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東京で20年腕を磨いた店主が営む、角打ちワインショップ「LUCE」。

長岡駅前すずらん通り商店街にある、角打ちワインショップ「LUCE」。東京で約20年間オーナーシェフの経験を積んだ木戸口さんが、長岡に移住してはじめたお店です。移住のきっかけや長岡での働き方について、木戸口さんにお話を聞きました。

 

LUCE

木戸口 直樹 Naoki Kidoguchi

1978年滋賀県生まれ。東京で飲食業をはじめ、26歳で独立。それから約20年間、都内で飲食店を経営。2022年に奥さまの地元である長岡市へ移住。2023年に角打ちができるワインショップ「LUCE」をオープン。建物の1階では奥さまのヘアサロン「akari」が営業中。

 

26歳でオーナーに。東京都内で構えた、3つのお店。

――木戸口さんは、ずっと東京で飲食業をされていたそうですね。

木戸口さん:大学を卒業してから1年間家業に入ったんですけど、仕事に前向きになれなくて。「やりたいことをやろう」と東京で3年間イタリアンの修業をして、26歳のときに独立しました。

 

――26歳って、けっこう若いオーナーさんだったのでは。

木戸口さん:そう思われていたのかもしれないけど、私はあまり意識していなかったですね。ただ早く自分の店を持ちたかっただけです(笑)

 

――どんなお店をされていたんですか?

木戸口さん:1店舗目は、パスタに特化したお店でした。修業先のパスタが美味しかったんですよ。でも修業期間がそれほど長くないから、それ以上たくさんのことは覚えられない。それでパスタを看板にしたんです。最初は10坪12席のお店で、2店舗目は30席くらいのちょっと大きめのワインバルでした。そこは人員の課題もあって、あまりうまくいかなかったんです。

 

 

――人材の壁があったんですね。

木戸口さん:社員がすぐ辞めてしまうんですよ。今考えると私も尖っていたので、「そりゃ辞めたくなるか」とも思うんですが(苦笑)。ただ30席の広さがある店舗をひとりで切り盛りするには、もう身体が持たなくて。ちょうどワインの美味しさに惹かれはじめた頃だったので、「これからはワインをメインにしたお店にしよう」とソムリエの資格を取得して店舗を移転し、心機一転、3店舗目ではワインバーをはじめたんです。

 

――20年も都内で飲食店を続けることができた秘訣はなんですか?

木戸口さん:1店舗目を手堅く営業できたのがよかったのかもしれないです。家賃はそこまで高くなかったですしね。時代もよかったんですよね。今は飲食の世界に飛び込もうって若者は少ないでしょうけど、あの当時は「パスタが美味しいから、ここで勉強させてください」ってお客さんもいたんですよ。

 

50歳までに東京を出る。妻との出会いで、長岡へ。

――長岡に移って来られました。新潟に来ることに迷いはありませんでした?

木戸口さん:私から「長岡に行こうよ」って言ったんです。私は飲食業、妻は美容師なので、ふたりの仕事を考えると、何もかも高い東京よりも、固定費を安く済ませられる長岡の方が、断然商売がうまくいきそうだと思ったんです。

 

――ちょっと「東京で疲れちゃったな」って気持ちもありました?

木戸口さん:疲れたっていうか、「意味ないな」と思って。東京は、経験を積むために若いときに過ごす場所じゃないかな。もしくは飲食店だったら、多店舗展開に成功した人だけが生き残れる場所っていうか。私の場合は2店舗目がうまくいかなかった時点で、そういう未来を考えなくなりました。「50歳までには東京を出たい」と思っていたんです。

 

――じゃあ、新潟でなくても「いずれ地方で暮らそう」って発想はあったんですね。

木戸口さん:自分の故郷である関西に戻るとか、旅行先で気に入った場所でお店を構えるとかもいいなと思っていました。妻と出会って新潟に来ましたけど、もしずっとひとりだったら、どこか好きな街で営業していたかもしれませんね。

 

 

――「LUCE」さんのメニューは、パスタにおつまみ、ピザと充実していますよね。これまでの話を聞いてメニューが豊富な理由がわかりました。

木戸口さん:ワインバー時代からいろいろおつまみを出していましたし、美味しいチーズや生ハムの仕入れ先は把握していますからね。うちのチーズと生ハムを仕入れいているお店は、長岡にはないと思いますよ。「LUCE」は5坪くらいの小さいお店ですが、気に入っています。

 

――どんなところがお気に入りなんですか?

木戸口さん:どれだけ忙しくても落ち着いて仕事ができるところ。もちろんバタバタするときはあるんですけど、この仕事は長くなっているし、常に冷静でいられるんです。もう少し席数が多かったら、そうはいきません。

 

――働き方も変わったのかなと思うんですが。

木戸口さん:今は夫婦の時間を大事にする生活を心がけています。夜は9時には閉店です。生活に余裕ができましたね。東京で働いていた頃は、自宅に帰るのは週に1回。あとはお店で寝泊まりしていたこともありました。

 

――角打ちスタイルにしたのはどうしてですか?

木戸口さん:この辺りではワインの角打ちができるお店って、少ないじゃないですか。日本酒に比べてワインは値段が高いし、そこまで馴染みがないような気がして。同じ醸造酒の日本酒がこれだけ栄えているんだから、ワインが好きな方もきっと多いはずだと思ったんです。ワインをもっと気軽に楽しんでもらいたいという気持ちもあります。

 

イタリアワイン、カリフォルニアワインが充実。本格的な料理も楽しめる。

――どんなワインを揃えているんですか?

木戸口さん:イタリアワインとカリフォルニアワインです。自分で巡ったことがある場所のワインですね。カリフォルニアのナパでは、20軒以上のワイナリーを巡りました。もともとカリフォルニアワインが好きでしたけど、実際に訪れて、ますます好きになって。イタリアのワイナリーでも美味しいワインを味わいました。

 

――へぇ~。思い出のある地域のワインなんですね。

木戸口さん:そのとき飲んだワインは輸入できないので、それに似たフレーバーのものを揃えています。おつまみも現地で食べて感動した味に近いものをセレクトしています。

 

――ピザやパスタは木戸口さんが調理されているんですよね。

木戸口さん:もちろんです。料理はぜんぶ私が作っています。パスタは乾麺を使っていますけど、ソースもピザ生地も手作りですよ。

 

 

――贅沢な角打ちです。

木戸口さん:料理もちゃんと提供する。それも美味しいものを。そう思っています。東京にある角打ちのワインショップって、だいたいチーズ、オリーブ、生ハムって、調理されていないものが出てくるんですけど、うちは料理にもこだわっています。経験を生かしている感じですね。

 

――長岡で営業をスタートして、どう思われましたか?

木戸口さん:のんびり仕事ができるところが、いちばんいいですね。それに皆さんの人柄がいい。みんな余裕があるし、「追われていない」感じがするので、すごく居心地がいいです。

 

――それは、よかった。

木戸口さん:東京で最期を迎えたくなかったんですよ。医療は充実していて、安心感はあるんだけど、やっぱり疲れちゃうんですね。もともと田舎育ちだから、そう思うのかも。

 

――これから長岡でどんなことをやってみたいですか。

木戸口さん:そういうのは、ないです(笑)。ただ長岡で人生を終えられたら、それで十分。本籍も長岡ですから。

 

 

 

LUCE

長岡市東坂之上町2-6-13 石橋ビル2階

050-3562-8985

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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