人々が集い繋がる空間「dAb COFFEE STORE」。

通っていたアメリカのコーヒースタンド。すべてはココからはじまった。

ちょっと新潟らしくなくて“都会の穴場”的な雰囲気を匂わせている「dAb COFFEE STORE(ダブコーヒーストア)」。人と人が繋がる空間として、多くのお客さんが集うこのカフェは昨年にオープンしたばかりです。もちろん、おいしいコーヒーが飲めるのは大前提。オーナーの小林さんに「dAb COFFEE STORE」の空間作りについて、今まで歩んできた人生と一緒にいろいろ聞いてきました。

 

dAb COFFEE STORE

小林 大地 Daichi Kobayashi

1990年新潟生まれ。北越高等学校サッカー部出身、埼玉私立獨協大学卒業。東京都渋谷区「Little Nap COFFEE STAND(リトルナップコーヒースタンド)」での経験を経て、2018年「dAb COFFEE STORE」をオープン。

 

アクエリアスばかりの人生からのアメリカ。コーヒースタンドでWhat’s Up。

――小林さんは、どういったキッカケでコーヒーが好きになったんですか?

小林さん:高校時代までサッカーをしていたので、飲み物といえばアクエリアスばかりでした。大学に進んでから1年間、休学をしてアメリカ・西海岸へ英語を学びに行ったんです。いろいろな世界の人も見てみたいとも思い。その時に通っていた語学学校への通学途中に小さなコーヒースタンドがありました。今思うとおいしいか微妙なコーヒーをだしていて(笑)。そこに通いはじめたのがコーヒーに携わることになったキッカケですね。

 

――微妙なコーヒーだったんですね(笑)

小林さん:毎日、コーヒーを飲んで、会話をして、学校へ行ってというのが生活のルーティンになり。出勤前のサラリーマンとかと話したり、店員さんと会話をしたり、そこはいろいろな人たちとコミュニケーションの場でした。なので、コーヒーを飲みに行くというよりは、遊びに行くような感覚で。

 

――そのコーヒースタンドの空間が気に入ったんですね。

小林さん:そうなんですよ。顔見知りができるにつれてコーヒースタンドへ行くのが楽しみになって。コーヒー1杯でこんなにたくさんの人と出会えて、繋がれる空間が作れるんだと感じて、当時はあくまで夢や想像の世界でしたが「こんな場所、こんな空間が作りたいな」と思いました。

 

休日のCAFÉ巡りで出会った師匠のコーヒースタンド「Little Nap COFFEE STAND」。

――コーヒーというより、最初の入り口は「人を繋ぐ空間」だったんですね。帰国してからは、どうされていたんですか?

小林さん:帰国後はコーヒーを勉強しようかと思って「Starbucks Coffee(スターバックスコーヒー)」でアルバイトをはじめました。で、コーヒーを勉強するようになると、だんだんと突き詰めていきたいと思うようにもなって、時間があるときはとにかくコーヒー屋を巡っていましたね。当時は今ほどコーヒーにこだわったお店は多くありませんでした。

 

――世界に展開する「Starbucks Coffee」ですか。ちなみに、カフェ巡りでよく通っていたお店はありますか?

小林さん:代々木公園の近くにある「Little Nap COFFEE STAND」です。カウンターがちょっとだけあるような小さなコーヒースタンドだけど、お店の雰囲気がとにかくカッコよくて。オーナー人柄も好きで、お気に入りの場所でした。なんかアメリカで通っていたコーヒースタンドの空間にどこか似ていて、具体的にお店を自分でやりたいと思ったキッケケにもなりました。

 

 

――大学卒業後はどこかに就職されたんですか?

小林さん:就職活動は一応していましたが、しっくりこなくて。大学まで行かせてもらい、親には申し訳ないけれども「コーヒー屋で働いてもいい?」って聞いてみました。呆れてましたね(笑)

 

――じゃ、大学を卒業してからはコーヒーの道へ進んだんですね。

小林さん:はい。働くなら「Little Nap COFFEE STAND」と思っていたので、求人募集は出ていませんでしたが、店に行って働かせてほしいとお願いしました。すると、ちょうどスタッフが辞めるタイミングで。

 

――お!グッドタイミングでしたね。

小林さん:それが…オーナーとしっかり話せるタイミングがなかなかなくて。正直、ダメかなーって思っていたんです。でもある日「明日イベントだから手伝いに来て」と急に電話が鳴り、言われるがまま手伝いに行きました。「Starbucks Coffee」でアルバイトしていたとはいえ、何ができる訳もなく、補助的な仕事をこなしていました。そしたら次の日、また電話が鳴って「今から来れる?」と。行ってみたら「きついけどいい?しょうがないから雇ってやるよ」と。そもそも給料も求めてないし、とにかく「Little Nap COFFEE STAND」で働きたい、学びたいという意思が強かったので、めちゃくちゃ嬉しかったですね。

 

「お前なら大丈夫じゃない?」と背中を押してくれたBOSS。

――東京で働いていたのに、どうして新潟に戻って「dAb COFFEE STORE」を開いたんですか?

小林さん:母が1回、倒れたんです。一人っ子ということもあるので、将来的には新潟へ戻らないとまずいなと思って。そのときに新潟に帰ってお店を開こうと決意しましたね。やるからにはオーナーに認めてもらえてないと、っていう思いもあったので「新潟に帰って、自分で店をやろうと思います」と伝えました。

 

――オーナーさんは、どんな反応でしたか?

小林さん:「まだ早い!」っていわれると思っていたら、「いんじゃない?お前なら大丈夫だよ」と思いもよらない言葉が返ってきました。嬉しかったし、自信にもなりました。

 

 

――「Little Nap COFFEE STAND」では、どんなことを学びましたか?

小林さん:忍耐力です(笑)。事実、仕事は楽しい反面、辛いことも多かったです。あとは社会人として勤めた経験がなかったので、仕事に対しての向き合い方、プロとしての姿勢をしっかりと教わりました。オーナーは細かい人だったので、手寧に仕事をすることの大切さも。お客さんからも学びが多かったですね。

 

――お客さんからの学びというと…。

小林さん:立地的にアーティスト、ミュージシャン、フォトグラファーなど、それぞれの業界の一線で活躍している方が多くて、その方々の仕事に対する姿勢や考え方などをお聞きする機会も多々あり、とても勉強になりました。会話から得られるモノが物凄くたくさんありましたね、もちろん、その人たちとの繋がりも。

 

――やっぱり、人との繋がりが小林さんのなかで大切なポイントなんですね。コーヒーについてはどうですか?

小林さん:もちろん、たくさん教わりました。オーナーは元々エスプレッソマシーンのメーカーに勤めていたので、自分でメンテナンスができるんです。なので機械的なコトもたくさん教えてもらいましたし、温度、湿度、豆の状態に合わせたマシーンの調整、抽出も毎日の繰り返しで身に着きました。

 

遊び場みたいな「dAb COFFEE STORE」。音楽も空間のひとつ。

――お店をはじめるときに、コンセプトにしたコトはありますか?

小林さん:コーヒー屋だけど「自分の遊び場を作りたい」という気持ちが強かったです。いろいろなイベントもやりたかったし。なので、コンセプトを立ててというよりは、大きな空間でいろいろな人たちが集まれる場所にすることが重要でした。

 

――遊び場感覚、いいですね。どんなイベントを開催していますか?

小林さん:東京時代に出会った人たちを新潟に呼んで、アーティストやバンドのライブ、写真集を中心に本をセレクトしている人の販売会、お店のロゴを描いてもらったステンシルアーティストのワークショップなどのイベントを。最近では卓球台を持ち込んで、「PING PONG IS GOOD!!」という卓球イベントを五泉市にあるベーグル屋さん「Re Ri Bagle(リリベーグル)」さんと一緒に開催しました。久しぶりにやると楽しいですよ(笑)

 

 

――卓球、楽しそう(笑)。そういえば、レコードで音楽を流しているんですね。

小林さん:「Little Nap COFFEE STAND」でもそうだったので、自分もそうしようと思ってレコードで音楽を流しています。音楽もコーヒー同様に大切で、天候や時間を考えて選曲しているんです。朝はオーガニックなサウンドをかけて、たまに自分が好きな曲も、心地の良い空間を作るようにしています。

 

――確かに、何となく音楽が流れているというより、しっかり空間を作ってくれていますね。最後に、これから目指す「dAb COFFEE STORE」は、どんなお店ですか?

小林さん:まずは、出勤前にふらっと寄れたり、近所の人たちが気軽に通ってもらえる店でありたいです。毎日とは言いませんが、週に何度も来てくださるお客さんも増えています。お客さんから「どうも」みたいに挨拶してもらえると嬉しいですし、「ここに来るといろんな人に出会える。こんなお店ができてよかったよ」と言われた時は「コーヒー美味しかったよ」の一言よりも嬉しかったかもしれませんね。

 

「この音楽はなんですか?」。コミュニケーションが嬉しい空間。

取材日は、「dAb COFFEE STORE」に行った3回目の日。午前10時、「どうも」の一言からのスタートでした。まるでコーヒーをゆっくり飲みながら、カウンター越しに小林さんと会話する常連客かのような取材時間。とにかく人との繋がりや空間に対しての思い入れがある小林さんに、コーヒーへのこだわりだけでなく、いろいろな会話をさせてもらいました。「この音楽なんですか?とか、聞かれると嬉しいですよね」と小林さん。本当に人とのコミュニケーションが好きなんだなって思った、素敵なAMでした。

 

 

 

dAb COFFEE STORE

新潟県新潟市中央区水島町3-23 八千代マンション1F


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