手づくりの温もりが感じられる洋菓子とジャムの店。阿賀野市「湖と菓」。
食べる
2023.11.19
この秋、旧水原町に新しいスイーツショップがオープンしました。小さい頃から一緒にお菓子づくりを楽しんできた双子姉妹が営む「湖と菓」(ことか)です。ふたりとも5歳と2歳のお子さんをそれぞれ持ち、ただいま絶賛育児中とのこと。今回は琴愛さん、華愛さんにお店をはじめるきっかけやお菓子づくりのこだわり、双子ならではのエピソードなどいろいろとお話を聞いてきました。

湖と菓
近藤 琴愛 Kotoe Kondo
1990年新潟市生まれ。にいがた製菓・調理専門学校えぷろんを卒業後、新潟市本社の菓子店に10年間勤務。その後、開業に向けて新潟県立テクノスクールの個人開業基本コースで学ぶ。2023年10月「湖と菓」をオープン。趣味は洋服づくり。

湖と菓
田部井 華愛 Hanae Tabei
1990年新潟市生まれ。お菓子づくりを学ぶため、東京都の大学からにいがた製菓・調理専門学校えぷろんへ転学。卒業後は都内のフランス菓子店が運営するお菓子教室のアシスタント、ベーカリーショップで経験を積む。現在はグロサリーショップのベーカリー部門、フランス菓子店で働きながら琴愛さんとともに「湖と菓」を営んでいる。

ふたりではじめたカジュアルな洋菓子&ジャムのお店。
——おふたりは、どんなきっかけで一緒にお店をはじめることになったんですか?
琴愛さん:姉の上司が燕市で「aqui」というパン屋さんをはじめるときに、「ジャムを作って欲しい」と依頼をいただいたことがあったんです。姉は東京住まいだし、新潟の方が美味しい果物が手に入るだろうからと思って、私がジャムを作りはじめました。試作を繰り返すうちに「開業したい」「お店を持ちたい」という思いが強くなって。
——育休中の取り組みで考えが変わっていったわけですね。
琴愛さん:最初は自宅の敷地内に小さな小屋を設けて、そこで作ったジャムをネットショップなどで販売するかたちを考えました。でも家族から「ちゃんとしたお店を構えた方がいいんじゃないの」と後押しされたんです。それからこの物件とめぐり合って。ここを拠点にするなら、ジャムの販売だけじゃもったいないし、洋菓子も作れるから、カジュアルに足を運んでもらえる洋菓子屋さんをはじめようと思ったんです。
——「カジュアル」っていうのがお店のキーワード?
華愛さん:日常に寄り添った、かしこまらずに来てもらえるお店にしたいよねって、いつもふたりで話しています。
琴愛さん:気軽に来てもらって、手づくりの温もりみたいなものを感じて欲しいなと思っています。
——今日は、かわいらしいお菓子をいくつもご用意いただきました。改めて、お店のラインナップを教えてください。
琴愛さん:季節のジャムと生菓子はシュークリーム、プリン、姉が作る焼き菓子に私が作る「焼きたて菓子」のスコーンとフィナンシェをご用意しています。これからもうちょっと種類を増やしていこうと思っています。

——おふたりの手づくりのお菓子が楽しめるんですね。
華愛さん:私は都内に住んでいるので、普段の営業は妹に任せています。私はレシピの開発とメニューの提案、都内の自宅近くにあるアトリエで作った焼き菓子を「湖と菓」に並べるという役割です。今後はウェブショップとかイベント出店とか、お店の宣伝につながることもできたらいいなと思っています。
——琴愛さんは新潟、華愛さんは東京とそれぞれの拠点で「湖と菓」というブランドを展開している感じですね。
華愛さん:数年前に「aqui」さんからジャムづくりの相談をいただいたとき、コロナ禍だったので、子育てをしながらどういうふうに仕事をしたらいいのかすごく考えました。私たちは住んでいるところが別々だけど、子育てのステップや「お菓子づくりをしたい」って思いは同じです。いろいろ相談するうちにトントントンと「湖と菓」になった感じかな。
琴愛さん:私の場合は会社を退職して、テクノスククールで開業に向けての学んだことが大きかったように思います。今の環境とかそれぞれの得意なこととかを考えて、新潟と東京でお菓子づくりをするスタイルになりました。

新潟と東京、離れていても不思議なつながり。
——ふたりでやることで助かっていることがたくさんあるんじゃないですか?
琴愛さん:姉は都内で修業を積んできたので、私とは違う技術を持っています。それを私が取り入れて新潟でお菓子づくりができるし、作業分担できるところは強みかなって思います。
華愛さん:私はまだまだ経験を積みたいと思っていました。でも妹が「私たちのお店」をかたちにしてくれたのがすごくありがたくて。今は焼き菓子を担当していますけど、今後、自分でもお店を構えるときがあれば、地道に取り組んでいることが役に立つんだろうなって思います。

——ちなみにおふたりは小さい頃から仲良しでした?
琴愛さん:仲は良かったよね。距離が近いからこそ、たまに喧嘩はしたかな。
華愛さん:高校までは一緒だったもんね。私は都内の大学に進学したけど、進路を考えたときに「やっぱりお菓子づくりがしたい」と思って。妹が卒業した次の年に「えぷろん」に入り直したんです。だから専門学校の後輩です(笑)
琴愛さん:私たち、それぞれ5歳と2歳の子どもがいるんです。子どもの年齢も性別も同じ、結婚した時期も同じなんですよ(笑)
——すごい! 双子の縁を感じますね。
華愛さん:住んでいる場所は違うけど、やりたいことはずっと同じだったよね。小さい頃はふたりでお菓子づくりをするのが楽しくて。高校生のときはバレンタインにすごく凝ったスイーツをお友達に配ったり、先生のお誕生日にケーキを作ったりして。あの頃の楽しかったことを仕事にできたのかなって思います。

手間を惜しまず、素材を引き立てる。
——お菓子にはどんな思いを込めているんですか?
琴愛さん:手間を惜しまないことを意識しています。例えばママレードジャムを作るときは、皮を1mmの千切りにすると決めたらすべてその通りにカットしますし、果実は粒感が残るようにひとつずつ丁寧に取り出します。3日間かけてじっくりと仕上げるんです。そういう手間をかけた味は、お客さまに伝わるだろうと思うんです。
——そう聞くとさらに美味しさが増しますね。
琴愛さん:それから素材がどうしたら美味しく引き立つかも考えています。ジャムにしたら素材のフレッシュ感がなくなると思われがちですけど、フレッシュな味わいを出したいと思っていて。加工品だから長持ちするものではありますけど、買ったらすぐに召し上がっていただいて、その季節の味を楽しんでもらいたいと思っています。
——ということは、ジャムは季節ごとに変わるんですね?
琴愛さん:旬の素材を選んでいるので、これからはゆずやりんごのジャムを用意したいと思っています。売り切れたら次の年までそのジャムはないよっていうふうに季節感を大切にしています。
——白鳥の形をしたシュークリームは瓢湖をイメージしているんでしょうか?
琴愛さん:ここでお店を出すと決まったときから、水原のお土産菓子を作りたいと思っていました。それでスワンシューがパッと頭に浮かんだんです。若い方には写真映えすると好評で、店内で撮影されていかれます。そういう商品を作れてよかったです。

——「湖と菓」という店名も素敵ですね。どちらが名付けたのでしょう?
華愛さん:ふたりで一緒に考えたよね。最初はフランス語で「いつもふたりで」という名前にしていたんですけど、なかなか覚えてもらえなくて。
琴愛さん:漢字で読みやすく、響きもいい「湖と菓」に変えました。私たちの名前が入っているところもポイントです。
——オープンしてからの反響はいかがでしょう?
琴愛さん:宣伝をあまりできないままオープンを迎えてしまったんですけど、たくさんの方に来ていただきました。今は木曜日と土曜日のみの営業なのに、わざわざ予定を空けて来てくださることが本当にありがたいです。以前の職場では接客を経験していなかったので、お客さまの声を聞くことはほとんどありませんでした。「美味しかったよ」って、直接感想を聞けるのが嬉しいです。
華愛さん:私は裏方みたいな立場だし、日々追われている感じがして「まだまだこれから」という気持ちです。でも妹が言ったようにお客さまの感想を伺えることはすごく嬉しいですね。それに子どもたちが帰ってくる場所がもうひとつできたんじゃないかなって思うんです。ちゃんと子育てに向き合いながら「湖と菓」を営むっていうのは、私たちが目指している仕事の仕方なんです。
——さて最後に今後に向けて目標を教えてください。
琴愛さん:子どもと一緒に過ごす時間をしっかり設けて、育児と仕事を両立すること。それと子どものアイディアを取り入れたお菓子も作っていけたらいいなと思っています。スワンシューの生地はハートの形にしているんですけど、それは子どものアドバイスなんですよ。
華愛さん:都内の新しい技術やトレンドをいち早く取り入れつつ地域の皆さんに喜んでもらえるお菓子をお届けしたいです。地元の方には開店時にもとても支えていただきました。「新しいお店ができるんだね」って近くの和菓子屋さんや果物屋さんがすごく宣伝してくれて、オープン日はたくさんお客さまが来てくださいました。この地域の皆さんに愛されるお店になることがいちばん大切なんじゃないかな。これからも地元の方に愛されるお店でありたいです。

湖と菓
阿賀野市岡山町5-15
毎週木曜日と土曜日、他営業中
毎月の営業日はInstagramで確認できます。
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