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居心地いいスペースで、オーナーのお気に入りを楽しむ「alegre」。

暑かった夏も終わり、秋の虫たちが鳴きはじめた弥彦山の麓に、今年5月にオープンしたカフェ「alegre(アレグレ)」を訪ねました。一見すると外国の風景のようにも見える、石庭と木壁の組み合わせがお洒落なお店です。今回はオーナーの井内さんに、カフェをはじめたいきさつやこだわりを聞いてきました。

 

 

alegre

井内 玲子 Reiko Iuchi

1976年石川県生まれ。金沢美術工芸大学日本画科卒業後、中学校の非常勤講師や地元テレビ局の広報スタッフとして働く。夫の転勤で新潟県弥彦村に移住し、2021年に念願だったカフェ「alegre」をオープン。カエルが苦手。

 

ご主人の転勤で、金沢から弥彦へ。

——ここは静かでいい場所ですね。井内さんは弥彦村の方なんですか?

井内さん:いえ、生まれも育ちも石川県の金沢市なんです。

 

——あ、そうなんですね。どうして弥彦村に移ってきたんですか?

井内さん:主人の転勤で引っ越してきました。西蒲区周辺で転居先を探して回っているときに、弥彦を訪れて感動したんですよ。空気がとっても澄んでいて、呼吸がしやすい場所だなって(笑)

 

 

——弥彦にはパワースポットの彌彦神社がありますから、空気も浄化されているのかもしれないですね(笑)。金沢にいたときはどんなことをしてきたのか教えてください。

井内さん:もともと絵を描くことが好きだったので、金沢美術工芸大学で日本画の勉強をしたんです。大学卒業後は美術教員を目指して中学校の非常勤講師をしていました。でも生徒に成績をつけることに抵抗があって、だんだんストレスになっていったんです。そのうち自分が教員に向かないと気づいたので、結婚を機に教員の道をあきらめることにしました。

 

——美術って特に成績をつけるのが難しそうですもんね。その後はどんな道に進んだんでしょうか?

井内さん:学生時代から美術スタッフとしてアルバイトをしていたローカルテレビ局で、ホームページの企画や運用をしたり、広報の仕事をしたりしていました。やりがいを感じながら15年くらい働いて、主人が新潟県に転勤することになったのでテレビ局を退社することにしたんです。

 

知らない土地で始めたカフェが、自分のコミュニティに。

——弥彦に来てからカフェをはじめようと思ったのは、どうしてなんですか?

井内さん:大学時代からセレクトショップやカフェをプロデュースしてみたいっていう夢があったんです。当時は学生食堂の喫茶室が大好きでずっと入り浸っていたから、自分でもそういう居心地のいい空間を作りたいと思っていました。それで新潟に来るのをきっかけにカフェをはじめようと思ったんです

 

——知らない土地で店をはじめることに不安はなかったんですか?

井内さん:ずっと金沢で生きていくもんだと思っていたのに、まったく縁もゆかりもない弥彦村に来たことで、むしろ吹っ切れたんじゃないかな。そのまま金沢で生活していたら、カフェはやっていなかったかもしれないです。知り合いがまったくいない土地だったから、自分の店をはじめることで、地元の人たちとのコミュニティを作ることができたらと思って。

 

——地元の人たちの反応はいかがですか?

井内さん:とても温かく受け入れていただけました。声をかけてくださったり、お店を利用してくれたりして、本当にありがたいと思います。

 

 

——この建物も環境になじみつつお洒落ですよね。

井内さん:ハウジング雑誌に載っていた家の写真を見て、ぜひ、この建築家さんにお願いしたいということでご紹介いただいたんです。柱を立てずに天井を高くして開放的にしたり、木や石、鉄、コンクリートを組み合わせることでお洒落な空間を作っていただきました。外壁や店内の一部に使われている魚沼杉は、年数を重ねることで深い味わいが出てくるから、経年劣化ではなく「経年優化」を楽しむことができるんですよ。

 

——建築家さんが期待に応えてくれたわけですね。ところで「alegre」ってどういう意味なんですか?

井内さん:「楽しい」「陽気な」という意味のスペイン語です。ちなみにロゴは主人が作ってくれました。弥彦山をはじめ、国上山、多宝山といった周辺の山をモチーフに「alegre」の文字をデザインしてあります。

 

お客さんが帰り際にかけてくれる言葉に感激。

——さて、こちらのお店ではどんなメニューを楽しむことができるんでしょうか?

井内さん:基本的に、私のお気に入りやお客様におすすめしたいものを提供している店なんです。たとえば「バゲットサンド」に使っているバゲットは、同じ弥彦村にある「ル・ラパン.」というパン屋さん、サンドする生ハムは新潟市東区にある「Metzgerei TERRA(メッツゲライ テラ)」のものを使わせていただいています。クッキーは巻の「グリュック」というお菓子屋さんから仕入れているんです。うちで食べて美味しいと思ったら、帰りに立ち寄って買っていっていただけるとうれしいですね。

 

 

——コーヒーも美味しいですね。

井内さん:これは新潟市中央区にある「Days Coffee Roaster(デイズコーヒーロースター)」から豆を買って使わせていただいています。カップや器はオーブンにかけることができる多治見焼を使っていて、その器を使ってプリンを作っているんです。コーヒー豆や多治見焼のカップ、クッキーは店内でも販売させてもらっています。協力してくださっている皆さんが美味しいもの、素敵なものを作ってくれているから「alegre」を営業することができているんですよね。

 

——井内さんのお気に入りを提供するっていう意味では、セレクトショップっぽいカフェですよね。プリンはオリジナルなんですか?

井内さん:はい(笑)。プリンはコーヒーにも合うし、どうしても出したいと思っていたメニューなんです。いろいろなお店のプリンを食べて参考にしたり、試行錯誤を繰り返したりして完成したんですよ。カスタードクリーム感が強くて、カラメルじゃなくてキャラメルソースを使っているので、かなりコクのある濃厚な味わいになっています。

 

 

——オリジナルというところに、プリンへの強いこだわりを感じますね(笑)。今までお店をやってきて大変だと思うことはありますか?

井内さん:私が考えていた以上に、たくさんのお客様からお越しいただいているんですが、混んでいるときはお待たせしてしまって申し訳ないと思っています。お客様にゆったりと過ごしてほしいと思ってはじめたカフェなのに、週末の混む時間帯はとてもそんな雰囲気じゃないんですよ(笑)。

 

——それはうれしい悩みですね。でも、怒ってしまうお客さんはいないんですか?

井内さん:いないですね(笑)。優しいお客様ばかりで本当にありがたいです。帰り際に「美味しかった」とか「また来ます」とか声をかけてくださるお客様も多くて、もう泣きそうになるんですけど(笑)。そういうので私は頑張れています。来てくださったお客様が笑顔になってくれるだけで「alegre」をやっている意味があるって思うんです。

 

 

自分の好きなものや美味しいと思ったものを集めて提供している、まるでセレクトショップのようなカフェ「alegre」。自然豊かな弥彦村にある、こだわりだらけのカフェで過ごす時間が、皆さんにとって「alegre」なものになりますように。

 

 

alegre

新潟県西蒲原郡弥彦村上泉1729-1

10:00-18:00

火水曜休

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