最近、インスタで話題の#三条フルーツサンド。果物がそのままドカンと入ったインパクト大の画像に、なんだこれは!とおったまげます。このフルーツサンドを提供しているのは、三条市の商店街(三条下田線)にある1903年創業の老舗果物店「カネギフルーツ」。今回、このフルーツサンドを考案した5代目、信賀康宏さんにお話を聞いてきました。
カネギフルーツ
信賀 康宏 Shinga Yasuhiro
1984年三条市生まれ。100年以上の歴史をもつ「カネギフルーツ」を引き継いだ5代目。高校時代は野球に情熱を燃やす。東京の「千疋屋」でフルーツパーラーとして修行。果物の本当の美味しさと価値を広めるために、手頃な価格で高級フルーツを楽しめるフルーツサンドやケーキなどを企画中。
ーー康宏さんで5代目ということですが、「カネギフルーツ」さんを継ぐことは、最初から決めていたんでしょうか。それとも何かキッカケがあったんですか?
康宏さん:はじめはこのお店を継ぐ気持ちはなかったんですけどね。でも、長男なのでゆくゆくは自分が継がないといけないと思っていて、そんな話を親父にしたらすごく喜んでくれたので、それで店を手伝おうと決めたのがキッカケです。
ーー若いうちにすぐにお店に入ったんですか?
康宏さん:いえ、「まずは店に入る前に修行をしてこい」と言われて、果物の販売では有名な東京の「千疋屋」さんに色々と学びに行きました。
ーーおお、超高級な果物屋さんですよね。そこでは何を学ばれたのですか?
康宏さん:日本で一番有名な果物専門店だったので、とにかくゴリゴリと学ばせてもらいましたね。お陰で、特にものを見る目が鍛えられたと思います。
ーー果物屋さんの家に生まれた康宏さんがそう感じるということは、果物とひとくちに言っても、かなりものの違いがあるってことですね。
康宏さん:もちろん私は果物に囲まれて育った人間でしたけど、「千疋屋」はもう、超一流のものしか集まらないようなお店だったので。例えば、1000個に1個しか出ないマスクメロンとか。
ーー1000個に1個…もはや幻ですね(笑)。果物には何か選ぶ基準があるんですか?
康宏さん:日本では果物に対して厳しい基準の等級がありますね。でも、それだけの選ばれる理由があるんですよ。例えばそのマスクメロンは静岡産なんですけど「雪」「白」「山」「富士」で等級がわかれていて、その「富士」っていうのが、1000個に1個出るか出ないかというランクなんです。そもそも静岡産のマスクメロンは品質のために1つの木に1個しか作らないんですね。美味しい理由がちゃんとあるんです。
ーー1つの木で1個しか作らないって、すごいですね。(店内を見て)あっ!ここにも静岡産のメロンがありますね。
康宏さん:ありますね(笑)。でもこれは「白」という等級の静岡産メロンになるので、珍しさで言えば普通です。
ーーこのお店には珍しい果物とかもありそうですね。
康宏さん:ありますよ(笑)。日本でいちばん宝石に近い果実って言われている「ルビーロマン」ってブドウ、一房2万5千円ってのがこの前まであったんですけど…。もう、売れてしまったんですけどね。
ーーひ、ひと房、2万5千円…それが売れちゃうんですか…。
康宏さん:全然、売れますよ(笑)。
ーー高いブドウって、シャインマスカットが最髙だと思ってました…。
康宏さん:シャインですか? ちょっと待って下さいね。(店の奥へ行って、戻ってきて)これ、サンプル用なんですけど岡山産の「晴王(はれおう)」っていうシャインマスカット。一房6,000円です。
ーーうわぉ!「実」が大きくてブリンブリンですね!
康宏さん:そうですね。他のと比べると実が大きいですね。うちではシャインマスカットも3種類くらい置いています。他にも季節ごとに、一粒が手のひらサイズのイチゴだったり、他では手に入らない貴重な果物を仕入れさせていただいています。最近では全国から問合せが来て予約待ち状態の「皮も食べれる越後バナナ」もウチが代理店となって販売していますよ。
ーーまるで、新潟の千疋屋さんみたいですね。
康宏さん:昔、親父が、千疋屋と引き合いに「越後のマンビキ屋」と冗談でいってましたね(笑)。でも、昔も質の高い果物を仕入れてましたけど、今はそれよりも質の高い果物を沢山、仕入れていますよ。
ーーところで、皆さん果物の価値を知って買って行かれるんですか?
康宏さん:最初は違いが分からないって方がほとんどですよ(笑)。「なんでこんな高いの?」って。だから果物の違いを知ってもらうために、ほぼ原価の500円とかで、皆さんが果物の違いを気軽に感じてもらえるフルーツサンドを販売してます。
ーー出た、フルーツサンド! ってか、ほぼ原価なんですね。すごい。ということは、これに使われているフルーツは貴重な果物ばかりってことですよね。
康宏さん:そうですね。定番もありますけど、皆さんに果物の違いを知って欲しいという気持ちでやっていますので、買うと何千円するものも何個かに分けてフルーツサンドにすることで手軽に楽しんでもらえます。それをキッカケにして、「この前、美味しかったので買いにきました~」って方がすごく多いですね。
ーーなるほど。それはいいシステムですね。手軽に食べられる感じもありがたいです。
康宏さん:果物って、貴重だからとか珍しいから高いってだけじゃなくて、そこには美味しい理由があるので、まずは食べていただかないことには気づいてもらえないと思ってるんです。より美味しく食べていただくために、パンも毎朝焼きたてのパンを使ってますし、クリームも果物の味を邪魔しないあっさりとした特製クリームを使って、こだわって作りました。食べてもらえれば、その違いがすごく分かると思うので、一度試してもらえると嬉しいです。
ーーだんだん、フルーツサンドを拝みたい気持になってきましたよ(笑)
康宏さん:ありがとうございます(笑)。その他にも、フルーツを沢山使ったケーキも予約制で受け付けています。こちらもザ・フルーツという感じで楽しんでもらえるので、多くの方から通年を通してご予約をいただいています。
ーーどんな気持ちでお店をやっているか、最後に教えて下さい。
康宏さん:そうですね。やはり、果物の価値を広めたい、というのが一番です。そのためには食べていただくことが一番だと思っているので、こうやって気軽に楽しんでもらえる機会を増やせたらと思っています。この前もお客さんから「宮崎のマンゴーのサンドを買って、本物を買いにきました~」とか、サンドを買ってから果物を調べて来られたお客さんと果物談義をしたり(笑)。そういうふうに、果物の価値に気づいてもらえることがすごく嬉しいです。
「果物の違い」それを知ってもらうために、高級フルーツをお手頃価格で提供してくれる「カネギフルーツ」のフルーツサンド。平日は200個、休日は600個作っているそうですが、毎日あっという間に完売。取材特権で(笑)試食をさせてもらったら、想像以上のフルーツの果汁と甘みにビックリ仰天でした!めちゃくちゃ美味しかったです!季節の旬を大切にしているので、タイミングが良ければ、その時期の最髙級のフルーツをサンドで楽しめるとのこと。皆さんもぜひ「カネギフルーツ」で見た目ビックリ、食べてビックリのフルーツサンドを味わってみて下さい。
カネギフルーツ
〒955-0061 新潟県 三条市林町1-3-23
TEL 0256-32-0772