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山登りの際に訪れたい新発田のおそば屋さん「山岳手打ちそば 一寿」。

新発田市にある「山岳手打ちそば 一寿(いちじゅ)」は、山好きなご主人が奥さんと一緒に営む、新潟では珍しい「ダッタンそば」を食べられるおそば屋さんです。店主の板垣さんを訪ねて足を踏み入れると、まるで山小屋のような店内なのでした。

 

 

山岳手打ちそば 一寿

板垣 一寿 Kazutoshi Itagaki

1958年村上市(旧朝日村)生まれ。東京の電機メーカーに就職し30年勤務。45歳で脱サラし、2003年に新発田市で「山岳手打ちそば 一寿」をオープン。山登りと写真が趣味。

 

山登り好きの店主がはじめたおそば屋さん。

——薪ストーブもあって山小屋風のお店なんですね。

板垣さん:山登りが大好きなので、よく泊まっていた山小屋をイメージした内装にしたんです。

 

 

——何がきっかけで山登りにハマったんですか?

板垣さん:私は自然豊かな朝日村高根で育ったので、元々山が好きだったんですよ。42歳の頃に山登りをはじめてからは思いきりハマってしまって、休日はほとんど泊まりがけで山登りをしていました。

 

——板垣さんオススメの山はあるんですか?

板垣さん:地元の大峰山(おおみねやま)ですね。意外と知られていないんですけど、山中にある「橡平(とちだいら)サクラ樹林」は国の天然記念物として指定されている名所なんですよ。天然記念物って、普通は一種類を指すことが多いんですけど、ここは樹林一帯が天然記念物になっているんです。見頃はゴールデンウィークあたりで、40種以上のサクラが咲き誇って見応えありますよ。登山前に寄っていただければ大峰山の地図をお渡ししますし、山にちなんだ本も揃えてあります。

 

 

——こちらのお店では大峰山の情報を教えていただけるんですね。

板垣さん:山登りの後に立ち寄る方も多くて、一杯やりながら大峰山談義に花が咲きます(笑)

 

——そんな板垣さんがおそば屋さんをはじめたのには、どんないきさつがあったんですか?

板垣さん:私は電機メーカーに30年間勤め続けてきたんですけど、子どもたちが親離れしたタイミングでもあったので、第二の人生として45歳でそば屋をはじめました。

 

 

——どうしておそば屋さんを?

板垣さん:山の麓にはだいたいそば屋さんがあるじゃないですか。私も山登りに行くたびにそばを食べていたので、自分でもそんなそば屋をやってみたいと思っていたんです。

 

——なるほど。そば打ちはどこで勉強されたんですか?

板垣さん:そば打ち道場で基本だけ教わって、あとは独学で技術を深めていきました。いろいろな会合に参加することで交流するようになったおそば屋さんからも、そばの知識や技術を教わりましたね。東京の名だたるおそば屋さんともお付き合いさせていただいたおかげで、「ビッグコミック」掲載の「そばもん」という漫画に実名で登場させていただきました(笑)

 

血管が若返り、病気になりにくくなるダッタンそば。

——おおっ、本当だ! さて、ではおそばについても詳しく教えてください。

板垣さん:「身体にいいものを食べていただきたい」というこだわりがあるので、普通のそばの他にダッタンそばもお出ししています。

 

——ダッタンそばって、普通のおそばとはどんなところが違うんでしょう?

板垣さん:普通のそばは「甘そば」、ダッタンそばは「苦そば」といって少し苦味があるんですけど、体調がいいとあまり苦味を感じないんです。二日酔いだと苦く感じるけどね(笑)。あと食感ももっちりしていますね。いちばん大きな違いは、ルチンの量です。

 

 

——ルチンっておそばに入っている成分ですよね。

板垣さん:ポリフェノールの一種で、血管の強化作用や抗酸化作用があるので、血管が若返える効果があるんですよ。成人病の人がいない中国の部落を学者が調査したところ、料理にダッタンそばの粉を使っていたそうです。成分を調べてみると、普通のそばの約120倍もルチンが含まれていることがわかったんです。

 

——ルチンには血管がサラサラになる効果があるって聞いたことがあります。

板垣さん:免疫力がアップして、病気になりにくい身体になります。花粉症が治ったという話も聞きますね。うちでも多くの方が手軽にルチンを摂れるよう、ダッタンそばの粉を「ルチン君」っていう商品にして販売しているんです。

 

——花粉症に悩む人は多いですからね。ダッタンそばだけじゃなく、普通のおそばとの合い盛りが楽しめるのは嬉しいですね。そばつゆはどんなふうに作っているんでしょうか。

板垣さん:化学調味料は使わずに、江戸後期の作り方で手間ひまかけて作っています。ひとつの食材だけで作ると知らずと飽きてしまうので、産地の違う4種類の昆布と3種類の鰹節、アゴの煮干し、しいたけを使って作ります。産地が違うとうま味も違ってくるんですよ。しっかりしたうま味があっても、塩分は少なめなんです。

 

 

——いただいてみると、味が薄い感じはまったくないですね。これでも塩分が少ないっていうのは驚きです。

板垣さん:このそばつゆを使ってすき焼き鍋や豚しゃぶのポン酢も作っていて、それも塩分少なめなのに美味しいんです。

 

——ずいぶんメニューが多いように感じますけど、オススメを教えてください。

板垣さん:他のお店ではあまり食べられないメニューとしては、イワナや高麗人参の天ぷらがあります。山の恵みを味わっていただけたらと思いますね。あとダッタンそばを使った「そばいなり」や「そば湯ゼリー」なんかも食べてみてほしいです。

 

 

——これから春から夏に向けて、山登りのシーズンを迎えますね。

板垣さん:カタクリをはじめとした植物も咲きはじめるので、山登りシーズンは3月からはじまっています。ゴールデンウィークには「橡平サクラ樹林」のサクラも見頃を迎えるので、ぜひ大峰山にも登ってみてください。その行き帰りに立ち寄っていただいて、そばや天ぷらで一杯やりながら山のお話ができたら嬉しいですね。

 

 

 

山岳手打ちそば 一寿

新発田市下小中1024-15

0254-33-3480

11:30-14:00/18:00-21:30

月火曜休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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