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健康な鶏が生んだ、安心安全な卵やスイーツを販売する「鎌田養鶏 たまご畑」。

鳥インフルエンザの感染拡大による卵不足が話題になるなか、鶏の健康に気を使って安心安全な卵を生産しているのが刈羽村にある「鎌田養鶏(かまたようけい)」です。その直販所である「たまご畑」では、新鮮な卵のほか、卵を使ったスイーツも販売されていて、多くのお客さんで賑わっています。今回は代表の立川さんを訪ねて、養鶏やスイーツのこだわりを聞いてきました。

 

 

鎌田養鶏株式会社

立川 正好 Masayoshi Tachikawa

1947年見附市生まれ。家業の材木店で働いた後、1969年から兄と共に養鶏業をはじめ、1976年に独立して「鎌田養鶏株式会社」を創業。絵画や骨董品の鑑賞、収集が趣味。

 

飼料や環境にこだわり、健康な鶏を飼育する。

——立川さんはいつ頃から養鶏業に携わってこられたんですか?

立川さん:学校を出てすぐに親のやっていた材木店の手伝いをはじめたんです。だけど22歳のとき、兄と一緒に養鶏業をはじめることになりました。

 

——養鶏業をはじめたきっかけって、なんだったんでしょうか。

立川さん:親が趣味で鶏を飼っていたんですが、あんまりたくさん飼っていたので、生んだ卵を全部は食べられなかったんです。それで町の商店に卸していたんですけど、当時は卵が高価でいい商売になったものですから、本格的な事業として養鶏業をはじめました。材木業をやっていたこともあって、鶏舎はすべて自分たちで建てることができたんです。最初は兄と一緒にやっていましたが、1976年に独立して「鎌田養鶏株式会社」を立ち上げました。

 

——鶏を飼育する際に気をつけていることってありますか?

立川さん:当社のブランド「養生卵」は、まず飼料にこだわっています。ビタミンを強化した当社指定配合の餌を与えることで、一般的な卵と比べてビタミンEが約12倍、ビタミンDが約2倍の卵が生産されます。栄養価が高いから殻が丈夫で割れにくくて、カゴに入れて販売することもできるんです。

 

——健康な鶏だから、生む卵も健康なんでしょうね。

立川さん:それこそが当社の養鶏理念でもあるんですよ。そのため「アニマルウェルフェア」に基づいた飼育方法を取り入れています。

 

 

——「アニマルウェルフェア」ってなんですか?

立川さん:ヨーロッパで生まれた考え方で、「社団法人 畜産技術協会」では動物の「快適性に配慮した家畜の飼育管理」と定義されているものです。これに則ってストレスを与えない快適な環境で鶏を飼育することで、健康で安全な品質のいい卵を生産しています。

 

——「快適な環境」って、具体的にはどんな環境なんでしょうか。

立川さん:日本で初めて海外から「アニマルウェルフェア」対応の鶏舎を導入しました。カーテン調整で外気や太陽光を取り入れることができて、鶏の習性に合わせた設備も整えています。特に気温には気をつけていて、夏場に鶏舎の温度が28度を超えるとクーリングシステムが作動して、鶏にとって快適な温度を保ち続けているんです。

 

——至れり尽くせりですね(笑)

立川さん:ケージを導入する際は3段になったものしかないと言われたんですが、それだといちばん上の段が見えなくて、鶏の健康チェックが難しいんです。ですから特注で2段のケージを作ってもらうことになりました。そうすることで、容易に目視で鶏の健康チェックをすることができて、病気の早期発見や予防につながるんです。

 

 

——でも3段のところが2段になってしまうと飼育できる鶏の数が減ってしまって、生産性は下がってしまいますよね。

立川さん:生産効率は下がってしまいますが、安全で健康な卵を消費者の皆さまにお届けしたいと思っています。他にも試してみて、日本や当農場に合わない飼育方法は改良しています。日本では欧米とは違って生で卵を食べる機会もあるので、衛生面にはより慎重にならなければならないんです。

 

——そう聞くと、安心して卵を食べることができます。

立川さん:新しい施設に鶏を移すと、ストレスから卵の生産量が落ちてしまうんです。だから一般的には鶏も新しく入れ替えるんですが、うちはそれまで飼育していた鶏を、そのまま新しい施設に移したんです。すると生産量が落ちるどころか、わずかに上がっていたんですよ。そのことからも、現在の飼育環境が理にかなったものだということが証明されましたね。

 

——素晴らしい発見ですね。

立川さん:「社団法人 新潟県畜産協会」から「クリーンエッグ生産農場」の認定を受ける他、「公益社団法人 中央畜産会」の審査を経て「農場HACCP認証農場 鶏(採卵)」になりました。今後も安心、安全な鶏卵の生産に取り組んでいきたいですね。

 

多くの人々が立ち寄って楽しめる、直販所。

——直販所の「たまご畑」をはじめたいきさつを教えてください。

立川さん:中越沖地震で自宅が崩壊してしまったので、新しく自宅を建てるために土地を買ったんです。ところがあまりに素晴らしいロケーションだったので、ここに直販所を作ればお客様も喜んでくださるのではないかと思って、自宅は後回しにして直販所を作りました(笑)。店内の窓側に飲食スペースがあるんですけど、屋外にテラス席も作りはじめたところなんです。ドッグランもございますので、ペットと一緒に来店してくださるお客様も多いんですよ。

 

 

——晴れた日は気持ちよくスイーツを味わえますね。ところで、卵はカゴに入れたまま売っているんですか?

立川さん:はい。カゴに入れて販売するのは、日本で最初にうちがやったんじゃないでしょうか。カゴはリユースしていただいて、また卵を買いにきてくださったときにもお使いいただけるんです。

 

 

——卵以外にもいろいろなものが並んでいますけど、やはりスイーツが目につきますね。

立川さん:最初は卵を使ったシュークリームからはじまって、どんどん種類が増えていきました。どのスイーツも、鮮度のいい卵を新鮮なうちに加工することにこだわっています。あと、見た目よりも中身の質にこだわって作るようにしているんです。

 

——どのスイーツがオススメでしょうか。

立川さん:一番人気は「濃厚たまごプリン」ですね。「養生卵」の濃厚な味わいをお楽しみいただけます。「たまごサブレ」は卵をたっぷり使いたいと思ったものの、卵が多過ぎるとポロポロと崩れやすくなってしまうので、崩れないギリギリのラインまで使っています。「瓶パフェ」は、「たまごパフェ」の他に「砂丘桃パフェ」をご用意しております。「砂丘桃パフェ」は地元の名物「砂丘桃」を原料に使っていて、甘酸っぱくフルーティーな味をお楽しみいただけます。スイーツを扱うようになってからは、若いお客様が増えましたね。

 

 

——ソフトクリームも美味しそうですね。

立川さん:大型バイクで乗り付けた30〜40人ものバイカーさんたちが、丘の下の景色を眺めながらソフトクリームを食べている姿や、年配のご夫婦が車のなかで仲良く食べている姿を見ると、微笑ましくなりますね(笑)

 

——ドライブやツーリングの休憩スポットのようにもなっているんですね。最後に、今後の展開があったら聞かせてください。

立川さん:これからも健康で品質のよい卵にこだわり続けて、安心安全な卵を皆様にお届けしていきたいと思っています。さらには、もっと栄養価を高めた卵の開発も行っていきたいですね。

 

 

 

たまご畑 刈羽直売所

刈羽村大字刈羽字西浦4273-3

0257-45-2476

9:00-19:00(日曜は17:00まで)

元旦休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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