弾いてふざけるシンガーソングライター「原生真」。
カルチャー
2020.01.20
ライブ会場に響き渡る歓声と笑い声。独自のライブスタイルに迫る。
新潟市出身のシンガーソングライター「原生真(はらいくま)」。キャッチーソングを武器に繰り広げられる彼のライブは、客席から歓声と一緒になぜか笑い声が聞こえてきます。そしていつの間にか定着したのが「弾きふざけ」というスタイル。今回は、ライブパフォーマンス中にふざけて笑いを誘う独自のスタイルの秘密などをインタビューしてきました。

原 生真 Ikuma Hara
新潟市生まれ。4歳からエレクトーンをスタートし、小学校4年生にしてアコースティックギターを弾き鳴らす。ハーモニカやバンジョーなど幅広い楽器に対応したシンガーソングライター。
笑いが混じるライブ。演奏しているのはどんな曲?
――今日はよろしくお願いします。まずは、どんな曲を作っているのか教えてください。
原さん:ライブのときはギターのみで演奏しているけど、CDの場合はドラムなどの電子音を加えてフルバンドの構成です。曲はポップとかバラードといったジャンルは決めていないから、フォークソングからコーチングまでいろいろで、全体的にキャッチーでいつまでも耳に残る曲が多いと思います。
――誰でも聴きやすい曲ってことですね。ライブはどんな雰囲気ですか?
原さん:ライブは…とにかくふざけています(笑)。バラードを歌いながら小ネタを挟んだり、演奏中に友達の名前を合いの手にしたり、笑いも届けられるようなライブパフォーマンスが原スタイルです。そのせいで「弾き語り」じゃなくて、「弾きふざけ」という演奏スタイルを周りから名付けられました(笑)

――「弾きふざけ」って…(笑)。なんか楽しそうなライブですね。ライブで盛り上がるアンセムソング? 持ちネタ? ってありますか?
原さん:それなら「わたる」という曲ですね。この曲名は人の名前なんだけど、曲を聴いている人はずっと「わたるって誰?」と思いながら盛り上がっています。さらに「わたるコール」で会場がひとつになる、とにかくカオスな曲です。2019年にリリースしたファーストアルバム「いくまピア」にも加えたぐらい気に入っています。
――知らない人の名前で盛り上がるなんて、かなりカオスな空間ですね(笑)。他にも「いくまピア」に収録されているオススメの曲を教えてください。
原さん:ペーパードライバーだった時期に作った「免許証が泣いている」のアンサーソングでもある「最近割と車運転してる」ですね。軽快なリズムで軽やかなメロディーの曲になっています。CDはふざけている曲もあるけど、表面上は真面目な曲もあるからご安心を(笑)

ふざけていない曲だってあるんだもん。
――作曲はふざけようと思ってスタートするんですか? それとも自然に?
原さん:何も考えないで作りはじめて、完成したらふざけていたパターンが多いですね…って、全部がふざけた曲みたいですね。一応、ふざけていない曲もありますよ(笑)
――え? ふざけていない曲もあるんですか?
原さん:子どもの頃、友達と遊んでいた空地が駐車場になったり、マンションがどんどん建設されたり、時代と共に周辺環境は変化していきます。でも、自分の部屋から見える夕日は何も変わらない。これだけは昔から。窓から感じた、そんなしみじみとした思いを乗せた「オレンジ色」という曲があります。これはふざけていません(笑)

どうして原生真はふざけはじめたの? 弾きふざけの原点を聞いてみた。
――どうしてふざけるスタイルに行き着いたんですか?
原さん:僕たちシンガーソングライターは、アコースティックライブをすることが多くあります。そのときに落ち着いたトーンでかっこいいことを語る人がいるんです。そんな姿をどこか冷めた目で見ている自分がいて。その裏返しであえてふざけるスタイルになっていきました。
――じゃ、かっこいいトークはしないんですね。
原さん:そうなりますね。でも上京なんてしたことないのに波乱万丈な嘘のトークはします(笑)。あと、曲紹介もほとんどしないですね。
――「この曲は、こんな気持ちで書きました」みたいな、ライブでよく目にするやつですよね?
原さん:そうそう。曲に込めた想いとか、作曲した背景を語ってしまうとその印象が強く残って、聞き手が曲から感じ取る対象を自由にセレクトできなくなると思っています。だから曲から何かを感じ取れるように曲説明はしません。するとしたら話のオチがあるときぐらいですね。
――オチですか?
原さん:がっつりふざけた曲のなかにも、真面目でシリアスな曲がちらほらあります。しっとりしたバラードを歌っていても、本当はスケベな曲だったり(笑)

ピアノやエレクトーンを弾いて。裏方活動も頑張っています。
――普段はどんな活動をされているんですか?
原さん:ライブで笑いをとるために、小ネタの練習です(笑)。ギターの練習より頑張っています。
――そこまで言われると、曲よりふざけている様子に興味が湧いてきますね(笑)
原さん:ありがとうございます(笑)。真面目に答えると…4歳からエレクトーンを弾いているからその経験を生かして、ピアノなどの鍵盤の仕事もライブがないときにしています。誰かのバックで弾いたり、曲のアレンジを手伝ったり、裏方的な仕事です。

――ちゃんと真面目な仕事もしているんですね。
原さん:はい(笑)。最近だと、声優の雨宮天(あまみやそら)さんがリリースしたアルバム「PARADOX」にピアノの演奏で加わりました。あとはテレビ東京系列「キラッとプリ☆チャン」のエンディング曲「じゃんけんキラッと!プリ☆チャン」にピアノで参加したことも。
――ただふざけている人だと思っていたのに(笑)。では、真面目に答えてくれている流れのまま、これからの展望を教えてください。
原さん:2019年はワンマンライブを初開催することができました。ライブ自体は好感触だったけど、目標にしていた動員数にちょっとだけ手が届かなくて…。2020年は前回の反省を生かしてもう一度、ワンマンライブにチャレンジしたいと思っています。
――最後にワンマンライブに向けて決意表明をお願いします。
原さん:はい。原生真を知っている人も、知らない人も、誰もが楽しめるライブができるように、しっかりとネタを練習して笑いの完成度を高めていきたいです!

次回「弾きふざけ」の開催情報はこちら。
MUSIC PORT 2020
開催日|2020年2月23日(日)
場所|ライブハウス&カフェSuimie 富山県富山市中央通り2-5-6
時間|開場11:00/開演11:30


原生真
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