まだまだ寒い日が続きますね。そんなときに飲むあったかいスープやお茶って、身体だけじゃなくて心もあったかくなるような気がしませんか? 昨年オープンした「汁べえ(じゅうべえ)」は、そんな「汁物」をメインにした定食の専門店なんです。今回は店長の植木さんから、お店のこだわりについてお話を聞いてきました。
汁べえ
植木 千夏 Chinatsu Ueki
1987年三条市生まれ。地元の美容院で働いた後、新潟市に移住していろいろな仕事を経験する。結婚してからは家事や育児に専念し、その後は営業やスーパーの仕事を経てご主人が経営する居酒屋「MAMESANO(マメサノ)」を手伝いはじめる。2021年にご主人と「汁べえ」をオープンし、店長としてお店を運営している。
——植木さんはご主人が居酒屋さんを経営されているんですよね?
植木さん:実はこの上にある「MAMESANO」っていう居酒屋をやっているんです。主人は以前、新潟駅前や古町で働いていたんですが、子育てしやすい環境でお店をはじめたいということで、この場所に居酒屋をオープンすることにしたんですよ。私も一番下の子どもの手が離れるようになってからは、主人のやっている居酒屋を手伝ってきました。今は居酒屋の隣に住居があるので、子どもたちに目が届く場所で安心して働くことができています。
——居酒屋とは別に「汁べえ」をはじめたのは、どんないきさつがあったんですか?
植木さん:ずっと現代人のご飯離れや味噌汁離れが気になっていたんです。あと、ひとりで食事する人も増えているので、そういう人たちにもっとしっかりした食事を摂ってほしいという気持ちもありました。
——それで定食専門店を?
植木さん:以前は地元に根付いた老舗の定食屋さんや食堂がたくさんあったんですけど、次々に閉店してしまって、ご飯や味噌汁をきちんと食べられる環境が少なくなっていると思ったんです。だから居酒屋の「MAMESANO」でランチをやっていたんですが、もっと入りやすい環境で提供していこうということで「汁べえ」をオープンしました。
——新たな定食屋さんとして地元に根付くといいですね。
植木さん:そうなってくれたら嬉しいです。そのためにも、お客様に満足していただけるようなお店作りをしていきたいですね。
——「汁べえ」ではどんな定食が食べられるのでしょうか。
植木さん:「汁べえ」という店名の通り、汁物をメインにした定食をお出ししています。「豚汁」と「もつ汁」の2種類から選んでいただくスタイルで、そのほかに「カレーライス」もご用意しています。
——「豚汁」といえば汁物の代表ですもんね。
植木さん:うちの「豚汁」には牛乳が入っていて、こってりしたシチューみたいな食感なんですよ。そのうえ豚肉はもちろん、ジャガイモやコンニャクなど具材がたっぷり入っているので、ボリュームにも自信があります。
——ジャガイモはほとんど丸ごと入ってますね(笑)。確かにこってりした食感ですけど、「もつ汁」も同じような感じですか?
植木さん:いえ、「もつ汁」は「豚汁」と違いを出すため、逆にあっさりと仕上げました。「豚汁」は豚、「もつ汁」は牛、「カレーライス」には鶏を使って作っていて、苦手なものがある人でも、どれかは食べられるように工夫をしています。
——なるほど、いろいろ考えて作られているんですね。他にもこだわっていることってあるんですか?
植木さん:「ご飯や味噌汁を摂って、しっかり食事をしてほしい」っていう思いではじめた店なので、栄養のバランスには気をつけています。だからご飯と汁物以外にも、小鉢料理をできるだけお付けしているんですよね。
——たしかに小鉢も多いですね。
植木さん:あと産地がはっきりした、安心して食べられる食材を使うようにしています。おかげさまで人とのつながりには恵まれていますので、いい食材を安く手に入れることができているんです。いろんな人たちに助けられながら、今までやってくることができていると感謝しています。
——商売する上で人とのつながりって大事ですよね。ところで、今後メニューを増やす予定はあるんでしょうか。
植木さん:3月から新しく汁物に「肉吸い」を増やす予定です。関西風肉うどんの汁だけのものだと思ってもらえると、わかりやすいかもしれませんね。
——料理のこと以外では、どんな店にしようと心掛けていますか?
植木さん:人とのつながりを大切にした、アットホームなお店にしたいですね。最近は地元の方々からも応援していただいて、常連のお客様も増えてきています。居酒屋の方の話になるんですけど、常連のお客様が「しょっちゅう来られるように」って、わざわざ近所に引っ越して来てくださったんですよ。そういうつながりが本当にうれしいですよね。
——そこまで惚れ込んでもらえるのって、すごいですね(笑)
植木さん:ありがたいですよね。あと子どもには自分たちが働く姿を見せていきたいと思っています。いつも子どもの目を感じながら仕事をしているので、いい加減に手を抜くような仕事はできないし、少しでも人の役に立つ仕事をしていきたいと思っているんです。私たちにとって仕事というのは、子どもたちへの教育でもあるんです。
——お子さんたちは親の背中を見ながら学んでいるわけですね。これからは、どんなふうにお店をやっていきたいと思っていますか?
植木さん:これからは、定年退職した後のお父さんやお母さんにも「汁べえ」で働いてもらえたらいいなって思っています。年齢や経験を重ねた人が働いてくれることで、よりアットホームな雰囲気のお店になると思うし、地域の高齢者に働ける場を提供できたら嬉しいですね。これからも汁物みたいに、人の気持ちをほっこり和ませるようなお店にしていきたいと思っています。
汁べえ
新潟市東区石山5-1-28 渡辺ビル
025-385-6140
10:30-15:00
日曜休