個性的な結婚式を提案する、フリーのウエディングプランナー池倫子。
その他
2019.08.02
「結婚作家」の池さんに、結婚について聞く。
結婚するカップルが減っている今の日本。その中にあって、「結婚作家」として結婚の素晴らしさを伝え、夢ある個性的な結婚式を提案している女性がいます。フリーのウエディングプランナー「Art Bridal Creation(アートブライダルクリエイション)」の池倫子さん。いままで1,500組以上の結婚式に携わり、多くのカップルの幸せの瞬間に立ち会ってきました。そんな池さんに、「オリジナルウエディング」やご自身の結婚観についてお聞きしました。

ART Bridal Creation
池倫子 Tomoko Ike
1975年新潟市出身。様々なアルバイトを経験後、プライベートスクールにてブライダルを学び、東京の結婚式場で花嫁介添えの職につく。2005年に地元新潟でフリーランスのウエディングプランナーとなり「Art Bridal Creation」を開業。2013年より「結婚作家」として、結婚をテーマにしたセミナーなどを行っている。オフの日は海に行って本を読んだりしながら、のんびり過ごしている。ホテルイタリア軒チーフウエディング顧問。
個性あふれる結婚式を実現するウエディングプランナー。
——今日はよろしくお願いします。まず最初に「ウエディングプランナー」という仕事について教えてください。
池さん:ウエディングプランナーというのは、ひとことでいうと結婚式のトータルプロデュースをする仕事です。新郎新婦の要望を聞いて、会場選びからはじまり、衣装、装飾、進行、引き出物の手配代行から挙式当日の運営まで行います。
——池さんはフリーランスでお仕事されているんですよね?
池さん:はい。2005年に「Art Bridal Creation」を立ち上げて、フリーのウエディングプランナーをやっています。毎回、新郎新婦の要望に合わせて必要なスタッフを集めてチームを作ります。たとえば衣装、花屋、ヘアメイク、音響、MC、調理サービス、写真撮影、映像撮影、演出(バルーンアーティスト、花火など)といったスタッフですね。チームワークが取れてバッチリと息が合い、お客さんによろこんでもらえる結婚式ができたときは、とても心地よい達成感があります。
——ウエディングプランナーをやっていて大変なことはありますか?
池さん:15年くらい前までは結婚式のパターンがだいたい決まっていたんですよ。新郎新婦もそのパターンに沿って結婚式をやっていたんです。ところが最近は、「オリジナルウエディング」という言葉があるように、人とは違った、自分たちのやりたい結婚式をあげる風潮に変わってきました。結婚式の形もどんどん多様化してきてるんですね。それに対応するためには、常に最新情報を仕入れなければならないし、自分でも新しいものを発想して、提案していかなければならないんです。これが結構大変ですね。
——ちなみに池さんの元にはどんな結婚式の依頼がくるんでしょうか?
池さん:そうですねぇ。結婚式場やホテルを使わない結婚式の依頼が多いかな(笑)。結婚式場やホテルでやるときは専属のプランナーがいますので、それ以外の場所で挙げる結婚式の相談をされますね。たとえば、農家の大きな庭を使った結婚式とか。「りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館」のコンサートホールを使った2,000人参加の結婚式もやりました。三条市にある「スノーピークキャンプ場」や、長岡市の「アオーレ長岡」などでもやったことがありますよ。

事務所お披露目イベントとして開催したのは、ランジェリーショー?
——池さんはどんな理由でブライダルと関わることになったんですか?
池さん:高校卒業後に上京してからずっとフリーターをやっていたんです。舞台照明、生花店、飲食店、アパレル業など様々な仕事を経験しました。でも、フリーターとして生活していくことに「このままでいいのかな…」っていう漠然とした不安を感じるようになってきたんですね。それで、いままでやってきたことを全部活かせる仕事がないかって考えてみたら、ブライダルの仕事だったんです(笑)
——ブライダルの世界はどのように勉強されたんですか?
池さん:まずは「オフィースマリアージュプライベートスクール」というスクールでブライダルを学びました。当時はまだウエディングプランナーという仕事の知名度は低くて、今のように専門学校があるわけでもなかったんですね。その中で、安部トシ子先生が開いたスクールを選んだんです。安部先生というのは、日本で最初に人前結婚式をプロデュースした方なんですよ。そのスクールで、ブライダル用語、進行表の作り方、立ち居振る舞い、ウエディングドレスの扱い方、トラブルへの対処法など、ブライダルに関する様々なことを学びました。ただ、当時の私は茶髪にミニスカという格好でチャラチャラしていたので、よく怒られてましたね(笑)。先日、先生にお会いしたときに「すぐやめると思っていた子が、ずっとウエディングプランナーを続けているのでびっくり」って言われちゃいました(笑)
——スクールを卒業したあと、すぐにウエディングプランナーになったんですか?
池さん:東京の表参道にある結婚式場で花嫁介添え(アテンダー)をやりました。結婚式当日に、ずっと花嫁に付き添ってお世話をする仕事です。少し前までは、花嫁さんが割と雑な扱いをされることも多かったんです。でも私は花嫁さんに少しでも気持ちよく、晴れの結婚式を過ごしてもらいたいって思ってお世話していました。その後、新潟に帰ってきまして、2005年にフリーのウエディングプランナーとして「Art Bridal Creation」を立ち上げたんです。起業したばかりの頃、営業ツールは名刺しかなくて、たいして人脈もない状態でした。そこで、お披露目イベントとして「ウエディングランジェリーショー」を開催しました。
——お披露目でランジェリーショーをやったんですか(笑)
池さん:はい(笑)。当時はウエディング用の下着ってかわいいものがなかったんですね。そこで、おしゃれなウエディング用の下着を提案しようと、古町のパーティースペースを会場にして、知り合いのポールダンサーたちにモデルをやってもらったんです。手売りチケットだったけど200人もお客さんが集まってくれました。その後、SNSなどを使いながら少しずつ人脈が増えていき、仕事も軌道に乗っていきました。2013年からは「結婚作家」としても活動をしています。

「結婚作家」として結婚のすばらしさを伝える。
——「結婚作家」というのはどんな活動なんでしょうか?
池さん:当たり前の話なんですけど、ウエディングプランナーっていう仕事は結婚式を挙げる人がいないと成り立たないんです。でも、最近は結婚しない人もたくさんいますよね。そこで、「結婚を作り上げる」活動をしていこうと思い、「結婚作家」と名乗るようにしたんです。「結婚っていいな」と思ってもらえるような環境づくりをするため、セミナーをはじめ、ラジオやコラムなどで「結婚」を題材として、いろいろ発信しています。最近では小中学校で結婚式の説明をしたり、高校で結婚についてのディスカッションをしたりして、「結婚のよさ」を知ってもらう活動に力を入れています。
——「結婚作家」として、結婚に対してどのように考えていますか?
池さん:「結婚=日常」ではないかと思ってます。1人が2人になるだけで、やっていることは日常生活なんですね。日常にはいいときも悪いときもあって、けんかや争いもある一方、一緒に笑ったり感動したりもできる。大切なのは日常を共感できる相手がいることだと思います。もうひとつは家族が増えるということです。子どもが生まれればもちろんですが、結婚するだけで相手の家族や親戚が自分の身内になる。結婚することで、結婚相手以外にも出会える人がたくさんいるんです。
——結婚したい人へのアドバイスをいただけますか?
池さん:お互いの日常生活を理解し合うということが大切なんじゃないでしょうか? お金の使い方や生活の仕方など、相手の価値観に合わせられるかどうか。そういう意味でも交際段階では気負うことなく、だらしない部分もすべて見せておいた方がいいと思います。ちなみに私が見てきた中で、結婚するカップルの平均交際期間は2〜3年が一番多いんですよ。

佐渡で地元密着型ウエディングをプランニングしたい。
——将来の展望などあったら教えてください。
池さん:佐渡に移住したいんですよ(笑)
——えっ、移住ですか? それはまたどうして?
池さん:物件も探しはじめてます。佐渡のカップルって、新潟市までわざわざ来て結婚式を挙げる人が圧倒的に多いんです。でも私は、結婚式は地元でやるべきだと思います。生活の場に根ざすことで地域活性化にもつながると思うんですね。そういう意味で地域といっしょに作る結婚式をプロデュースしたくて、佐渡に住んでウエディングプランナーをやってみたいと思ってます。

アルバイトでの様々な経験を生かしブライダル業界に飛び込み、フリーのブライダルプランナーとして活躍する池さん。新郎新婦の夢にしっかりと耳を傾け、個性的な「オリジナルウエディング」を実現し続けています。最近ではセミナー、ラジオ、コラムなどを通して結婚の素晴らしさを伝える活動も。今後も「結婚」の魅力を世の中に広め、ぜひ思い出に残る結婚式のプロデュースを続けてください。
Art Bridal Creation
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