猫の雑貨店がはじめたパン屋さん
東区の「くろねこのしっぽ」。

食べる

2026.01.08

text by Kazuaki Yamazaki

「くろねこのしっぽ」というパン屋さんが新しくオープンしたので調べてみたら、アンパンマンや猫の雑貨を扱っている「くろ猫屋」というお店の中にあることがわかりました。どういうことなのか真相を調べに行くと、そこにあったのは雑貨屋さんらしさもパン屋さんらしさもない建物。戸惑いながら足を踏み入れてみると、そこには秘密基地のようなお店! 店長の誾千代(ぎんちよ)さんからお話を聞こうと思いましたが、人間の言葉は話せないようなので、店長代理の櫻井さんからお話を聞いてきました。

Interview

櫻井 潔美

Kiyomi Sakurai(くろ猫屋)

1976年新潟市東区生まれ。情報大学を卒業後、ホームセンターやガソリンスタンド、自動車部品工場、コーヒーショップ、ベーカリーなどで豊富な経験を積み、資格を身につける。2024年に「くろ猫屋」、2025年には同店内に「くろねこのしっぽ」をオープンする。現在は保護猫8匹と暮らしている。

中古雑貨のラインナップが
どうしてアンパンマンなのか?

――外から見るとお店らしさがなくて、まるで秘密基地のようですね(笑)

櫻井さん:実家が自動車部品工場をやっていたので、その作業場を使って昨年から「くろ猫屋」という雑貨店をはじめました。

 

――雑貨店をはじめたいきさつを教えてください。

櫻井さん:最初は引越しするお友達から不要品を引き取って、フリーマーケットサイトで販売していたんです。でも、送料を払うのがもったいないと悩んでいたら、母から「空いている作業場を使って店をやってみれば?」と勧められて。中古雑貨の店をはじめるにあたっては、持っていた古物商の資格が役に立ちましたね(笑)

 

――よくそんな資格を持っていましたね。以前から中古雑貨のお店をやろうと考えていたとか?

櫻井さん:以前から取れる資格は何でも取ってきたんです。

 

――古物商の資格を活かして雑貨店をはじめたのはわかりましたが……どうしてアンパンマンなんですか?

櫻井さん:引き取った不用品のなかにアンパンマンのおもちゃが多かったこともあったし、アンパンマンの人気はいつまでも不動だと思ったんです。大学時代にお店を経営する上で大切なのは、ターゲットを絞ることと店の特徴を出すことだと教わったので、商品をアンパンマンの雑貨やおもちゃに絞りました。

 

――商品を絞るにはアンパンマンが最適だったわけですか。おもちゃって子どもが成長すると遊ばなくなるから、リサイクルにはぴったりのアイテムですよね。

櫻井さん:まだ綺麗だし、ちゃんと動くのにもったいないと思うことが多いですね。たとえ壊れていても修理すれば十分使えるので、「新潟おもちゃ病院」の育成講座を受けてメンテナンスの勉強をしています。クリーニングや動作確認をしっかりやって、安心して買っていただけるよう心掛けているんです。

 

――お客さんの信頼を大切にしているんですね。中古品だと、なかにはお宝も含まれていたりして(笑)

櫻井さん:今では廃番になっている商品もあります。当時あまり売れなかった商品は、中古品も少ないのでレア物としての価値がつくんですよ。コレクション目的のお客様もいるんですけど、子どものためのおもちゃや雑貨だと考えているので、なるべく購入をご遠慮いただいています。

 

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保護した捨て猫が出世して
今では店長になった誾千代。

――にゃんこグッズを扱っているのも、アンパンマンと同じように人気があるからなんですね!

櫻井さん:それは私の趣味です……。

 

――そ、そうだったんですか(笑)

櫻井さん:私は保護猫活動もやっていて、家にも8匹の保護猫がいるんです。そこにいる誾千代(ぎんちよ)も、茨城にいる息子が見つけた捨て猫だったんですよ。赤ちゃんだったので家に残すわけにもいかず、店に連れてきて世話をしていたら、今では店長になってしまいました(笑)。私は下僕として誾千代の下で働いているんです(笑)

 

――まさかの店長さんだったとは(笑)

櫻井さん:誾千代に会いに来てくださるお客様も多いんですよ。ときどきケージから出して私の肩に乗っけていると、お客様が集まってきて撮影会がはじまります(笑)

 

――大人気じゃないですか。ちなみに、にゃんこグッズは中古品じゃないんですね。

櫻井さん:メーカーから直接仕入れをしています。卸業者を通さなかったので、最初はどこにも相手にしてもらえず苦労しましたね。でもメールを送りまくって、ちゃんと店舗営業していることをアピールしていたら、信用を得て取引していただけるようになったんです。にゃんこグッズの店は新潟市にいくつかあるけど、どこの店とも商品はかぶっていないんですよ。

 

――お店をやってみて、難しいと感じることはありますか?

櫻井さん:営業している場所が場所ですから、お店の存在を知っていただくことが難しいですね。オープンの際は告知をバンバンしたんですけど、お客様はひとりもいらっしゃいませんでした。来てくれたのは身内ばっかりだったんです(笑)

 

――それは大変でしたね……。

櫻井さん:でも「くろねこのしっぽ」をオープンしてパンを売るようになってからは、いろいろなメディアに取り上げていただけてお客様も増えましたね。

 

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質や安全に原料にこだわった
楽しんでもらえるパン。

――パンづくりはどこで覚えたんですか?

櫻井さん:リーマンショックの影響で勤めていた会社が週休5日になってしまい、ひまを持て余したので動画配信サイトを見ながらはじめたんです。その会社が倒産してからはコーヒーショップで働いていたんですが、どうしてもパンづくりの仕事をしたくて、通信制の専門学校で製パンを学びながらベーカリーで働きました。

 

――パンづくりのこだわりを聞かせてください。

櫻井さん:小麦粉や牛乳、バターは北海道産を使って、あと小さな子どもでも安心して食べられるように、ハチミツの代わりにメイプルシロップ、白砂糖の代わりにキビ砂糖を使っています。それから酵母も自家製で、イースト菌が少ないのでお腹に優しいんです。

 

――原料にこだわってつくられているんですね。ずいぶんたくさんの種類のパンが並んでいるじゃないですか。

櫻井さん:とにかくお客様に楽しんでいただけるパン屋をやりたかったので、できるだけ種類を豊富にご用意しているんです。

 

――選ぶのも楽しいですね。オススメがあったら教えてほしいです。

櫻井さん:ひとつは「肉球のクリームパン」。卵黄だけを使った、濃厚な自家製カスタードクリームが特徴です。もうひとつは新作の「ロングロングニャンソー」。猫がソーセージをくわえている姿をパンにしました。最初は短いソーセージでつくってみたんですけど、面白くなかったので長いソーセージを使ったんです。家族全員で8種類くらいのソーセージを食べ比べしたら、具合が悪くなってしまいました(笑)

 

――そのパンだけに限らず、ほとんどのパンが猫モチーフになっているんですね(笑)

櫻井さん:ここに並んでいるパンはすべて誾千代店長がつくっているので、普通の丸いパンがつくれなくて猫の形になっちゃうんです(笑)

 

――えっ、本当に猫がつくっているんですか?

櫻井さん:もちろん設定だけの話です(笑)

 

――それを聞いて安心しました(笑)。これからやってみたいことって、あるんでしょうか?

櫻井さん:もともとカフェをやってみたかったので、いつかイートインスペースくらいは設けたいですね。それから、お店を通して保護猫と新しい飼い主をつなげられたら嬉しいです。先日も子猫をほしがっていたお客様と子猫とつなげることができたので、お店をやっていてよかったと思いました(笑)

 

くろねこのしっぽ

新潟市東区松島3-1-17

11:00-17:00(土曜は18:00、祝日は15:00まで)

土日曜、隔週月曜、祝日休(詳しくはInstagramを確認)

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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