Things

Things読者世代のFP・長谷川美歩に聞く、新潟人の「お金の貯め方」。

今年こそ貯蓄!と意気込んで、ファイナンシャル・プランナーに聞きました。

年の初めはいろいろな「目標」を設定するものですが、「今年こそしっかり貯蓄をしよう!」「投資に挑戦してみよう!」と、お金のことで決意を新たにする人も多いのではないでしょうか。お金って、手に入れるのは大変なのに、手放すのはなんて簡単なんでしょう。年末に銀行で記帳をして「あれ…こんなはずじゃなかったのに」と頭を抱えた人もいるはず!(はい!私です!)Thingsの読者の皆さんは30代~40代の方が多く、リタイヤは20~30年先とはいえ、そろそろ老後が心配になってくるお年頃。そこで今回は、ファイナンシャル・プランナーの長谷川美歩さんに、お金を貯めるための心構えやアドバイスを、ざっくばらんにいろいろ聞いてきました。

 

外資生命保険会社 コンサルタント

長谷川 美歩 Miho Hasegawa

1979年湯沢町生まれ。小学3年生のときに新潟市へ。地元の大学を卒業後、旅行会社での仕事を通じてお客様のファイナンスに興味をもつ。退職後FPに憧れ地元新潟で働ける生保業界の門をたたく。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、相続診断士。SNSで#子どもとお金の勉強と題し個人ブログを配信中。スキューバダイビングのアドバンスドのライセンスを持ち、茶道のお稽古には毎週通っている。

 

お金を増やしたいなら、あくまで長期で。途中で引き出さない覚悟が必要。

――今って、銀行にお金を預けてもちっとも金利が低すぎてまったく増えない時代ですよね。どうしたらお金って増えるんでしょうか? やっぱり投資ですか?

長谷川さん:増やすならやっぱり資産運用ですね。資産運用しかない(笑)。今だと、iDeCo(イデコ)、つみたてNISA、あと保険ですね。

 

――挙げていただいた3つの中で、リターンがいいものっていうのは、やっぱりリスクも高いんですよね?

長谷川さん:めちゃくちゃ高いですね。結局、私たちは日本に住んでいるので、日本の銀行にお金を預けてお金が増えるのがベストなんです。でも、できない。それでは増えない。そこでリスクのあるところにお金を預けることになるわけですけど、リスクをとる場合は、長期でお金を預けるしかないと思います。例えば日経平均やダウ平均株価って長い目で見ると下がっていないわけです。昔からずっと持ち続けている人ほど、利益を上げているんです。

 

――やっぱり2年や3年というスパンじゃなくて、20年30年という長期で預けることが大事なんですね。

長谷川さん:30代~40代の方は、普段使うお金は出し入れしやすいいつもの銀行に預けて、増やしたいお金は長期で預ける覚悟を持って臨まないとなかなか増やすことは難しいですね。

 

――覚悟が大事なんですね。

長谷川さん:途中で引き出さない、という覚悟ですね。

 

 

――最近、多くの人がやりはじめた資産運用ってあるんですか?

長谷川さん:新潟の場合、「つみたてNISA」をする方が増えていると感じています。新潟にお住まいの方は、世帯年収200万円~800万円が9割なんですけど、独身の方を除くと、可処分所得がそんなに多くないんですね。そうすると年間投資額40万円のつみたてNISAが、資産運用のために拠出できる金額的にも合うんでしょうね。

 

――みんな大変なやりくりの中で、「なんとか資産運用をはじめよう」と思うとつみたてNISAという選択肢になる、という感じですね。保険商品の場合はどうなんでしょうか。

長谷川さん:保険商品は外貨を扱う会社が増えてきました。というか、ほとんどの会社で扱っているんですね。今はそれだけ円建て商品が運用難なので。もちろんそれも長期投資が基本でしょうね。

 

――日常で使うお金とは別に、銀行に預けるお金の余裕を持っている人は、そのお金をまるごと資産運用に使っていいんでしょうか?

長谷川さん:うーん、まるごとは危険ですね。やっぱり元本割れのリスクもありますし、それだけじゃなく、クルマが壊れたとか、病気になったとか、そういう場合に備えて緊急予備資金はいつでも引き出せるようにしておかないと。緊急予備資金としては最低100万円くらい、独身の方も100万円以上はいつでも引き出せる状態にした方がいいです。

 

――じゃあ、日常のお金、緊急予備資金、投資用のお金、の三本立てみたいなイメージがいいってことですね。

長谷川さん:そうですね。お子さんがいる世帯ならそこに教育資金もぬかりなく、という感じになります。

 

――ちなみに、長谷川さんはどんな資産運用をしていますか? 言える範囲で構わないんですけど…。

長谷川さん:私ですか? 私はどれも小額なんですけど、いくつか取り組んでいますよ。まず南アフリカランドを買い続けていますね、ずっと。日本は少子高齢化ですけど世界は人口爆発なんですよ。40年後、アフリカの人口は今の倍になる予測があるんですね。人が増えれば経済成長するという基本の論理に基づいてチャレンジしています。あとは、外貨の保険、普通預金の外貨で米ドルを買っています。それと、これから金をやってみたいと思っています。

 

老後の生活のために今必要な「習慣化」。

――昨年は「老後資金2千万円問題」とかありましたが、長谷川さんは65歳で年金支給を迎えるまでにどのくらいのお金があると安心だと思っていますか?

長谷川さん:世帯や条件によって違いますね。ただ、夫婦ふたり子どもふたりの家庭で、持ち家で、退職までにローンも支払いが済んでいる場合は、共働きであれば、まあ新潟であれば、2千万円くらいあれば生活に困らないんじゃないかと思います。東京だったらダメですけど(笑)

 

――ずっとシングルの場合はどうなんでしょうか。

長谷川さん:シングルの場合は、病気リスクや介護リスクをほぼひとりで抱えなければいけないんですね。おそらくすべてお金で解決することになるんですよ。なので、シングルだからといって少なくていい、というわけにはいかないですね。家族がまわりにいる状況って、見ているとけっこうお金がなくてもいいんですよ。

 

――確かに、リスクを分散できるというか、家族で支え合えますもんね。ところでこれを読んでいる30代~40代の方が、30年後の安心のためにまずやらなければいけないことって何でしょうか?

長谷川さん:貯蓄の習慣化ですね。みんな朝起きたら歯磨きしますよね。それによっておじいちゃんおばあちゃんになっても健康な歯でいられる、それと同じように、お金を貯める習慣を身につけることですね。

 

――習慣化…できそうでできないんですよね。貯めるためにどこの銀行を使えばいいか、とかアドバイスはありますか?

長谷川さん:新潟の皆さんの場合、お給料が第四銀行の口座に振り込まれて、その口座をメインバンクにされている方が多いと思いますけど、新たにネットバンクを開設するのはおすすめですね。ネットバンクは手数料などでサービスがいいものが多いですし、だいたい証券口座を開設できますから、そうするとけっこうつみたてNISAがやりやすいんですね。20年間の非課税はThingsの読者の方の世代にとってはおいしいんじゃないかと思いますよ。まずはどんなネットバンクがあるか調べて、自分の生活に有利なネットバンクで口座を開設してみてはどうでしょうか。

 

――なるほど。ところで積立をするためには、手元にお金がないといけないですよね。でもつい買い物をしちゃうとか、カードでポンと衝動買いしちゃうとか、そういう人も多いと思うんですよ。私もそうですけど…。

長谷川さん:大事なのは、まず、お店に行かない(笑)。物理的にお店に行かないことで家計防衛につながります。

 

――Amazonもダメですね。

長谷川さん:毎日ポチってしまう人はダメですね。

 

――買い物をしていい日を決めたり、日用品は月頭にしか買わないとか、そういうルールをつくるのはどうですか?

長谷川さん:それはいいですね。

 

――買い物に行くとつい余計なものまで買っちゃいますもんね。あと、駐車場代の220円を浮かせるためにあと2千円買わなきゃ、みたいな意味不明な行動を起こしちゃったりとか(笑)。

長谷川さん:ありがちですね(笑)。でも老後のことを考えると、「つい買ってしまう習慣」のままで老後を迎えると大変なことになっちゃうんですよ。現役生活と同じ感覚で退職を迎えて、少し窮屈な暮らしをはじめると老後の生活に耐えられなくなります。それで「40年間頑張ってきたのはなんだったんだ…」みたいに鬱になってしまう例もありますし。

 

――大事なのは貯金を習慣化して、無駄な買い物を減らす、ということですね。

長谷川さん:あと、お金を増やすには「目的」が必要だなと思いますね。皆さん、その人その人の事情があって、お金を管理するっていう行為は、その人自身の棚卸しなんですよね。「何にお金を使いたいのか」それを見つけることが大事だと思います。

 

――お金のことをあまり考えない人でも、目的意識を持ってコツコツ貯金を習慣化すればちゃんと老後の時期にはお金が貯まっていますか?

長谷川さん:貯まりますね。間違いなく貯まります。ただ条件があって、「入ってきたらすぐ入れる」ことと、「絶対に引き出さない」。それに適した商品はiDeCoか、外貨の終身保険ですね。

 

ファイナンシャルプランナーのやり甲斐は、好きなお客様と仕事ができること。

――長谷川さんは今のお仕事をいつからされているんですか?

長谷川さん:2007年からですね。前職が旅行会社だったんですよ。学校の修学旅行の担当だったんですけど、地域ごとに所得格差があるんですよね。中には旅行積立ができないとか、修学旅行に行けない子もいて。それに衝撃を受けたんです。その後、企業さんの社内旅行とかも担当したんですけど、年度末になっていきなり業績不振で社内旅行が中止になったりして。その悔しかった経験が生かせるんじゃないかと思ってFP(ファイナンシャル・プランナー)の道を選びました。

 

――やり甲斐はどんなところに感じていますか?

長谷川さん:自分が好きなお客様のところに行ける、というのがいいですね。与えられたマーケットで仕事をするのではなくて、好きな方とお仕事ができる、それでずっとお付き合いができるっていう。

 

――お仕事の他に、個人的な活動もされているんですよね。

長谷川さん:インスタに「子どもとお金の勉強」というテーマで、自分と息子のお小遣いのやりとりをUPするということをやっています。

 

――え、それってけっこう生々しいですよね。

長谷川さん:生々しいですよ(笑)。毎週100円お小遣いをあげて、「銀行(長期)」「貯金箱(中期)」「寄付や投資」「お財布」と分けるんです。それで、何を買ったかもきちんと記録していくんです。「りんごジュース」とか「玩具」とか。子どもが成長していっても、続けられるだけ続けたいなと思っています。

 

 

――それはお金を何に使ったかとか、お金の流れの可視化・習慣化とかそういうことですか?

長谷川さん:それもありますけど、親として、自分の子どもに、自分のお金をきちんと振り分けられる人になって欲しいんですね。子どもにとって身近なお金って、おこづかいですよね。おこづかいって、親とお子どもをつなぐ大切なお金なんです。「SDGs」の「17の目標」の4番目に「質の高い教育をみんなに」というのがあるんですけど、私はこの活動を通して「お金の教育」ができればと思っています。子どものためだけじゃなく、自分のためにもやっていることです。

 

※SDGs…「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略。2015年9月に国連で開かれたサミットの中で、世界のリーダーによって決められた、国際社会の共通目標。

 

新年、今年こそ貯蓄を!と思う人は、まずメモ帳を用意しよう。

――新年が明けて、今年こそは貯金をしようとか、それこそお金を貯めることを「習慣化」しよう!と意気込んでいる人もいると思うんですけど、そういう方たちのために、まずファーストステップとしてこれをしたらいい、ということはありますか?

長谷川さん:そうですね、もし貯蓄への不安感があったら、ちょっとメモ帳とかノートに書き出してみるのがいいと思います。月の収支、一年の特別支出だけでもいいので、実際に書き出して、さらに40代、50代、60代、70代、80代、90代まで、長い期間でこの先どんな人生にしたいか書いてみると、「じゃあ何にお金が必要なんだろう」という目的がはっきりすると思います。そうすると「意外と時間がないんだな」って気づけたりします。

 

――人生のいつどこで、どんなお金が出ていくか、ということを把握するわけですね。

長谷川さん:特に子どもが高校生や大学生の期間って、どんな人でも赤字なんですよ。

 

――え、そうなんですか。人生の先輩方の皆さんも、余裕あるふうに見せて、実は家計は火の車だったりするんですね。

長谷川さん:収入の高い方でも、その分、教育費にお金が嵩むようになっているんですよね。その時期は、新潟の場合、9割以上の方が単年度収支では赤字になると思いますよ。

 

――そうか…。じゃあやっぱり、お金を貯める習慣を身につける、無駄な買い物を控える、そういうことを自分の人生に組み込んでおかないと、40代後半から50代で子どもが大きくなったときにマズいことになりそうですね。いろいろ勉強になりました。長谷川さん、今日はありがとうございました。

 

 

個人的な質問にも気軽に答えてくれたファイナンシャル・プランナーの長谷川さん。今日のお話をまとめると、まずはメモ帳などに自分の今の収支の状況やこれから先の人生のことを書いてみて、必要なお金とその目的を知ること。そして、お金を増やすためには、「お金が入ってきたらすぐ投資用の口座に入れる」「長期で預けて絶対に引き出さない」を肝に銘じること。iDeCo、つみたてNISA、外貨の保険について気になる人は、いますぐググりましょう! 安心な老後のために、お金が貯まる習慣づけを!

 

 

長谷川 美歩

Instagram

facebook

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP