僕らの工場。#10 「川上工業株式会社」の白熱球

日本の白熱球は、この会社なくしては作れない!?

10回目を迎える「僕らの工場」連載、今回は新潟市南区に本社を構える「川上工業株式会社」さんにお邪魔してきました。この工場は白熱球の製造をメインとして、創業からもうすぐ80年を迎えます。現在では胎内、那須、西会津と本社工場を入れて4つの工場で白熱電球、ハロゲンランプを中心に製造。驚きなのは、白熱電球の電気を光らせる「ステム」と呼ばれる部品の国内製造シェアが、なんと100%! つまり、国内で作られた白熱球は必ずこの川上工業さんが関わっているという…。

 

川上工業株式会社

田辺 洋一 Tanabe Youichi

20歳のときに川上工業株式会社に入社。生産管理部に配属され、学生時代に学んだブログラミングの知識を生かして生産管理のシステム開発を実現し在庫管理環境を飛躍的に改善させる。現在では業務部の部長を務める。

 

プログラミングの知識を生かして会社の管理システムを改善。

ーー今日はよろしくお願いします。まずは田辺さんは川上工業さんとは昔からご縁があったんですよね?

田辺さん:実は私の実家の近くに創業者の会長の家があって。今の社長の妹と私の姉が友達でして…。小さいときによく姉について行って遊びに行っていたんですよね(笑)

 

ーーそれは近い存在だったんですね。

田辺さん:だから祖母や祖父からもよく話は聞いていて。当時は「川上硝子」という会社で、社長の自宅の倉庫で注射の薬品の入物ガラス(アンプル)を作っていたそうです。その後、クリスマスツリーの電球などを手がけて、戦後は自動車用電球や白熱電球の製造へとシフトして、現在の川上工業となったそうです。

 

ーーでは入社される前から身近に感じていたと。

田辺さん:でも、入社前は何を作ってるかは詳しくは分からなくて(笑)入社後に初めて分かったというか…。

 

 

ーー田辺さんはプログラマーを目指していたんですよね? 会社でもプログラミング的なことをやられていたんですか?

田辺さん:いえ、当時はまだWindows95も出ていない時代でしたので、正直プログラミングとかそういう概念がなくて、パソコンではなく手作業で管理するやり方で。生産管理部に配属されましたね。

 

ーー生産管理というのは具体的にどういうお仕事なんでしょうか。

田辺さん:生産管理部では、生産計画を立ててコレを作りなさいね、という指示を出したり、材料仕入、受注、売上管理や在庫管理などを行なっていました。でも正直、在庫管理なんかは管理部が工場内を見て回って在庫状況の確認をしていたので、とても効率的とは言えませんでしたね。実際、発注ミスなんかで在庫ロスになったりで…。

 

ーーこんな大きな工場になれば管理も大変ですよね。田辺さん的にはシステムで解決したいと…?

田辺さん:そうですね。入社当時は若造だったのでとても言えませんでしたが、10年目くらいにやっと提案できた感じです。でも管理システムを導入するのに私だけでは無理だったので、外注の会社さんにフルカスタムで作ってもらわないといけなくて。投資金額も莫大だったので、会社を説得するのがすごく大変でしたね(笑)

 

ーー実際にシステムでどう変わったんですか?

田辺さん:各作業工程で、進捗状況が把握できるシステムを導入したので、ほぼ各部品の在庫状況をデータで一元管理できるようになりました。でも、「パソコンの立ち上げから分からない」とか、「手で書いた方が効率的だ」とか、言う人もいて…。だから導入から半年くらいは大変でしたね。今では在庫ロスがほぼない状況で製造ができているので、当初目標としていた管理の部分ではかなり効率化が図れたと思います。ロスをなくすことで企業としての信用度にも繋がりますので。

 

自動車用電球、二輪、信号球…白熱球のステムの国内シェアは100%!

ーー工場ではどういう電球を作っているんですか?

田辺さん:白熱電球、ハロゲンランプをメインで製造しています。特殊電球も多いですね。特殊電球というのは、鉄道用信号機とかで使う電球になります。

 

ーーへえ~信号の電球も作ってるんですか。電球というと家庭用の電球のイメージしかありませんでした。

田辺さん:家庭用電球も作っていますけど、お客様から依頼をいただいて作るのがそういう自動車用電球、ハロゲンランプ、特殊球が多いです。今はLED化が進んでいますけど、例えば、雪が降る地域の鉄道用信号機なんかは電球の熱が雪を溶かしてくれるので、白熱球の需要があります。今では、大手メーカーさんが白熱球の事業を止めてしまったので、LED以外の電球は、ほぼウチの工場で製造することが多くなりました。なかでも、白熱球のステム(電気を光らせる部品)は100%ウチですね。

 

―― えっ…。シェア100%ってすごいですね…。ということは、国内の次は海外との競争になってきますね。

田辺さん:そうですね。ウチは製造工場になるので、依頼をいただいて製造しているだけになりますが、お得意様の中には海外輸出に力を入れている企業様もいらっしゃいます。でも、海外製だとやっぱり品質が悪いことやロット数の問題もあって。それで国内製造に関してはうちの工場に依頼をいただいている感じです。

 

信頼される技術力を背景に、さらにシェアを拡大中。

ーーやっぱり、技術力なんですね。ちなみに電球ってどういう仕組みなんですか?

田辺さん:白熱球の構造は、「フィラメント(グルグルってなっている部分)」と「ステム」と「ガラス球」と「口金」でできているんですけど、ガラス球の中にガスを入れることで、初めて電気を流したとき光る仕組みになっていますね。製造技術でいうと、商品の中には熔接を手作業でやるものもあって、そういったものは機械化が進んでいる今でも手作業でやるしかないので、技術力が求められますね。

 

ーー勉強になります。最後になりますが、今後の目標みたいなことはありますか?

田辺さん:そうですね。今、会社として特殊電球ができる新たな工場が増えましたので、その分野のシェアが拡大する形になります。工場も本社工場含めて4工場になりましたので、個人的には管理体制の統一化と共有の管理を進めて、より効率的な環境つくりを目指したいと思っています。

 

 

 

川上工業株式会社

新潟市南区北田中780-7

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