見た目も食感も新しい、イーストドーナツ店「HOWDY DONUTS」。
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2024.01.12
古町エリアを運転中に、ドーナツショップ「HOWDY DONUTS(ハウディ ドーナツ)」がオープンしているのを見つけました。「ドーナツのお店なんて珍しい」と思い取材をお願いしたところ、2年前にThingsでご紹介した「LEATHER TRAMP KITCHEN」のオーナー岩村さんが出迎えてくれました。

HOWDY DONUTS
岩村 信介 Shinsuke Iwamura
1981年新潟市秋葉区生まれ。新潟の工業短大卒業後、大阪のバイク店で整備職に就き、その後飲食業に方向転換。沖縄のハンバーガーショップやカフェで働きながら10年間過ごす。2015年に「LEATHER TRAMP KITCHEN」、2023年に「HOWDY DONUTS」をオープン。「株式会社UTO」代表取締役。

ただ料理するだけじゃない、たくさんの可能性がある仕事。
——こちらは、岩村さんにとって「LEATHER TRAMP KITCHEN」に次ぐ、ふたつ目のお店になるんですよね。
岩村さん:僕は「日常のちょっと特別な時間を提供したい」って思いで、この仕事をはじめました。8年間ハンバーガーショプをやってきて、その思いを叶えられるような次のステップを考えたときに、やっぱり自分の得意ジャンルであるアメリカンフードカルチャーの中から何かをはじめたいと思ったんですよ。それがドーナツショップでした。
——構想はいつ頃からあったんですか?
岩村さん:「ドーナツのお店がやりたいな」っていうのは、「LEATHER TRAMP KITCHEN」をはじめた頃から思っていました。それで去年くらいから、自分が考えているドーナツをお客さまに受け入れてもらえるかどうか知りたくて、何度かテスト販売をしてみたんですよ。そしたら「期間限定じゃなくて、いつもドーナツを置いて欲しい」って方が何人もいて。その声に背中を押していただきました。
——「これならイケる!」っていう決め手になったことってありますか?
岩村さん:お恥ずかしい話、「イケるぞ」っていう確信はなかったです(笑)。僕、それほど商売が上手なわけでもないですし、利益をたくさん生んでいるわけでもないので。でも新潟にない新しいもの、おもしろいものを提供したいなっていう気持ちはありますね。それと、うちの会社には長く勤めてくれているスタッフが何人もいるので、彼らに「飲食の仕事ってこんなふうに地域貢献ができるんだよ」「発信する側としていろいろなことができるんだよ」「ただ美味しいものを提供するだけじゃないんだよ」って感じてもらいたかったんです。

——人材が定着するって大切ですよね。岩村さんの人柄の良さを感じます。
岩村さん:そんなそんな、とんでもないです。僕は飲食業界が好きだし、この業界に食べさせてもらっているって感覚があるんですよね。経営がうまくいっているかどうかは関係なくて、業界全体が頑張っているから、お客さまが「たまに外食するのっていいよね」って思ってくださる。それって業界のみんなが作ってくれている流れなんですよ。僕はただ、その流れに乗って仕事をさせてもらっているだけです。
——でも取材をしていると、スタッフさんの確保が大変だというお話をたまに聞きますよ。
岩村さん:これから働く皆さんにとって、「飲食業っていい仕事だよね」と思えない部分があるのかもしれないですね。例えば働く環境だとか。それを改善したいっていうか、「働きたい」と思う人を増やしたいとは思っています。「楽しい仕事なんだよ」って自分なりに伝えていきたいですよね。
——仕事の魅力はどんなところにあると思いますか?
岩村さん:自分で調理したものを目の前で消費してもらって、その感想まで聞ける仕事ってなかなかないんじゃないかな。1から10まで体験できるやりがいがありますよね。

まるでパン?! ボリューム満点のイーストドーナツとは。
——先ほど「新潟にないものを届けたい」とお聞きしました。「HOWDY DONUTS」さんのどんなところにオリジナリティがあるんでしょう?
岩村さん:「HOWDY DONUTS」のメイン商品は、イーストドーナツです。1次発酵、成形、2次発酵とパン作りみたいにいくつも工程があるので、完成まで2時間はかかるんですよ。安心して食べられる食材を使って、手間をかけてひとつひとつこだわりを持って作っています。カラフルな色合いにも注目してもらえると嬉しいです。
——どれくらいの種類があるんですか?
岩村さん:定番と季節商品を8種類ほどご用意しています。ドリンクはドーナツに合うメニューを選んでいます。

——お店の内装がすごく素敵ですよね。何かイメージされたものはあるんですか?
岩村さん:アメリカに行ったとき訪れたお店をヒントにしました。コンクリートの打ちっぱなしで無骨な感じのお店にしたくって。ドーナツがちょっと高めの価格帯になってしまうので、説得力のある大人っぽい雰囲気にしています。

経営者として経験を積んだ今、2店舗目をオープンして思うこと。
——オープン後の反響はいかがですか?
岩村さん:ほとんどの作業を僕ひとりでしているので、それほど多くの数を用意できないんです。でも閉店前には売り切れになる日が続きているので、ありがたいですね。
——はじめてのお店がオープンしたのと、2店舗目のオープン。何か違いは感じますか?
岩村さん:僕、以前は沖縄で暮らしていて。「LEATHER TRAMP KITCHEN」は新潟に戻ってすぐに手掛けた店だし、初めての起業だったから、「失敗してもいい」「まずは自分がやりたいことをやらないと」って気持ちでした。そのために頑張ってきたんだから全力をぶつけてみようって。でも今は経営者として従業員を守らなくちゃいけないし、新店で失敗しちゃったら、これまでのお客さまにも残念な思いをさせてしまうかもしれません。そういう意味では責任とプレッシャーを感じますね。

——意外なお返事でした。経験があるから、すんなりできる部分が多いのかと思って。
岩村さん:僕は泥臭いやり方しかできないんですよ(笑)。計算通りに進めることには重きを置いていないっていうか、その場その場を大切にしたいと思ってきました。お陰さまで今は順調ですけど、飲食業って続けることが難しい仕事で。これからどんなふうにお客さまを楽しませることができるか、地域の皆さんに還元できるかが課題なんでしょうね。……って、ワクワクできるお店なのに、マジメ過ぎること言いましたか(笑)

HOWDY DONUTS
新潟市中央区上大川前通6-1211-5 三好マンション鏡橋
営業時間/ 11:00~17:00(なくなり次第終了)
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