Things

新発田の名勝や名産物の魅力をアピールする、清水園の「米蔵ココロ」。

新発田市にある「清水園(しみずえん)」は新発田藩溝口候の下屋敷で、多くの人が観光に訪れる国指定名勝。見事な回遊式の庭園は見る人の心を癒してくれます。そんな清水園の中に、100年以上の歴史をもつ米蔵を利用した飲食店があるんです。その名も「米蔵ココロ」。管理栄養士でシェフの笠原さんにいろいろとお話を聞いてきました。

 

 

米蔵ココロ

笠原 恭子 Kyoko Kasahara

1975年五泉市生まれ。富山の短大で栄養士の資格を取得後、新潟の短大でさらに栄養学を学ぶ。長い間調理師専門学校の講師を勤め、新潟駅前で「キッチンココロ」を始める。2017年に新発田市の清水園に「米蔵ココロ」を移転オープン。お笑いコンビ・千鳥の大ファン。

 

国指定名勝「清水園」の中で飲食店を始めたわけ。

——「清水園」って国指定の名勝なんですね。そんな場所で飲食店を始められた、そのいきさつを教えて下さい。

笠原さん:もともと私は新潟市の調理師専門学校で講師をやっていたんですけど、主人が駅前の「キッチンココロ」というお店を引き継ぐことになって、そのお店をやることになったんです。ところが、駅前から場所を移ることになって、それで移転先を探していたんですよ。そんなときに「清水園」の米蔵でやりたいと思いついたんです。

 

——思いついちゃいましたか。どうして清水園を選んだんですか?

笠原さん:私の住まいが近所なので、よく清水園を訪れていて、その度に素敵なところだと思っていたんです。でも同じ新発田の人たちに聞いてみると「清水園に行ったことがない」っていう人が多かったんですよ。せっかくこんないいところが近くにあるのに、もったいないなって思って。それで「清水園」の中に飲食店があれば訪れる人も増えるんじゃないかって思ったので、管理しているところに相談しに行きました。

 

——国指定名勝の建築物ですけど、その中で開業するのって簡単にできることなんですか?

笠原さん:地酒を提供するっていうことには難色を示されましたけど、同じ国指定名勝の中の飲食店でお酒を出しているところもあったので、粘り強く交渉して、ご理解いただけました。

 

 

——こういう観光スポットでの営業って、街でお店をやるのと違って難しかったりするんですか?

笠原さん:観光客の中には、道の駅にある飲食店みたいな感覚で来る方も多いんです。そういうお客様は注文したら料理がさっと出てきて、さっと食べて観光に戻るっていう感覚なんですよね。でも、うちの店はしっかり作ったお料理を楽しんでいただきたいので、提供するのに少しお時間を頂戴するんです。それでクレームをいただくことはありますね。でも、お料理を召し上がっていただくと、皆さま納得していただけます。

 

——観光地のお食事処っていうイメージで見られがちなんですね。ところで、笠原さんが思う「清水園」の魅力ってどんなところですか?

笠原さん:皆さん、池や庭園に目を向けがちですけど、私は苔に注目してほしいんです。これから雪どけして初夏を迎えるまでの時期に、うちのお店の前にも苔がバーっと生えるんです。その緑に、すごい生命のエネルギーを感じるんですよ。知られざるパワースポットだと私は思っています。

 

新発田の名産品を使って、地元をアピールしたい。

——「米蔵ココロ」の料理はどんなことにこだわって作っているんですか?

笠原さん:地元の名産品や食材を使った料理で、新発田をアピールできたらいいなって思っています。

 

——それは例えばどんな名産品を?

笠原さん:「宮村製麩所」で作られた麩やアスパラを、料理やデザートに使っていますね。

 

 

——アスパラはよく聞きますが、麩も新発田の名産品だったんですね。どんなお料理に使われているんですか?

笠原さん:「みやむらの麩カツ丼」は、麩のまわりに越後もち豚を巻きつけてトンカツに見立てたものを、タレカツ丼に仕上げたものです。アスパラとかカボチャとか、その時々の旬の野菜をフライにしてトッピングしているので、季節感も感じていただけます。デザートでは「押し麩のティラミス」があります。ビスケットの代わりに押し固めて平面状になった「押し麩」を使ったティラミスです。

 

 

——へ〜、麩っていろいろな料理に使えるんですね。他に料理にもこだわりがあったら教えてください。

笠原さん:そうですね、食材本来の味を楽しんでいただきたいので、できるだけ味付けをシンプルにするよう心がけています。女性の中にはカロリーを気にする方も多いので、できるだけカロリーを抑えるようにもしていますね。そういうときは栄養士としてのスキルが役に立っています。

 

——シンプルな味付けにこだわった料理にはどんなものがありますか?

笠原さん:「赤穂のカキのビビンバ」でしょうか。キムチチャーハンの上にボイルしたカキが乗っていて、卵黄を混ぜてから食べていただくアツアツ料理です。赤穂のカキ本来の美味しさを味わってほしいので、余計な味付けは一切していません。

 

お客様の声をもっとメニューに反映していきたい。

——これからの展望をお聞かせください。何かやってみたいこととかありますか?

笠原さん:お客様からリクエストをいただくことがあるんですけど、そういう声にはできるだけお応えして、メニューに取り入れていけたらと思っています。あと限定メニューやイベントもやっていきたいと思っていますね。2月23日には赤穂のカキを使ったメニューだけの特別デーを開催しようと思っていますので、カキが好きな方にはぜひお越しいただきたいですね。「カキのビビンバ」はもちろん「カキピザ」「カキのパングラタン」をご用意してお待ちしています(笑)

 

 

地元新発田の誇る名勝「清水園」の魅力を、県外の観光客はもちろん、県内の人たちにも知ってほしいという思いで始めた「米蔵ココロ」。新発田の美味しい野菜や特産物の麩を使った料理、スイーツを楽しみつつ、皆さんもぜひ、笠原さんおすすめの苔からパワーをもらってください!

 

 

米蔵ココロ

新潟県新発田市大栄町7-9-32清水園内

0254-28-7378

11:30-14:30(L.O.14:00)/17:30-22:00(L.O.20:30)

水曜他不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP