAささかみ」から指導を受けながら、なるべく農薬に頼らない米作りをしています。いろいろ調べるうちに、以前はレンゲの花を農薬替わりにした米作りが一般的だったと分かったので、ここ数年はレンゲを肥料にした田んぼ作りに挑戦中です。それと、ハチミツを肥料として使う方法もあるらしいので、いつかは実現したいんですね。

 

阿賀野市に新しい観光スポットを。お花畑プロジェクトの先にある夢。

——農作放置地を活用した取り組みもされていると聞きましたが、どんな活動をしているんですか?

髙橋さん:「お花畑プロジェクト」といって、ミツバチが安心して花の蜜を採りに行ける場所を作るために、木や花を植える活動を2017年からしています。この活動で、阿賀野市の農作放置地にひまわりを植えたら、見事に咲いて、今では福祉施設や地元の子どもたち100名ほどで種を撒いているんですよ。2018年にはこの活動が評価されて、環境省の「グットライフアワード 環境大臣賞」を受賞することができました。

 

——環境大臣賞って、すごい賞ですよね。いやー、素晴らしい。そういえば、「八米」の商品に「ひまわりオイル」がありましたよね。これってもしかして……。

髙橋さん:そう。「お花畑プロジェクト」で採れたひまわりを、オイルにしてみたんです。そもそもは、見学に来た地元の農協さんからヒントをもらって商品化を試みたんですけど、農機具の手配ができず、途中で頓挫しかけました。でも、一か八かで「とよさか福祉会」の方に相談してみたら、手作業でひまわりの刈り取りと種取り、選別作業などをしてくれることになり、見事に「ひまわりオイル」を完成させることができたんです。

 

 

——ここでも農福連携の力が発揮されたんですね。髙橋さんたちが育てたお花畑が、阿賀野市の新名所になったりして。

髙橋さん:将来的には、観光農園みたいなスポットにして、そこに「八米」のお店を出せたら嬉しいですね。あ、ちなみに、木々や花々を植えはじめて数年経って写真を撮りに来る人が増えたから、今年の夏には「お花畑プロジェクト フォトコンテスト」を企画しているんですよ。Instagramで詳細を発信する予定なので、楽しみにしていてくださいね。

 

 

 

八米

新潟県新潟市中央区紫竹山3-8-33

025-246-0800

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